60代を迎えて仕事を減らしたい、あるいは退職したいと考えても、受け取れる年金だけでは家賃や食費、光熱費をまかなえないことがあります。そのような場合に「死ぬまで働き続けるしかないのか」「年金をもらっていると生活保護は受けられないのか」と不安になる人は少なくありません。
老後の生活費が不足する場合の選択肢は、就労だけではありません。年金以外の給付制度を確認したり、家計を見直したり、それでも最低限度の生活を維持できない場合には生活保護を利用できる可能性があります。
年金を受け取っている人でも生活保護の対象になる可能性があります。生活保護は「無収入の人だけの制度」ではなく、年金などを含めた世帯の収入が最低生活費に満たない場合に、その不足分を補う仕組みだからです。
ただし、年齢が60歳や65歳になっただけで自動的に生活保護を受けられるわけでもありません。収入、預貯金などの資産、世帯状況、働く能力、家賃などを含めて個別に判断されます。この記事では、年金だけでは暮らせない場合に利用できる制度と生活保護の考え方を整理します。
- そもそも老齢年金は原則65歳から受け取る
- 年金だけで生活できない=働き続けるしかない、ではない
- 年金をもらっていても生活保護は受けられる
- 生活保護は年金を止めてもらう制度ではなく「不足分を補う」制度
- 生活保護には生活費だけでなく家賃や医療費の扶助もある
- 生活保護の審査では何を見られる?
- 60代でも働けるなら働くことを求められる?
- 働きながら生活保護を受けることもあり得る
- 預貯金があると生活保護は受けられない?
- 持ち家があったら生活保護は絶対に無理?
- 自動車を所有していても絶対に申請できないわけではない
- 家族や子どもに頼れないと生活保護を申請できない?
- 生活保護の申請は本当に「厳しい」のか
- 生活保護の相談・申請はどこでする?
- 65歳以上なら年金生活者支援給付金も確認する
- 2026年度の老齢基礎年金満額でも生活費が足りない人はいる
- 年金を繰上げる前に生活保護を含めた長期的な影響を考える
- 具体例|年金月7万円・家賃5万円で暮らせない場合
- 具体例|年金を受けながら月3万円だけ働く場合
- 老後に向けて今のうちに確認しておきたいこと
- 生活がすでに苦しいなら「貯金が尽きてから」ではなく相談する
- まとめ|年金不足なら一生働くしかないわけではなく、生活保護も選択肢になる
そもそも老齢年金は原則65歳から受け取る
最初に整理しておきたいのが、老齢年金の受給開始年齢です。日本年金機構によると、老齢基礎年金は原則65歳から受け取ります。厚生年金の加入期間がある人は、原則65歳から老齢基礎年金に加えて老齢厚生年金を受け取れます。[日本年金機構参照]
60歳になったから自動的に老齢年金生活になるわけではありません。一部の世代には特別支給の老齢厚生年金がありますが、現在の一般的な制度では65歳が基本です。
60歳から65歳までの間に老齢年金を繰り上げて受け取る制度もあります。ただし繰上げ受給をすると年金額が減額され、その減額率は原則として生涯続きます。日本年金機構も、繰上げ請求時点で減額率が決まるため注意するよう案内しています。[日本年金機構参照]
そのため60歳になって収入がなくなったからといって、生活費不足を理由にすぐ年金を繰り上げることが最適とは限りません。預貯金、再就職の可能性、雇用保険などほかの制度、65歳以降の生活設計も含めて判断する必要があります。
年金だけで生活できない=働き続けるしかない、ではない
年金額が生活費より少ない場合、働ける健康状態であれば短時間でも就労して不足分を補うことは有力な方法です。しかし、働くことだけが制度上唯一の選択肢ではありません。
高齢になるほど、健康状態、介護、家族状況、地域の求人などによって働ける時間や仕事内容には限界が出てきます。「毎月あと5万円不足しているから、必ず5万円分働かなければならない」という一律のルールはありません。
年金や働いた収入、利用可能な資産などを使っても最低限度の生活を維持できない場合には、生活保護によって不足分を補う仕組みがあります。
また、低所得の年金受給者には年金生活者支援給付金が支給される場合があります。住民税の減免や医療・介護分野の負担軽減制度などが利用できることもあるため、年金額だけを見て「働けなくなったら終わり」と考える必要はありません。
年金をもらっていても生活保護は受けられる
生活保護について最もよくある誤解の一つが、「年金を1円でも受け取っている人は対象外」というものです。
厚生労働省は、生活保護について、世帯の収入と厚生労働大臣が定める基準で計算した最低生活費を比較し、収入が最低生活費に満たない場合に適用すると説明しています。年金も収入として計算されます。[厚生労働省参照]
例えば、仮にその世帯について制度上認定される最低生活費が月13万円で、年金などの認定収入が月7万円だったとします。単純化すれば、その差額である月6万円程度を生活保護で補うという考え方になります。
| 項目 | 例 |
|---|---|
| 認定される最低生活費 | 13万円 |
| 年金などの収入 | 7万円 |
| 不足額 | 6万円 |
| 生活保護 | 不足分を補う考え方 |
この13万円・7万円という数字は制度説明のための仮定です。実際の最低生活費は居住地域、世帯人数、年齢、家賃、各種加算などで変わるため、「年金が月○万円以下なら必ず生活保護」という全国共通の金額はありません。
生活保護は年金を止めてもらう制度ではなく「不足分を補う」制度
生活保護を受け始めたからといって、それまで受け取っていた年金が不要になるわけではありません。利用できる年金や手当などは先に活用し、それでも最低生活費に届かない部分を生活保護が補います。
厚生労働省も、年金や手当など他の制度から給付を受けられる場合には、まずそれを活用することを生活保護の要件として示しています。[厚生労働省参照]
例えば最低生活費が月14万円と認定され、老齢年金が月9万円なら、年金9万円を受け取りながら不足する5万円相当を生活保護で補うという仕組みになり得ます。
「年金か生活保護か」の二者択一ではなく、「年金を収入として使ったうえで、不足していれば生活保護が補完する」と理解すると分かりやすいでしょう。
生活保護には生活費だけでなく家賃や医療費の扶助もある
生活保護というと毎月の生活費が現金で支給される制度だけを想像しがちですが、実際には必要な費用に応じて複数の扶助があります。
厚生労働省によると、食費・被服費・光熱費などには「生活扶助」、アパートなどの家賃には一定の範囲で「住宅扶助」があります。また医療サービスについては「医療扶助」、介護サービスについては「介護扶助」があります。[厚生労働省参照]
医療扶助では費用が医療機関へ直接支払われ、原則として本人負担はありません。介護扶助についても費用が介護事業者へ直接支払われ、本人負担はありません。
高齢者にとっては食費や家賃だけでなく医療・介護費も生活を圧迫するため、単純に「年金額と食費を比較する」だけでは生活保護の必要性を判断できません。
生活保護の審査では何を見られる?
生活保護は、希望すれば収入状況に関係なく受け取れる制度ではありません。世帯単位で収入や資産などを確認して決定されます。
厚生労働省が示す主な考え方は、次のとおりです。
- 年金や給与などの収入
- 預貯金など利用可能な資産
- 生活に使っていない土地・家屋などの資産
- 働くことが可能かどうか
- 利用できる年金・手当など他制度の給付
- 親族から現実に受けられる援助
- 世帯人数や住んでいる地域、家賃など
申請後には、生活状況の調査、預貯金・保険・不動産などの資産調査、年金等の社会保障給付や就労収入の調査、就労可能性などの確認が行われます。
したがって「60歳を超えたから受給できる」「65歳未満だから受給できない」という年齢だけの制度ではありません。
60代でも働けるなら働くことを求められる?
生活保護では、働く能力がある場合はその能力を活用することが前提です。厚生労働省は「働くことが可能な方は、その能力に応じて働いてください」と説明しています。[厚生労働省参照]
そのため60歳になっただけで「もう一切働く必要はない」という扱いになるわけではありません。健康で就労可能性がある場合には、就職活動や能力に応じた就労について確認されることがあります。
一方で、「能力に応じて」という点も重要です。年齢、病気、障害、体力などを無視して、できない仕事を無制限に続けることを求める制度ではありません。申請時には傷病状況なども含めて就労の可否が調査されます。
例えば腰や心臓などの問題でフルタイム勤務が難しくても、短時間なら働ける場合があります。その場合には働いて得た収入なども考慮したうえで、最低生活費に不足する部分について保護の可否が判断されます。
働きながら生活保護を受けることもあり得る
生活保護は「働いている人は絶対に受けられない」という制度でもありません。
厚生労働省は、生活保護の収入として就労収入も認定し、最低生活費から収入を差し引いた差額を支給するとしています。そのため働いていても世帯の認定収入が最低生活費に届かなければ、生活保護が適用される場合があります。
例えば高齢のため週2~3日しか勤務できず給与が月4万円、年金が月6万円で、認定される最低生活費が月13万円というケースなら、収入があることだけを理由に直ちに対象外になるとは限りません。
実際の就労収入の認定には必要経費や勤労控除などが関係するため、単純に給与をそのまま全額差し引くとは限りません。具体的な計算は福祉事務所で確認する必要があります。
預貯金があると生活保護は受けられない?
生活保護では、利用可能な預貯金などの資産をまず生活のために活用することが原則です。そのため生活費として十分な多額の預貯金を持ちながら、同時に生活保護を受けることは基本的にはできません。
ただし、「銀行残高が1円にならなければ申請できない」という意味ではありません。生活保護を必要とする状況になっているのであれば、現在の資産状況も含めて福祉事務所が判断します。
また資産には現金・預貯金だけでなく、不動産、保険の解約返戻金、自動車なども関係することがあります。
生活が限界になるまで相談を我慢する必要はなく、今後の収入と預貯金では生活維持が難しいことが見えてきた段階で福祉事務所へ相談できます。
持ち家があったら生活保護は絶対に無理?
「家を持っていたら生活保護を申請できない」という情報もありますが、一律に正しいわけではありません。
厚生労働省は、利用できる資産を活用することは保護の要件としながらも、居住用の持ち家について保有が認められる場合があると明記しています。[厚生労働省参照]
そのため「持ち家があるから相談しても無駄」と自己判断する必要はありません。住宅の資産価値や住宅ローン、世帯状況などによって個別に判断されます。
一方、生活に使っていない土地や住宅など処分可能な資産がある場合には、売却して生活費へ充てることを求められるのが原則です。
自動車を所有していても絶対に申請できないわけではない
自動車については生活保護では原則として処分が求められます。しかし、これにも例外があります。
厚生労働省は、通勤用の自動車を持ちながら求職している場合などに、処分しないまま生活保護を受けられることがあると案内しています。[厚生労働省参照]
地域によっては公共交通機関が極端に少なく、通院や就労のために自動車が必要という事情もあります。保有可否は車の価値や必要性を含めて個別に判断されます。
したがって「車を持っているから生活保護は100%無理」と決めつけず、実情を福祉事務所へ伝えることが重要です。
家族や子どもに頼れないと生活保護を申請できない?
生活保護では扶養義務者による扶養が保護に優先するとされています。そのため親族から実際に継続的な援助を受けられる場合、その援助も収入として考慮されます。
しかし「子どもに頼んで断られてからでなければ生活保護を申請できない」という制度ではありません。
厚生労働省は、同居していない親族へ相談してからでなければ生活保護を申請できないということはないと明記しています。[厚生労働省参照]
成人した子どもがいるという事実だけで、自動的に生活保護を受けられなくなるわけではありません。現実に援助できる状況なのかなどが確認されます。
生活保護の申請は本当に「厳しい」のか
生活保護には資産・収入などの要件があり、申請すれば誰でも受給できるわけではありません。その意味では審査があります。
一方で、要件を満たす生活困窮者が利用することを前提とした公的制度なので、「特殊な事情がある人しか申請してはいけない」というものでもありません。
厚生労働省は、必要な書類がすべて揃っていなくても申請でき、住むところがない人でも申請できると明記しています。また施設へ入ることへの同意を申請条件とするものでもありません。[厚生労働省参照]
「受給できるか自分では分からない」という場合でも、申請や相談自体を諦める必要はありません。最終的な可否は福祉事務所が世帯状況を調査して判断します。
生活保護の相談・申請はどこでする?
生活保護について相談する窓口は、現在住んでいる地域を所管する福祉事務所の生活保護担当です。
市や区では市役所・区役所などに福祉事務所が設置されています。福祉事務所がない町村では町村役場でも申請手続きができます。[厚生労働省参照]
相談するときには、年金額が分かる通知書、通帳、家賃が分かる賃貸借契約書、給与があるなら給与明細などを用意できると状況を説明しやすくなります。
ただし厚生労働省が案内しているとおり、必要書類がすべて揃っていなくても申請自体は可能です。「書類が足りないから今日は相談だけ」と諦める必要はありません。
65歳以上なら年金生活者支援給付金も確認する
年金額が少ない場合には、生活保護より前に利用できる制度として「年金生活者支援給付金」があります。
日本年金機構によると、老齢年金生活者支援給付金は、65歳以上で老齢基礎年金を受給し、世帯全員が市町村民税非課税で、前年の年金収入とその他所得が所定の基準以下の人などが対象です。[日本年金機構参照]
2026年度は、昭和31年4月2日以後生まれの場合、前年の年金収入額とその他所得の合計が80万9,000円以下なら老齢年金生活者支援給付金、80万9,000円を超え90万9,000円以下なら補足的老齢年金生活者支援給付金の対象となる可能性があります。
2026年度の老齢年金生活者支援給付金の基準額は月5,620円です。ただし実際の支給額は国民年金保険料の納付済期間・免除期間などによって計算されます。[日本年金機構参照]
月5,620円は年間では約6万7,000円になるため、対象者にとっては無視できない金額です。
2026年度の老齢基礎年金満額でも生活費が足りない人はいる
日本年金機構によると、昭和31年4月2日以後生まれの人の2026年度の老齢基礎年金は、20歳から60歳まで40年間すべて保険料を納めた場合で年額81万6,000円です。単純に12で割ると月額約6万8,000円です。[日本年金機構参照]
国民年金だけで老後を迎える人の場合、満額でも家賃を払いながら一人暮らしをするには不足するケースがあります。逆に厚生年金に長期間加入していた人なら、老齢基礎年金に老齢厚生年金が上乗せされます。
年金額は加入期間や現役時代の報酬によって人ごとに大きく違うため、「60代なら普通は月○万円もらえる」という前提で老後の生活を考えるのは危険です。
「ねんきんネット」や年金事務所などで自分が実際に何歳からいくら受給できるか確認することが、老後の不足額を考える第一歩になります。
年金を繰上げる前に生活保護を含めた長期的な影響を考える
60歳から64歳で生活費が足りなくなると、老齢年金を早く受け取れば解決できるように感じることがあります。しかし繰上げ受給には長期的な影響があります。
繰上げると年金額が減額され、その減額された年金を原則として生涯受け取ることになります。数年間の収入不足を解決するために繰上げた結果、70代・80代になってから毎月の年金がさらに少なくなる可能性があります。
そのため、60~64歳で生活に困っている場合には、再就職、失業等給付の対象にならないか、預貯金で65歳までつなげるか、福祉制度を利用できないかなどを含めて検討することが重要です。
生活保護では利用可能な年金など他制度の活用が前提となるため、個別のケースで繰上げ請求をどう扱うかは福祉事務所や年金事務所にも確認したほうが安全です。
具体例|年金月7万円・家賃5万円で暮らせない場合
例えば65歳の一人暮らしで、老齢年金が月7万円、家賃が5万円だったとします。家賃を払うと残りは2万円なので、食費・電気・ガス・水道・通信費・日用品などをすべて2万円で賄うのは難しいでしょう。
この場合、「あと何歳まで働けばよいのか」だけを考えるのではなく、まず年金生活者支援給付金の対象にならないか、所得に応じた各種負担軽減を受けられないかを確認します。
それらを利用しても最低生活費に届かず、利用可能な資産などもない場合には生活保護を相談できます。
生活保護が認められる場合には、年金7万円も収入として扱ったうえで、地域・家賃・世帯状況などから計算した最低生活費との差額が保護費となります。
具体例|年金を受けながら月3万円だけ働く場合
別のケースとして、老齢年金月6万円を受給しながら、体力的に可能な範囲でアルバイトをして月3万円程度の給与を得ている人を考えます。
収入が合計9万円程度だからといって、「働いているので生活保護は絶対に受けられない」とは限りません。認定される最低生活費がそれを上回る場合には、生活保護の対象になる可能性があります。
一方、年金と給与、その他の収入を合わせて最低生活費を十分上回るのであれば、生活保護の対象にはなりません。
生活保護で重要なのは「働いているか」「年金をもらっているか」の二択ではなく、利用できる資産や能力を活用したうえで、世帯の認定収入が最低生活費に足りているかどうかです。
老後に向けて今のうちに確認しておきたいこと
現在まだ働ける状態で、将来の年金だけでは生活できそうにないと分かっているのであれば、実際に困窮してから考えるより早めに数字を確認しておくほうが選択肢を増やせます。
- 65歳から受け取れる老齢基礎年金・老齢厚生年金はいくらか
- 現在の家賃・住宅費を老後も払えるか
- 預貯金はいくらあるか
- 60代で無理なくできる仕事があるか
- 年金生活者支援給付金の対象になる可能性があるか
- 住民税非課税世帯向けの負担軽減制度が使えるか
- 生活が維持できない場合の福祉事務所の所在地
特に持ち家か賃貸かによって必要な老後資金は大きく変わります。年金月7万円でも住宅費がほとんどかからない人と、家賃7万円を払い続ける人では生活の余裕が全く異なります。
生活がすでに苦しいなら「貯金が尽きてから」ではなく相談する
現在すでに年金や給与だけでは食費や家賃を払えず、借金や滞納で補っている状態なら、生活がさらに悪化してから相談する必要はありません。
生活保護を利用できるかどうかは福祉事務所が判断するため、本人が「自分はまだ受給できないだろう」と決める必要はありません。
厚生労働省も生活保護を希望する人に対し、現在いる場所の近くの福祉事務所へ相談するよう案内しています。必要な書類が揃っていなくても申請可能です。[厚生労働省参照]
年金額、家賃、預貯金、健康状態などを伝えれば、生活保護だけでなく利用可能なほかの社会保障制度について案内される場合もあります。
まとめ|年金不足なら一生働くしかないわけではなく、生活保護も選択肢になる
老齢基礎年金・老齢厚生年金の基本的な受給開始年齢は65歳です。60歳から64歳で受給する繰上げ制度もありますが、繰上げると年金額が減額され、その影響が原則として生涯続くため慎重な判断が必要です。
65歳以降に年金生活になり、年金だけでは生活費が足りない場合、働けるのであれば無理のない範囲で働いて補う方法があります。しかし、「年金だけで暮らせない人は死ぬまで働き続けるしかない」という制度ではありません。
年金や就労収入、利用可能な資産などを活用しても、世帯の収入が制度上の最低生活費に満たない場合には、年金を受給している人でも生活保護を受けられる可能性があります。生活保護では年金を収入として計算し、それでも不足する差額を保護費として補うのが基本です。
また生活保護には日常生活費の生活扶助だけでなく、一定範囲の家賃を対象とする住宅扶助、医療扶助、介護扶助などがあります。高齢になって医療・介護費が増えた場合も含めて最低生活を保障する仕組みです。
65歳以上で年金額や所得が低い場合には、2026年度で月5,620円を基準とする老齢年金生活者支援給付金の対象になる可能性もあります。生活保護を考える前後を問わず、利用できる制度は確認しておく価値があります。
生活保護の受給可否を「年金があるから無理」「持ち家だから無理」「子どもがいるから無理」と自己判断する必要はありません。収入、資産、健康状態、就労可能性、家賃、世帯状況などから個別に判断されます。生活がすでに成り立たない、あるいは近いうちに成り立たなくなる見込みなら、現在住んでいる地域の福祉事務所へ早めに相談することが現実的な第一歩です。


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