美容室や飲食店などでSuicaを使おうとしたところ、「電子マネーの場合は手数料がかかります」「Suica払いなら料金を上乗せします」と言われることがあります。特に20%のような大幅な上乗せを突然告げられると、法律上問題がないのか疑問に感じるでしょう。
この問題では、「法律に違反するか」と「決済サービスの加盟店規約に違反するか」を分けて考えることが重要です。Suica払いへの上乗せがあるからといって直ちに犯罪や法律違反になるとは限りませんが、交通系電子マネーの加盟店契約上、問題になる可能性があります。
また、料金をいつ説明されたのか、店頭や料金表に表示されていたのか、実際にどの決済事業者との契約でSuicaを導入しているのかによっても判断材料が変わります。ここではSuica決済の仕組みから、20%上乗せされた場合の確認方法まで整理します。
- Suica払いには店舗側の加盟店手数料が発生する
- 「決済手数料がある」ことと「客に20%上乗せできる」ことは別問題
- JR東日本の交通系電子マネー加盟店規約では不利な取扱いを禁止
- ただし「規約違反」と「違法」は同じ意味ではない
- 店頭にSuicaマークがあっても契約先は一律ではない
- 20%という上乗せ率は「実際の加盟店手数料」と同じとは限らない
- 会計時に初めて20%上乗せを告げられた場合は料金表示も確認
- 実際に上乗せを求められたときに確認しておきたいこと
- Suica加盟店のルールについて問い合わせる方法
- 現金とSuicaで料金が違う場合の考え方を整理
- まとめ|Suica払い20%上乗せは「即違法」とは断定できないが加盟店規約上の問題になり得る
Suica払いには店舗側の加盟店手数料が発生する
店舗がSuicaなどの交通系電子マネーを導入すると、単純に売上金額がそのまま店舗へ入金されるわけではありません。契約内容に応じて決済に関する費用が発生します。
JR東日本も、Suica電子マネーの導入について、契約するアクワイアラによって費用が異なり、端末関係の費用のほかランニング費用が発生すると案内しています。[参照:JR東日本 Suica電子マネー決済導入のご案内]
さらにJR東日本が公開している交通系電子マネー利用加盟店規約では、加盟店が加盟店手数料を支払い、電子マネーによる売上金額から加盟店手数料を差し引いた金額が精算される仕組みが規定されています。つまり、決済コストそのものが存在することは事実です。
「決済手数料がある」ことと「客に20%上乗せできる」ことは別問題
店舗側に決済手数料が発生するからといって、その費用をそのまま「Suica手数料」として利用客へ請求できるとは限りません。店舗と決済事業者との間には加盟店契約があり、その契約上のルールに従う必要があるためです。
たとえば施術料金が5,000円の美容室で、「現金なら5,000円、Suicaなら20%増しの6,000円」とされた場合、差額は1,000円です。これは単なる数十円程度の端数ではなく、利用者にとって支払方法を選ぶ判断を左右する大きな価格差になります。
したがって、「店にも手数料がかかるから仕方ない」とだけ考えるのではなく、その価格差が加盟店契約上認められているのかを確認する必要があります。
JR東日本の交通系電子マネー加盟店規約では不利な取扱いを禁止
JR東日本が公開している「交通系電子マネー利用加盟店規約」には、この問題を考えるうえで非常に重要な規定があります。
同規約第6条では、正当な理由などがある場合を除き、加盟店が電子マネー取引を拒否したり、現金やクレジットカードなど別の支払方法を要求したりすることに加え、他の支払方法の場合と異なる代金を請求するなど、電子マネーを利用しない一般の顧客より不利な取扱いをしてはならない旨が定められています。[参照:JR東日本 交通系電子マネー利用加盟店規約]
そのため、この規約が適用される加盟店で「現金なら5,000円、Suicaなら6,000円」というようにSuica利用者だけ高い料金を請求する行為は、少なくとも加盟店規約との関係で問題となり得ます。
ただし「規約違反」と「違法」は同じ意味ではない
ここは混同しやすいポイントです。加盟店規約は、基本的には決済サービスを提供する事業者と加盟店との間の契約上のルールです。そのため、規約に反する料金設定だからといって、それだけを理由に直ちに刑事罰が科される「違法行為」になるわけではありません。
一方、加盟店契約に違反していると判断されれば、決済事業者側から改善を求められたり、契約上の措置を受けたりする可能性があります。JR東日本の公開規約でも、電子マネー取引が不適当と判断された場合、取引方法などの変更・改善を求めることができ、契約違反など一定の場合には契約解除に関する規定も設けられています。[参照:JR東日本 交通系電子マネー利用加盟店規約]
つまり、「Suica払いだけ20%高かった」というケースでは、「20%上乗せ=即違法」と断定するより、「加盟店規約に抵触する可能性があり、料金表示の方法によっては消費者取引上の別の問題も生じ得る」と整理するのが適切です。
店頭にSuicaマークがあっても契約先は一律ではない
もう一つ注意したいのは、Suicaが使える店舗だからといって、すべての店がJR東日本とまったく同一の形態で直接契約しているとは限らないことです。
JR東日本も、Suica電子マネーの加盟店契約について契約形態があり、契約するアクワイアラによって導入費用などが異なると案内しています。そのため、実際の店舗について規約違反かどうかを確定するには、その店舗がどの決済事業者・アクワイアラを通じてSuicaを導入しているのか、その契約条件がどうなっているのかまで確認する必要があります。[参照:JR東日本]
利用者側から契約内容を確認できない場合は、店舗へ確認するか、レシートや決済端末などから決済サービスの提供会社が分かる場合には、その事業者へ問い合わせる方法があります。
20%という上乗せ率は「実際の加盟店手数料」と同じとは限らない
店舗から「手数料がかかるので20%増しです」と説明された場合でも、20%がそのまま決済会社へ支払われる加盟店手数料だと考える必要はありません。
JR東日本の公開規約では、加盟店手数料は電子マネー取引の売上金額に別途定める手数料率を乗じて計算するとされていますが、公開されている一般規約には一律の具体的な料率は示されていません。契約形態によって条件が異なるため、「Suicaの決済手数料は必ず○%」と一律に断定することはできません。[参照:JR東日本 交通系電子マネー利用加盟店規約]
そのため20%という数字を提示された場合は、「これは何の20%なのか」「Suica利用手数料なのか、それともキャッシュレス利用時の別料金なのか」を確認すると状況を整理しやすくなります。
会計時に初めて20%上乗せを告げられた場合は料金表示も確認
美容室の場合、施術を受ける前に料金表を確認していたにもかかわらず、会計時になって初めて「Suicaなら20%追加です」と説明されたのであれば、事前にどのような価格表示や説明がされていたのかも重要になります。
たとえば店頭、メニュー、予約サイトなどに「カット5,000円」とだけ表示され、Suica利用時の追加料金について一切表示がなく、施術後に突然6,000円を請求されたケースと、予約前から「現金5,000円・電子マネー6,000円」と明確に表示されていたケースでは事情が異なります。
消費者契約では、事業者と消費者との情報量・交渉力の差を踏まえて消費者を保護する制度があります。消費者庁も、事業者には契約内容について必要な情報を提供するよう努めることなどを案内しています。[参照:消費者庁]
実際に上乗せを求められたときに確認しておきたいこと
その場でトラブルになりそうな場合は、感情的に店員と争うよりも、料金の根拠を落ち着いて確認する方が有効です。「通常料金はいくらですか」「20%はSuicaを使う場合だけですか」「どこにその料金が表示されていますか」と確認すると、事実関係が整理できます。
すでに支払った場合は、レシート、領収書、料金表、予約時の料金が分かる画面、Suica利用時に20%追加すると書かれた掲示物などを保存しておくとよいでしょう。口頭で説明された場合には、日時や説明内容を忘れないうちにメモしておく方法もあります。
特に「通常料金」と「Suicaで実際に請求された料金」の両方が確認できれば、決済事業者などへ問い合わせる際にも説明しやすくなります。
Suica加盟店のルールについて問い合わせる方法
Suicaが利用できる店舗には、通常Suicaなど交通系電子マネーのマークが掲示されています。JR東日本も、Suicaマークなどが掲出されている店舗でSuicaを買い物に利用できると案内しています。[参照:JR東日本 FAQ]
ただし、店舗での取引についてJR東日本は「Suicaをお使いになった店舗に直接お問い合わせください」と案内しています。まず店舗へ料金の根拠を確認し、それでも疑問が残る場合には、その店舗の決済サービスを取り扱っている事業者へ加盟店規約上問題がないか問い合わせるのが現実的です。[参照:JR東日本]
また、料金表示や契約をめぐって店舗とのトラブルになり、自分だけでは解決が難しい場合には、消費生活センター等へ相談する選択肢もあります。
現金とSuicaで料金が違う場合の考え方を整理
| 状況 | 考え方 |
|---|---|
| Suica利用で店舗に決済コストが発生する | 加盟店側に手数料等が発生すること自体は通常あり得る |
| Suica利用者だけ20%高くする | 適用される加盟店規約に抵触する可能性がある |
| 上乗せが加盟店規約に反する | 規約違反と法律違反は別問題であり、直ちに犯罪になるとは限らない |
| 施術後に初めて追加料金を告げられた | 事前の料金表示や説明内容も重要になる |
| 実際に支払ってしまった | レシート、料金表、予約画面などを保存する |
| 店舗との話し合いで解決しない | 決済事業者や消費生活センター等への相談を検討する |
特に重要なのは、「キャッシュレス決済には店舗側のコストがある」という話と、「そのコストを利用者へ追加請求してよい」という話を混同しないことです。
まとめ|Suica払い20%上乗せは「即違法」とは断定できないが加盟店規約上の問題になり得る
美容室などでSuica払いを選択した際に20%を上乗せされた場合、上乗せという事実だけから直ちに法律違反・犯罪だと断定することはできません。一方で、交通系電子マネーには加盟店契約上のルールがあり、支払方法によって電子マネー利用者へ異なる代金を請求することを禁止する規定が存在します。
JR東日本が公開している交通系電子マネー利用加盟店規約では、電子マネーを利用しない一般の顧客より不利な取扱いをすることを禁止しています。その規約が適用される加盟店でSuica利用時だけ20%高くするのであれば、加盟店契約との関係で問題となる可能性があります。[参照:JR東日本 交通系電子マネー利用加盟店規約]
実際に遭遇した場合は、通常料金とSuica利用時の料金、上乗せの理由、事前表示の有無を確認し、レシートや料金表などを残しておくのがおすすめです。「加盟店規約違反の可能性」と「法律上の違法性」は分けて考え、必要に応じて店舗、決済事業者、消費生活センター等へ確認するのが適切な対応です。


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