工場勤務などで長時間の立ち作業や歩行を繰り返していると、転倒や事故がなくても身体に大きな負担がかかり、疲労骨折などのケガにつながることがあります。仕事が原因で発生した可能性があるケガの場合、派遣社員であっても労災保険の対象になる可能性があります。この記事では、仕事中に発症した疲労骨折について、労災認定の考え方、休業中にもらえる給付、必要な手続きについて解説します。
派遣社員でも仕事が原因のケガは労災の対象になる
労災保険は雇用形態に関係なく、労働者が仕事中や通勤中に負傷した場合に利用できる制度です。そのため、正社員だけでなく派遣社員やアルバイト、パートでも対象になる可能性があります。
例えば、工場で毎日長時間歩きながら資材を運搬する業務を担当しており、その継続的な負担によって疲労骨折が発生した場合、業務との因果関係が認められれば労災として扱われる可能性があります。
ただし、疲労骨折のように明確な事故ではなく徐々に発症するケガについては、仕事内容や勤務状況、医師の診断内容などをもとに判断されます。
疲労骨折は労災として認められるのか
疲労骨折は、骨に繰り返し負荷がかかることで発生するケガです。スポーツ選手だけでなく、仕事で同じ動作を長期間繰り返す人にも起こる可能性があります。
労災として認められるためには、「業務によって身体に負担がかかり、その結果として疲労骨折が発生した」と説明できることが重要です。
具体的には、1日の歩行距離、作業時間、重量物の運搬頻度、休憩状況などが判断材料になります。例えば、1日10時間勤務で数万歩歩くような作業が継続していた場合、業務負荷を示す資料として役立つ可能性があります。
労災で休業する場合にもらえる補償
労災として認定され、医師から仕事を休む必要があると判断された場合、「休業補償給付」を受け取れる可能性があります。
休業補償給付では、休業4日目以降について給付基礎日額の60%相当額が支給され、さらに特別支給金として20%相当額が支給されます。合計すると、おおむね給与の80%程度が補償される仕組みです。
例えば、仕事を休む前の平均的な賃金をもとに計算された金額が1日8,000円だった場合、休業4日目以降は約6,400円程度が支給される計算になります。ただし、実際の金額は個別の賃金状況によって変わります。
傷病手当金と労災の休業補償は同時にもらえるのか
健康保険の「傷病手当金」は、病気やケガで働けない場合に健康保険から支給される制度です。一方、労災による休業補償は労災保険から支給される制度です。
仕事が原因と認められるケガの場合は、基本的に健康保険の傷病手当金ではなく労災保険を利用することになります。そのため、同じ期間について労災の休業補償と傷病手当金を二重で受け取ることはできません。
例えば、工場での作業負担が原因と考えられる疲労骨折で休む場合は、まず労災申請を検討します。労災として認められなかった場合には、条件を満たせば傷病手当金を検討する流れになります。
労災申請で必要になる主な手続き
仕事によるケガの可能性がある場合は、まず勤務先や派遣元会社へ状況を報告することが大切です。派遣社員の場合、派遣先だけでなく派遣元への連絡も必要になります。
病院を受診する際は、労災であることを伝え、労災指定医療機関であれば必要な書類を提出します。すでに健康保険を使って受診している場合でも、後から労災への切り替え手続きが必要になる場合があります。
また、休業する場合は「休業補償給付支給請求書」などの書類を準備し、勤務先の証明や医師の証明を受けて労働基準監督署へ提出します。
休業中に確認しておきたいポイント
休んでいる期間は、焦って無理に復帰しないことが重要です。医師が安静を必要としている状態で仕事を再開すると、症状が悪化して治療期間が長引く可能性があります。
また、会社から「有給を使って休んでほしい」と言われた場合でも、仕事が原因のケガであれば労災制度を利用できる可能性があります。制度について不明な点がある場合は、会社だけでなく労働基準監督署へ相談することもできます。
復帰時には、以前と同じ作業量で問題ないか、重量物の運搬や長時間歩行を減らせないかなど、職場と相談することも大切です。
まとめ
工場勤務による長時間の歩行や資材運搬などが原因で疲労骨折になった場合、派遣社員であっても労災の対象になる可能性があります。
労災が認められると、治療費の補償や休業補償給付を受けられる場合があります。また、労災による休業の場合は、同じ期間に傷病手当金と休業補償を両方受け取ることは基本的にできません。
まずは仕事内容や発症までの経緯を整理し、派遣元・派遣先への報告、医療機関への相談、必要な労災手続きを進めることが大切です。身体を守るためにも、無理に働き続けず適切な制度を利用しましょう。


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