犬を飼いながら車を所有して一人暮らしをする場合、家賃だけを見て「手取りの3分の1以内だから大丈夫」と判断するのは危険です。犬の医療費や冷暖房費、車検・自動車税、ガソリン代など、一般的な一人暮らしにはない支出が加わるためです。
特に家賃・駐車場・共益費を合わせて月6万5,000円程度の場合、手取り20万円台前半でも住むこと自体は可能ですが、生活にどの程度余裕が残るかは固定費の内容によって大きく変わります。ここでは、犬1匹・車1台という条件で具体的な家計を試算しながら、無理のない手取り額と家賃の考え方を整理します。
犬あり・車ありなら家賃だけで判断しないことが重要
一般に家賃の目安として「手取り月収の3分の1程度」という考え方があります。しかし、これはあくまで大まかな目安です。車やペットを持っている場合には、家賃ではなく毎月の総支出から判断するほうが現実的です。
例えば手取り24万円に対して住居費が6万5,000円なら、住居費の割合は約27%です。この数字だけを見ると極端に高い家賃ではありません。
ところが、車の保険、駐車場、ガソリン、犬の保険やトリミング、冷暖房費などが加わると話が変わります。さらに仕事で使うガソリン代などを差し引いた実質的な可処分額が20万円程度なら、24万円ではなく実際に自由に使える20万円を基準に家計を考えるのが安全です。
月6万5,000円の物件に住んだ場合の固定費を試算
具体例として、住居費6万5,000円に加えて、車の保険6,700円、勤務先の駐車場1万1,100円、携帯電話9,500円、ウォーターサーバー2,750円、NISA積立2万円、電気6,000~1万7,000円、ガス1万円、水道4,000円、ガソリン1万~1万5,000円、犬の保険3,000円、トリミング7,000~9,000円がかかるケースを考えます。
| 項目 | 月額の目安 |
|---|---|
| 家賃・駐車場・共益費 | 65,000円 |
| 車の保険 | 6,700円 |
| 会社の駐車場 | 11,100円 |
| 携帯電話 | 9,500円 |
| ウォーターサーバー | 2,750円 |
| NISA | 20,000円 |
| 電気 | 6,000~17,000円 |
| ガス | 10,000円 |
| 水道 | 4,000円 |
| ガソリン | 10,000~15,000円 |
| 犬の保険 | 3,000円 |
| トリミング | 7,000~9,000円 |
| 合計 | 約155,000~173,000円 |
この時点で月約15万5,000~17万3,000円です。しかも、まだ人間の食費、日用品、衣服、美容、交際費、医療費、犬のフード・おやつ・ペットシーツなどの消耗品、犬の診療費などを含んでいません。
実質手取り20万円だとどのくらい残る?
実質的に使えるお金を月20万円として考えると、上記の支出だけで約15万5,000~17万3,000円なので、残る金額は約2万7,000~4万5,000円です。
ここから食費を仮に月3万円、日用品を5,000円とすると、それだけで3万5,000円が必要です。光熱費が高い月には、これだけでほとんど余裕がなくなる可能性があります。
さらに犬のフード代や予防接種、フィラリア・ノミ・ダニ対策、突発的な診療費などもあります。したがって実質手取り20万円で住居費6万5,000円の場合、生活できないとは言えないものの、余裕のある家計とは言いにくい水準です。
見落としやすいのが車と犬の「年払い・臨時支出」
毎月の支出表だけでは見えにくいのが、年に数回発生する大きな支出です。車を所有しているなら、自動車税、車検、タイヤ、オイル交換、点検、故障・修理などがあります。
例えば車関連で年間12万円の臨時支出を想定するなら、実質的には毎月1万円ずつ積み立てておく必要があります。車検の月だけ突然十数万円を用意するのではなく、月割りして家計に組み込む考え方です。
犬についても同様です。ペット保険に加入していても、すべての診療費が全額補償されるとは限りません。体調不良やけがで数万円単位の支払いが発生する可能性を考え、生活費とは別に緊急予備資金を確保しておくことが重要です。
NISAの2万円は「生活費」と少し性質が違う
家計を考える際に重要なのが、NISAの月2万円です。家賃や電気代と違って、NISAへの積立は消費によってなくなるお金ではなく、自分の資産として投資に回しているお金です。
そのため、「NISAを毎月2万円続けながら生活したい」という条件なら月2万円の固定支出として計算すべきですが、生活が苦しい時期には積立額を減らしたり一時的に停止したりする選択肢があります。
一方、生活防衛資金がほとんどない状態で投資を優先すると、車の故障や犬の治療などで現金が必要になったときに困る可能性があります。まず一定額の現金を確保し、そのうえで無理のない範囲でNISAを続ける考え方が現実的です。
どのくらいの手取りなら「余裕がある」と感じやすい?
「余裕」の定義には個人差がありますが、犬と車を維持しながら住居費6万5,000円、NISA2万円を継続し、さらに現金で貯蓄するのであれば、実際に使える手取りで25万~27万円程度以上あると家計を組みやすくなります。
例えば手取り26万円で総生活費が月20万円なら、約6万円の余裕があります。この余剰分を現金貯蓄、犬の医療費積立、車検積立、旅行や娯楽などへ振り分けられます。
反対に実質手取り20万円で支出が19万~20万円になる家計では、普段は生活できても、車の修理や犬の通院などが重なった瞬間に赤字になる可能性があります。重要なのは通常月に黒字になることだけではなく、突発的な10万円前後の出費があっても生活が崩れないかという点です。
家賃を下げるなら5万円台も検討価値がある
生活の安心感を優先するなら、住居費を6万5,000円から5万5,000円程度に下げられるだけでも年間12万円の差になります。毎月1万円の差は小さく見えても、1年間では車検や犬の医療費に使えるほどの金額になります。
ただし、犬可物件は選択肢が少なく、家賃を下げることで通勤距離が長くなりガソリン代が増えるケースもあります。家賃5万5,000円の物件へ移ってガソリン代が毎月8,000円増えるのであれば、実質的な節約効果はかなり小さくなります。
そのため、家賃だけを最安にするのではなく、家賃・駐車場・通勤費・光熱費をまとめた総額で比較することが大切です。
契約前に1~2か月「家賃を払ったつもり生活」をすると判断しやすい
実際に一人暮らしが可能か判断する方法として有効なのが、契約前に一人暮らし後の家計を再現することです。現在家賃として払っていない金額や、一人暮らしで増える食費・光熱費などを毎月別口座へ移し、残ったお金だけで生活してみます。
例えば一人暮らし後に月20万円程度使うと予想しているなら、現在の生活でも同程度のお金が残らないよう強制的に貯蓄へ回します。それを1~2か月続けて苦しくなければ、かなり現実的な判断材料になります。
さらに、その期間に貯まったお金は引っ越し代、家具・家電、敷金・礼金などの初期費用にも充てられます。犬可物件では敷金が追加される場合もあるため、入居時の費用についても契約前に確認しておくと安心です。
削減するなら家賃以外の固定費も確認する
気に入った物件を家賃だけを理由に諦める前に、既存の固定費を見直す方法もあります。例えば携帯電話が月9,500円なら料金プランを変更できないか、ウォーターサーバーが本当に必要か、自動車保険に不要な特約がないかなどを確認できます。
仮に携帯電話で月5,000円、ウォーターサーバーで約2,750円を削減できれば、年間では約9万3,000円の差になります。家賃を1万円下げるのと同様、固定費の見直しには継続的な効果があります。
ただし、犬の保険や必要な冷暖房まで無理に削るのはおすすめできません。特に夏場は犬の健康管理のためエアコンが必要になるため、電気代は最初から高めに想定しておくほうが安全です。
まとめ:犬・車ありの一人暮らしは「残額」で判断しよう
犬1匹と車を維持しながら住居費6万5,000円の物件で一人暮らしをする場合、手取り24万円という数字だけなら極端に高い家賃ではありません。しかし、仕事関連の支出を差し引いた実質的な可処分額が20万円程度で、現在想定されている固定費をすべて維持すると、家計にはあまり大きな余裕が残りません。
特に重要なのは、食費や日用品だけではなく、車検・自動車税・車の故障・犬の医療費といった不定期支出まで月割りして考えることです。毎月の収支がギリギリ黒字という状態では、こうした臨時支出で簡単に赤字になってしまいます。
住居費6万5,000円を維持するなら、固定費の見直しと十分な生活防衛資金を用意することがポイントです。より余裕を重視するなら5万円台の物件も比較しつつ、家賃だけでなく通勤費や駐車場代まで含めた総生活費で判断すると、自分と愛犬の双方にとって無理のない一人暮らしを計画しやすくなります。


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