クレジットカードの支払いを長期間滞納し、カード会社や弁護士事務所だけでなく裁判所からも書類が届く段階になると、単なる支払いの遅れとして放置するのは危険です。一方、返済のために新しい借金を重ねることも、問題をさらに大きくする可能性があります。
特に注意したいのが、SNSや掲示板で見知らぬ人にお金を借りる「個人間融資」です。金融庁は、個人を装ったヤミ金融業者による違法な高金利、個人情報の悪用、過酷な取り立て、犯罪への加担などの危険があるとして注意を呼びかけています。[参照]
クレジットカードを長期間滞納すると何が起こるのか
クレジットカードの利用代金を滞納すると、一般的にはカード会社などから督促を受け、カードの利用停止や契約上の対応が進むことがあります。さらに滞納が解消されなければ、債権回収を弁護士へ依頼されたり、法的手続きが取られたりする場合があります。
ここで重要なのは、弁護士事務所からの通知と裁判所から届いた正式な書類は区別して確認することです。裁判所から届いた書類には、支払督促、訴状、口頭弁論期日呼出状などが含まれる可能性があり、書類によって必要な対応や期限が異なります。
例えば支払督促の場合、裁判所によると、債務者が支払督促を受け取ってから2週間以内に督促異議を申し立てなければ、債権者は仮執行宣言の申立てをすることができます。したがって「しばらく放っておけばよい」と考えるのではなく、届いた書類の名称、発送元、期限をすぐ確認することが大切です。[参照]
返済するお金がないときに「誰かに借りる」が危険な理由
返済資金がないと「とりあえず誰かから借りて今月の請求だけ払おう」と考えたくなるかもしれません。しかし、収入がなく既存債務の返済も困難な状態で新たな借入れをすると、今ある借金が消えるのではなく、基本的には債権者が増えるだけです。
例えば30万円のカード債務を返済するため別の相手から30万円を借りれば、カード会社への債務を減らせても、新しく30万円を返す義務が生じます。さらに利息や手数料が加われば、返済総額が増えることもあります。これは典型的な「借金を借金で返す」状態です。
特にSNSで「ブラックでも貸します」「無職でも即日融資」「個人でお金を貸します」といった相手を探すのは避けるべきです。金融庁はSNSなどを利用した個人間融資について、違法な高金利だけでなく、顔写真や勤務先などの個人情報をさらされる、保証金などを先にだまし取られる、犯罪行為への協力を求められるといった被害を注意喚起しています。[参照]
裁判所から書類が届いているなら最優先で確認する
すでに裁判所から連絡や郵便物が届いている場合は、まず封筒や書類を捨てずにすべて保管してください。そして「どの裁判所から届いたのか」「事件番号はあるか」「支払督促なのか訴状なのか」「提出期限や期日はいつか」を確認します。
裁判所からの正式な書類であれば、放置することで手続きが進んでしまう場合があります。支払うお金がないから書類を無視する、という対応では問題は解決しません。払えない状態だからこそ、期限が来る前に法律の専門家へ相談する意味があります。
なお、裁判所を名乗る架空請求などとの区別も必要です。不審な場合には、書類に書かれた連絡先だけを信用するのではなく、裁判所の公式サイトなどから該当する裁判所の電話番号を自分で確認する方法があります。裁判所の公式情報は[参照]から確認できます。
返済できない場合には「債務整理」という選択肢がある
借金問題では、返済資金を新たに借り続けることだけが解決方法ではありません。収入、財産、借金の総額、債権者数などによっては、任意整理、個人再生、自己破産などの法的・私的な債務整理を検討できる場合があります。
任意整理は弁護士や司法書士などを通じて債権者との返済条件を調整する方法です。個人再生は裁判所を利用して一定の条件のもと債務を減額し、原則として再生計画に従って返済していく手続きです。自己破産は、支払不能となった場合に裁判所で破産手続きを行い、免責が認められれば対象となる債務について支払義務の免除を受ける制度です。
どの方法が適切なのかは、単純に借金額だけでは判断できません。無職で現在の返済能力が乏しいケースと、安定収入があり分割返済できるケースでは選択肢が変わるため、具体的な状況を専門家に伝えて判断してもらうことが重要です。
お金がなくても相談できる公的・専門的な窓口がある
「弁護士に相談するお金もない」という場合でも、そこで諦める必要はありません。金融庁は多重債務に関する相談先として、地域の行政機関、財務局、自治体、法テラス、弁護士会などの相談窓口を案内しています。[参照]
法テラス(日本司法支援センター)では、一定の収入・資産基準などの要件を満たす人を対象に、無料法律相談や弁護士・司法書士費用の立替制度である民事法律扶助を利用できる場合があります。まず自分が利用対象になるか確認する方法があります。
また、金融庁は全国の財務局に設置された多重債務相談窓口も案内しています。借金の問題を「お金を貸してくれる人探し」に置き換えるのではなく、現在の債務そのものをどう整理するか相談することが重要です。
SNSや掲示板で個人情報を公開しない
借金で追い詰められていると、「誰か助けてください」「○万円貸してください」とSNSや掲示板に投稿したくなることがあります。しかし、そのような投稿は悪質業者から見ると、経済的に困っていて通常の金融機関から借りにくい人を見つける手掛かりにもなります。
金融庁によれば、SNSの個人間融資では、身分証明書、顔写真、勤務先、家族の連絡先などを取得された後、それらを悪用されたり、返済できなければネット上にさらすと脅されたりする事例があります。また、先に保証金や手数料を振り込ませて連絡を絶つ手口もあります。[参照]
借金の返済に困っていても、SNSで知り合った相手へ身分証、銀行口座情報、暗証番号、キャッシュカード、スマートフォンなどを渡してはいけません。銀行口座の売買や譲渡、犯罪への協力を持ちかけられた場合にも応じないことが重要です。
今すぐ整理しておきたい情報
専門家へ相談するときは、状況が分かる資料をまとめておくと話が進みやすくなります。少なくとも、カード会社・債権者の名称、現在分かっている残高、最後に支払った時期、毎月の収入、家賃などの生活費、預貯金や財産、弁護士事務所から届いた通知、裁判所から届いた書類を整理しておきます。
借金の総額が正確に分からなくても、相談そのものを先延ばしにする必要はありません。「分からない部分がある」という状態も含めて専門家へ伝えればよく、届いている書類を持参することで状況を把握できる場合があります。
特に裁判所の書類に期限が記載されている場合は、その期限を最優先で伝えてください。相談予約をするときにも「裁判所から書類が届いている」と最初に説明しておくとよいでしょう。
まとめ:新しい借金ではなく、今ある債務を解決する方向へ
クレジットカードを長期間滞納し、弁護士事務所や裁判所から書類が届いている状態では、「誰かからお金を借りれば何とかなる」と考えるより、現在の債務と法的手続きに正面から対応することが重要です。特に裁判所からの正式な書類には期限が設けられていることがあるため、放置は避けるべきです。
返済能力が不足している場合でも、任意整理、個人再生、自己破産など、状況に応じた解決方法を検討できます。費用面が心配な場合には法テラスや行政の多重債務相談窓口なども選択肢になります。
そして、SNSや掲示板で見知らぬ人からお金を借りる方法は解決策にしないことが大切です。「返すためのお金を探す」より先に、「現在の借金を法律上どう処理できるか」を専門窓口へ相談することが、生活を立て直すための現実的な第一歩になります。


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