みんな金融資産はいくら貯めている?年代別の貯蓄額を見るときの平均・中央値と資産形成の考え方

貯金

「同年代は貯金や金融資産をいくら持っているのだろう」と気になることは珍しくありません。しかし、金融資産額は年齢だけでは決まらず、年収、就職年齢、実家暮らしか一人暮らしか、結婚・子育て、住宅購入、相続などによって大きな差が生まれます。

そのため、他人の「30歳で500万円」「40歳で2,000万円」といった個別例だけを見ても、自分が多いか少ないかを正確には判断できません。参考にするなら、公的・中立的な統計を確認するとともに、平均値だけでなく中央値、金融資産の定義、世帯構成まで確認することが重要です。

この記事では、年代別の金融資産を比較するときのポイントと、自分自身の資産形成を判断するための基準を分かりやすく解説します。

そもそも「貯金」と「金融資産」は同じではない

日常会話では貯金と金融資産がほぼ同じ意味で使われることがありますが、統計を見る場合には区別が必要です。一般的な「貯金」は銀行預金などをイメージしますが、金融資産には預貯金以外の資産が含まれることがあります。

例えばJ-FLEC(金融経済教育推進機構)が公表する「家計の金融行動に関する世論調査」では、金融資産として預貯金、金銭信託、積立型保険商品、個人年金保険、債券、株式、投資信託、財形貯蓄などを対象としています。一方、日常的な出し入れや引き落としに備えている預貯金部分などは金融資産から除くという定義があります。[参照:J-FLEC 家計の金融行動に関する世論調査]

したがって「銀行口座に300万円ある人」と「預金100万円、投資信託200万円、株式100万円を持つ人」を単純な貯金額だけで比較すると、実際の資産状況を正しく把握できない場合があります。

年代別の金融資産は「平均」だけを見ないことが重要

年代別の金融資産統計を見る際には、平均値と中央値の違いを理解しておく必要があります。平均値は全員の金融資産を合計して人数で割った数字なので、一部に非常に大きな資産を持つ世帯がいると上昇します。

一方、中央値は金融資産額の少ない順または多い順に並べたとき、ちょうど中央に位置する値です。資産額のように人による差が非常に大きいデータでは、中央値を見ることで「真ん中あたりの世帯」の姿を把握しやすくなります。

例えば5人の金融資産が100万円、200万円、300万円、400万円、4,000万円だったとします。この場合、中央値は300万円ですが、平均値は1,000万円です。「平均1,000万円」だけを見ると、一般的な状況とはかなり違った印象を受けることが分かります。

単身世帯と二人以上世帯でも数字は大きく変わる

もう一つ見落としやすいのが世帯構成です。20代・30代といった同じ年代でも、一人暮らしの単身世帯と夫婦・家族で暮らす二人以上世帯では、金融資産の意味が異なります。

例えば夫婦で1,000万円を持っている世帯と、単身者が1,000万円を持っているケースを同列に比較することはできません。夫婦の場合には二人の収入から形成された資産かもしれませんし、将来二人分の生活費として使う資産でもあります。

J-FLECの調査結果を見る場合にも、単身世帯と二人以上世帯を分けて確認することが大切です。また調査年によって数字は変化するため、最新の調査結果を確認するのが適切です。[参照:J-FLEC]

「30歳なら○万円必要」という絶対的な基準はない

金融資産額について「30歳なら300万円」「40歳なら1,000万円」といった目安を見かけることがありますが、すべての人に適用できる基準ではありません。

例えば同じ30歳でも、22歳から働いて実家暮らしをしてきた人と、大学院まで進学して26歳から働き始め、一人暮らしをしている人では貯蓄できる期間も生活費も違います。奨学金や自動車ローンなどの負債があるかどうかでも純資産は変わります。

さらに住宅購入直後なら、頭金として金融資産を使ったことで預金残高が大きく減っている場合があります。金融資産額が減ったからといって、その人の経済状況が直ちに悪化したとは限りません。

金融資産は「総額」だけでなく純資産で見る

自分の経済状態を把握するなら、金融資産の総額と同時に負債も確認すると分かりやすくなります。金融資産から借入金などを差し引いたものが、いわゆる純資産です。

例えば金融資産が500万円あってもカードローンなどの負債が400万円ある人と、金融資産300万円で負債がない人では状況が異なります。資産額だけなら前者が多いものの、単純化した純資産では前者100万円、後者300万円となります。

住宅ローンについては住宅という実物資産が反対側に存在するため単純比較はできませんが、少なくとも「金融資産○万円」という一つの数字だけで家計の健全性を判断しないことが重要です。

最初に作りたいのは生活を守るためのお金

資産形成を始める際、投資額や同年代との順位より先に考えたいのが、急な失業、病気、家電の故障などに対応するための現金です。必要額は年齢ではなく、毎月の最低生活費や雇用の安定性、家族構成などから考えます。

例えば最低限の生活に月15万円必要な人なら、90万円は約6か月分に相当します。一方、実家暮らしで固定費が非常に少ない人と、子どもがいて住宅ローンを支払っている人では必要な備えが違います。

「同年代より少ないから急いで投資する」のではなく、まず家計が急変しても生活を維持できる資金を確保し、そのうえで長期的な資産形成を考えるほうが現実的です。

余裕資金ならNISAなどを利用した長期投資も選択肢

当面使う予定のない余裕資金については、預貯金だけではなく投資によって長期的な資産形成を行う選択肢があります。金融庁も資産形成について、長期・積立・分散投資の考え方を紹介しています。[参照:金融庁 資産形成の基本]

NISAは投資によって得られた利益が一定の条件で非課税となる制度です。ただし、NISAそのものが安全な金融商品なのではありません。購入する株式や投資信託には価格変動があり、元本割れする可能性があります。[参照:金融庁 NISAを知る]

数年以内に住宅購入や結婚、学費などで使う予定のお金まで値動きの大きな資産へ投入するのではなく、「いつ使うお金なのか」に応じて預金と投資を使い分けることが大切です。

他人と比較するなら資産額より「増える仕組み」を見る

金融資産500万円という結果だけを見るより、「毎月いくら残せているか」を確認するほうが将来を考えるうえで役立つ場合があります。現在の資産額は過去の結果ですが、毎月の収支はこれからの資産形成速度に影響するからです。

例えば現在100万円しか持っていなくても、毎月5万円を継続的に貯蓄・投資へ回せる家計なら年間60万円を積み上げられます。反対に1,000万円持っていても毎月赤字で取り崩しているなら、資産は徐々に減っていきます。

「何歳でいくら持っているか」と同じくらい、「毎年どれだけ資産を増やせる家計になっているか」が重要です。他人の資産額を目標にするより、自分の手取り収入、固定費、年間貯蓄額を記録すると改善点を見つけやすくなります。

まとめ:金融資産は年齢別の平均より自分の家計との比較が重要

年代別の金融資産額は、自分の現在地を知る参考資料にはなります。しかし「30代だから○万円なければ少ない」といった絶対的な正解はありません。年収、働いた年数、世帯人数、住居費、子どもの有無、負債などによって必要な金融資産は大きく異なります。

統計を参考にするときは、平均値だけでなく中央値を確認し、単身世帯・二人以上世帯の違い、さらに「金融資産」に何が含まれているのかまで確認しましょう。個人のSNS投稿やQ&Aサイトに出てくる資産額だけを基準にすると、実際より自分が少ない、あるいは多いと誤認することがあります。

最終的に大切なのは、他人より多く持っているかではなく、必要な生活防衛資金を確保できているか、高金利の負債を抱えていないか、毎月黒字を作れているか、将来必要になるお金を計画的に準備できているかです。金融資産額を「順位」ではなく、自分の生活を安定させ選択肢を増やすための数字として考えることが、長期的な資産形成につながります。

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