子ども3人を大学まで育てるには年収いくら必要?地方・一馬力世帯の教育費と家計をシミュレーション

家計、節約

子ども3人を一人の稼ぎで育て、大学まで進学させる場合、「最低でも年収はいくら必要なのか」は非常に気になるところです。しかし、必要年収を一律に500万円、700万円、1000万円などと決めることはできません。住居費、子どもの年齢差、公立・私立の選択、大学進学時に自宅から通えるか、奨学金を利用するかなどによって必要額が大きく変わるためです。

特に地方では住居費を抑えやすい一方、自動車が複数台必要になったり、大学進学時に子どもが一人暮らしになったりする可能性があります。そのため、単純な年収ではなく、税金・社会保険料を差し引いた手取りから生活費を払い、さらに教育資金を準備できるかという視点で考える必要があります。

子ども3人なら「最低年収○万円」と一律には決められない

同じ年収600万円の5人家族でも、住宅ローンが月12万円の家庭と持ち家で住居費がほとんどかからない家庭では、教育に回せる金額が大きく違います。また、車が2台必要な地域では、車両代だけでなく自動車税、保険、車検、燃料費なども継続的に発生します。

さらに大きいのが進学経路です。小学校から高校まで公立中心なのか、途中から私立へ進学するのかによって教育費は変わります。文部科学省の「子供の学習費調査」では、公立と私立で学習費総額に大きな差があることが確認できます。教育費を試算するときには授業料だけではなく、学校教育費、学校給食費、学校外活動費なども考える必要があります。

したがって、「子ども3人なら年収○万円あれば絶対に大丈夫」という考え方より、現在の生活費+将来の教育費+大学資金の積立額を手取り収入で賄える年収はいくらかという順番で計算するほうが現実的です。

まず知っておきたい子どもの教育費

教育費を考えるうえで参考になる公的統計が、文部科学省の「子供の学習費調査」です。幼稚園から高校までについて、公立・私立それぞれの学習費を確認できます。最新の数値や調査結果は文部科学省の公表資料で確認するのが確実です。[参照:文部科学省「子供の学習費調査」]

子ども3人の場合、一人当たりの費用だけを見るのではなく、それを3人分負担することになります。ただし、実際には年齢差があるため、すべての教育費が同時に発生するとは限りません。例えば3歳ずつ離れていれば、中学・高校・大学と教育段階がずれ、家計負担のピークも変化します。

逆に年齢が近い3人では、大学在学期間が重なる可能性があります。教育費の総額だけでなく、「最もお金が必要になる年にいくら必要か」を確認しておくことが重要です。

家計へのインパクトが大きいのは大学進学

大学進学では、国公立か私立か、さらに私立の場合は学部によって費用が大きく変わります。国立大学の標準額については文部科学省が授業料・入学料の標準額を定めています。また、私立大学についても文部科学省が初年度学生納付金などの調査結果を公表しています。[参照:文部科学省・国公私立大学の授業料等]

大学費用で忘れやすいのが生活費です。地方在住で、自宅から通える範囲に希望する大学がなければ、都市部などで一人暮らしになる可能性があります。その場合、授業料とは別に家賃、食費、水道光熱費、通信費、帰省費などが発生します。

例えば年間100万円の生活支援が4年間必要なら、それだけで400万円です。3人とも自宅外通学になれば家計への影響は非常に大きくなります。地方の子育て世帯では、大学の学費だけでなく「自宅外通学になる場合の費用」まで想定しておくことが重要です。

一馬力・子ども3人の必要年収を考えるモデルケース

必要年収を考えるため、夫婦と子ども3人の5人世帯を想定してみます。ここでは地方在住、公立中心、一般的な会社員世帯というモデルで考えます。ただし、以下は家計設計の考え方を示すための例であり、特定の年収で生活や大学進学を保証するものではありません。

項目 月額のモデル
住居費 7万円
食費 10万円
水道光熱・通信費 4万円
車・交通費 5万円
保険・医療・日用品など 5万円
教育・子ども関連費 6万円
その他・予備費 3万円
合計 40万円

この例だけでも年間生活費は約480万円です。さらに大学資金や大型支出に備えて年間100万円を積み立てるなら、手取りベースで年間580万円程度が必要になります。税金・社会保険料があるため、必要な額面年収は手取り額より高くなります。

一方、住宅費が月4万円で済む、車が1台でよい、教育費を抑えられるといった家庭なら必要額は下がります。逆に住宅ローンが月12万円、車2台、習い事や塾が多い場合には同じ年収でも余裕はかなり小さくなります。

年収600万円・800万円・1000万円ではどう違う?

額面年収だけで家計の余裕を断定することはできませんが、一馬力で5人家族を支える場合、年収が上がるほど教育費の積立余力を確保しやすくなります。ただし、税金や社会保険料の影響があるため、「年収が100万円増えれば自由に使えるお金も100万円増える」というわけではありません。

年収600万円前後では、住居費が低く、公立中心で生活費をかなり管理できる家庭なら成立するケースはあります。ただし3人分の大学資金まで親が十分に準備するとなると、児童手当の貯蓄、奨学金、授業料等減免なども含めた長期的な計画が重要になります。

年収800万円前後になると教育資金を積み立てる余地は広がりますが、住宅ローンや車の維持費が高ければ余裕がなくなることもあります。年収1000万円前後でも、3人が私立大学へ進み全員が一人暮らしとなれば大きな負担です。つまり、年収の数字だけで安心度を判断することはできません。

大学費用は「3人分の総額」より重なる時期が重要

教育資金計画では、最終的な総額だけを見ると実際の資金繰りを見誤ることがあります。特に重要なのが、大学生が同時に何人在籍する可能性があるかです。

例えば第1子と第2子が2歳差、第2子と第3子も2歳差なら、第1子が大学3年生のときに第2子が大学1年生になるなど、大学費用が重なる時期があります。そこで第1子が自宅外の私立大学、第2子も自宅外通学となれば、短期間に大きな支出が集中します。

そのため、大学入学直前になって資金を用意するのではなく、子どもが小さい時期から「何年に誰が大学生になるか」を表にしておくと必要額が見えやすくなります。

3人の子どもがいる家庭は高等教育の支援制度も確認

大学費用については、国の高等教育の修学支援新制度も確認しておきたいところです。制度改正により、多子世帯について大学等の授業料・入学金を一定額まで減免する仕組みが設けられています。ただし、対象となる学校、学業要件、多子世帯の判定方法、減免上限などの条件があります。

制度は変更される可能性があるため、将来の大学進学費用を試算するときには最新情報を文部科学省や日本学生支援機構(JASSO)で確認してください。[参照:文部科学省・高等教育の修学支援新制度]

奨学金についても、給付型と貸与型があります。貸与型奨学金は原則として将来返済する必要があるため、「大学に行けるか」という観点だけでなく、卒業後に子どもへどの程度の返済負担が残るのかまで考えて利用することが重要です。[参照:日本学生支援機構・奨学金]

児童手当を教育資金として残す方法もある

子どもが小さい時期から教育資金を準備する場合、児童手当を生活費とは別に管理する方法があります。現在の児童手当には第3子以降への加算もありますが、対象年齢や「第3子以降」の数え方など制度上の条件があります。

児童手当の最新の支給条件や金額は、こども家庭庁の公式情報で確認できます。[参照:こども家庭庁・児童手当制度]

重要なのは、受け取れる給付を前提に生活水準を上げてしまわないことです。教育資金として使う予定なら別口座などで管理し、「大学入学時に使える資金」として見える化しておくと家計管理がしやすくなります。

地方暮らしは住居費だけでなく車と大学下宿費を見る

地方なら東京などの大都市より生活費が必ず安い、とは限りません。住居費は低くなる傾向が期待できても、公共交通機関が少ない地域では夫婦それぞれに車が必要になる場合があります。車2台なら購入・買い替え、保険、税金、車検、ガソリン、タイヤなどの費用が家計を圧迫します。

さらに大学進学時には「通える大学の選択肢が少ない」という地方特有の問題があります。高校までは地方の低い住居費のメリットを享受できても、大学4年間で下宿費が加われば教育費が一気に上昇する可能性があります。

地方の5人家族の家計を試算するなら、住宅費+自動車費+将来の自宅外通学費をセットで見ることがポイントです。

「最低年収」を知りたいなら手取りから逆算する

必要年収を具体化する最も実用的な方法は、額面年収から考えるのではなく、必要な年間手取り額から逆算することです。まず直近1年間の生活費を集計し、年間の教育費、固定資産税、自動車税、車検、家電買い替えなど毎月発生しない費用も加えます。

そこへ「大学資金として年間いくら貯めるか」を加えます。例えば生活維持に年間450万円、大学資金として年間100万円、緊急予備費などに年間50万円必要なら、年間600万円程度の可処分資金が一つの目標になります。その手取りを得るために必要な額面年収を、勤務先の社会保険や税負担などを踏まえて試算します。

この方法なら、住宅費が低い家庭では必要年収も低くなり、私立進学を予定する家庭では高くなります。「平均的な家庭」ではなく、自分の家庭に必要な年収を求められるのがメリットです。

まとめ|子ども3人の大学進学は年収だけでなく教育費を準備できる家計かで判断する

一馬力で子ども3人を大学まで育てるために必要な年収には、万人に共通する最低ラインはありません。地方で住居費を抑え、公立中心、自宅通学できる大学を選択する家庭と、住宅ローンや車2台の費用を負担しながら3人を私立大学へ下宿させる家庭では、必要な収入が大きく異なるためです。

目安を考える場合は、年収600万円、800万円、1000万円といった数字だけを見るのではなく、年間手取り-年間生活費-教育費=大学資金として積み立てられる金額を確認します。そのうえで児童手当、高等教育の修学支援制度、奨学金なども確認すると、より現実的な計画になります。

特に3人の子どもがいる家庭では、大学費用が同時に発生する時期を早めに把握しておくことが重要です。子どもの現在の年齢から大学入学予定年を並べ、進学パターン別の必要資金を試算しておけば、「最低年収はいくらか」という漠然とした不安を、具体的な家計目標へ置き換えることができます。

コメント

タイトルとURLをコピーしました