精神障害者保健福祉手帳と障害年金の両方を利用している場合、それぞれの更新時期が近いと「手帳は診断書ではなく年金証書を使って更新したほうがよいのか」と迷うことがあります。
精神障害者保健福祉手帳は有効期間が2年間で、更新するには所定の手続きが必要です。一方、障害年金は手帳とは別の制度であり、診断書の提出が必要になる時期も手帳の有効期限と一致するとは限りません。
精神障害を支給事由とする障害年金を現に受給している場合、精神障害者保健福祉手帳は、所定の診断書ではなく年金関係書類を利用して更新できる場合があります。ただし「翌月に障害年金の更新がある」というだけで、新しい年金の審査結果を待ってから手帳を更新したほうがよいとは限りません。手帳の有効期限と自治体の手続きを基準に考えることが大切です。
精神障害者保健福祉手帳は2年ごとに更新する
精神障害者保健福祉手帳は、一定程度の精神障害の状態にあることを認定する制度です。厚生労働省によると、手帳の等級は1級から3級まであり、精神疾患の状態と能力障害の状態の両面から総合的に判断されます。[参照:厚生労働省 障害者手帳について]
精神保健福祉法では、手帳の交付を受けた人は2年ごとに障害状態について認定を受ける仕組みになっています。更新申請は有効期限の3か月前から行うことができます。[参照:厚生労働省 精神障害者保健福祉手帳制度実施要領]
例えば手帳の有効期限が7月末なら、一般にはその3か月前から更新申請が可能になります。障害年金の次回診断書提出時期が8月だったとしても、手帳と障害年金は別制度なので、それぞれの期限を基準に手続きを考えます。
障害年金を受給していれば年金証書等で手帳を更新できる場合がある
精神障害者保健福祉手帳の申請・更新では、所定の診断書を提出する方法のほか、精神障害を支給事由とする障害年金を現に受給している場合には、年金証書等を利用する方法があります。
例えばさいたま市では、手帳申請に必要な書類として、所定の診断書のほか「年金証書(精神障害を支給事由とする年金)の写し又は年金払込(支払)通知書の写し及び同意書」を案内しています。マイナンバーによる情報連携で年金情報を確認する場合には証書等の写しが不要となる場合もあります。[参照:さいたま市 精神障害者保健福祉手帳の申請について]
横浜市でも、診断書または年金証書等のいずれかを選択する形で案内されており、年金を利用する場合には、精神障害を支給事由とする年金を現に受けていることを証する書類と同意書が必要とされています。[参照:横浜市 精神障害者保健福祉手帳の申請]
「年金証書」といっても古い証書1枚だけで判断されるとは限らない
注意したいのは、障害年金を受給し始めたときの古い年金証書を1枚持参すれば必ず手続きが完了する、という意味ではないことです。
厚生労働省の通知では、年金証書だけでは現在の障害等級や支給状況を確認できない場合があるため、年金裁定通知書や年金支払通知書などを参照して確認することが示されています。必要な情報を確認できない場合には、本人の同意を得たうえで年金事務所等へ照会する仕組みもあります。[参照:厚生労働省 年金証書等による手帳の障害等級認定]
したがって、実際の更新時には住んでいる自治体の障害福祉担当窓口へ「精神障害による障害年金を受給中で、年金関係書類を使って手帳を更新したい」と伝え、必要書類を確認するのが確実です。
年金証書等で更新すると手帳の等級はどうなる?
精神障害を支給事由とする障害年金の受給を根拠として手帳を申請する場合、厚生労働省の通知では、原則として障害年金1級なら手帳1級、障害年金2級なら手帳2級、障害年金3級なら手帳3級として認定する取扱いが示されています。[参照:厚生労働省]
一方、診断書による申請では、提出された診断書を基に精神疾患の状態や生活能力などについて判定が行われます。このため、診断書を使う方法と障害年金を根拠にする方法では、認定の仕組みが異なります。
年金証書等による申請には、手帳更新のためだけに新たな診断書を取得する負担を減らせる可能性があるというメリットもあります。ただし、障害年金が精神障害を理由として支給されていることなど、制度上の条件を満たす必要があります。
手帳が7月、障害年金が8月更新ならどう考える?
例えば、精神障害者保健福祉手帳の有効期限が7月で、障害年金の次回診断書提出年月がその直後の8月というケースを考えてみます。この場合でも、7月の手帳更新時点で精神障害を支給事由とする障害年金を現に受給しており、自治体が年金情報を確認できるのであれば、年金を根拠とする手帳更新が可能かを窓口へ確認する価値があります。
一方で、8月には障害年金そのものについて改めて障害状態の審査が行われる可能性があります。手帳を年金証書等で更新したからといって、そのことによって翌月の障害年金の更新審査まで済むわけではありません。障害年金側から障害状態確認届(診断書)の提出を求められた場合には、別途その手続きが必要です。
逆に「8月に年金更新があるから、その結果が出るまで7月期限の手帳を放置する」という判断もおすすめできません。手帳は有効期限の3か月前から更新できるため、期限前に自治体へ相談し、利用できる書類を確認しておくほうが安心です。
手帳の有効期限を過ぎてから更新することも制度上は可能
厚生労働省の精神障害者保健福祉手帳制度実施要領では、有効期限を過ぎた後でも更新申請を行うことができるとされています。また、更新後の有効期限は更新前の有効期限から2年後となる取扱いが示されています。[参照:厚生労働省 精神障害者保健福祉手帳制度実施要領]
ただし、だからといって意図的に期限切れまで待つメリットがあるとは限りません。更新手続きが遅れると、手帳を提示して利用している自治体・民間事業者の割引や福祉サービスなどで影響が生じる可能性があります。
手帳を継続して利用したいのであれば、基本的には更新可能期間に入った段階で手続きを確認しておくのが安全です。
更新前に自治体へ確認したい4つのポイント
手帳と障害年金の更新時期が近い場合は、手帳の期限が来る前に市区町村の障害福祉担当窓口へ問い合わせておくと手続きが整理しやすくなります。
- 現在受給している障害年金は、精神障害を支給事由とするものとして手帳更新に利用できるか
- 年金証書・年金振込通知書など、具体的に何を提出すればよいか
- マイナンバーによる情報連携を利用できるか
- 翌月に障害年金の更新予定がある場合でも、現在の受給情報で手帳更新を申請できるか
自治体によって提出方法や必要書類の案内に違いがあるため、インターネット上の体験談だけで判断するより、自分が住民登録している市区町村へ確認するのが確実です。
まとめ:精神障害による障害年金を受給中なら年金証書等で手帳を更新できる場合がある
精神障害者保健福祉手帳は2年ごとの更新が必要ですが、精神障害を支給事由とする障害年金を現に受給している場合には、所定の診断書ではなく年金証書等を根拠として手帳を更新できる制度があります。
手帳の期限が7月、障害年金の更新が8月というように1か月ずれていても、両者は別々の制度です。7月の手帳更新時点で利用できる年金情報があるなら、その情報による更新が可能か自治体へ確認し、障害年金については8月の更新手続きを別途行う、という整理が基本になります。
「年金の更新結果が出るまで手帳更新を待つべきか」「現在の年金証書等で申請できるか」は個別の受給状況や自治体の確認方法によって変わるため、手帳の有効期限3か月前になったら、市区町村の精神障害者保健福祉手帳担当窓口へ現在の年金受給状況と次回の年金更新月を伝えて確認するのが最も確実です。


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