会社員として厚生年金に加入していた人が、病気やけがによって障害厚生年金2級に該当した場合、「実際に月いくら受け取れるのか」は、これまでの給与・賞与や厚生年金加入期間などによって変わります。
たとえば、年収450万円程度で13年間会社員として勤務していた人について、現在の制度を使って概算すると、条件を単純化した場合、障害基礎年金2級と障害厚生年金2級を合わせて月約12万円前後が一つの目安になります。対象となる配偶者や子どもがいる場合には、さらに加算される可能性があります。
この記事では、2026年度(令和8年度)の年金額を使い、年収450万円・厚生年金加入13年という具体例で障害厚生年金2級のおおよその受給額を計算します。なお、ここでは等級が2級に決定したものと仮定し、主に金額の計算に絞って解説します。
- 障害厚生年金2級は「障害基礎年金+報酬比例部分」が基本
- 2026年度の障害基礎年金2級は年84万7300円
- 年収450万円なら報酬比例部分はいくらになる?
- 13年勤務でも障害厚生年金では300月として計算されることが重要
- 年収450万円・13年勤務を実際に概算すると月約12万円
- ざっくり言えば「月12万円前後」と考えると分かりやすい
- なぜ「13年しか勤務していない」のに月12万円程度になるのか
- 年収450万円でも給与と賞与の内訳によって正式額は変わる
- 13年間の平均年収が450万円なのか直近年収が450万円なのかで差が出る
- 一定条件の配偶者がいると年24万3800円が加算されることがある
- 子どもがいる場合は障害基礎年金に子の加算が付くこともある
- 本人分・配偶者あり・子1人ありで比較するとどうなる?
- 障害年金は実際には毎月振り込まれるわけではない
- 精神障害でも年金額の計算式そのものは基本的に同じ
- 退職していても「退職時の年収×13年」だけで決まるわけではない
- 年収450万円・13年勤務ならまず「月12万円前後」を目安にできる
- まとめ:障害厚生年金2級なら年収450万円・13年勤務で月約12万2000円が概算目安
障害厚生年金2級は「障害基礎年金+報酬比例部分」が基本
厚生年金に加入している期間に初診日があり、障害厚生年金2級に該当した場合、基本的には障害基礎年金2級と障害厚生年金2級の両方を受け取ります。
日本年金機構によると、障害厚生年金2級の年金額は「報酬比例の年金額+一定条件を満たす配偶者の加給年金額」で計算されます。さらに、1級または2級の障害厚生年金を受けられる人には障害基礎年金も支給されます。[参照] 日本年金機構「障害厚生年金の受給要件・請求時期・年金額」
したがって、2級の場合に「厚生年金部分だけで月いくら」と考えると実際の受取額より少なく見えてしまいます。基本的には1階部分の障害基礎年金と2階部分の障害厚生年金を合計して考えます。
2026年度の障害基礎年金2級は年84万7300円
2026年度(令和8年度)の障害基礎年金2級は、昭和31年4月2日以後生まれの場合、年額847,300円です。月額換算すると約70,608円になります。[参照] 日本年金機構「年金給付 令和8年度」
計算すると、847,300円÷12=約70,608円です。この約7万600円に、給与・賞与などを基に計算される障害厚生年金の報酬比例部分を足すのが基本的な考え方です。
なお、昭和31年4月1日以前生まれの場合は金額がわずかに異なります。また年金額は毎年度改定される可能性があるため、翌年度以降は最新金額を確認する必要があります。
年収450万円なら報酬比例部分はいくらになる?
障害厚生年金の報酬比例部分は、単純に「年収の何%」と決まっているわけではありません。厚生年金加入中の標準報酬月額や標準賞与額などを基に計算します。
平成15年4月以降の加入期間について、日本年金機構が示している基本的な計算式は、概略として平均標準報酬額×5.481÷1,000×加入月数です。実際には過去の報酬を現在価値に置き換える再評価率なども使われるため、簡易計算と正式な年金額には差が生じることがあります。[参照] 日本年金機構「報酬比例部分」
年収450万円を単純に12カ月で割ると、月平均は37万5,000円です。ここでは分かりやすくするため、標準報酬月額と賞与を平均した「平均標準報酬額」も37万5,000円程度だったと仮定して計算します。
13年勤務でも障害厚生年金では300月として計算されることが重要
厚生年金に13年間加入していた場合、実際の加入期間はおよそ156カ月です。しかし障害厚生年金の計算には非常に重要な特例があります。
日本年金機構によると、障害厚生年金の報酬比例部分を計算する際、厚生年金の被保険者期間が300月(25年)に満たない場合は300月として計算します。[参照] 日本年金機構「障害厚生年金の年金額」
つまり、13年勤務だから「37万5,000円×5.481÷1,000×156カ月」とするのではなく、条件を単純化した概算では300カ月を使います。この300月みなしがあるため、加入期間が比較的短い人でも一定額の障害厚生年金を受けられる仕組みになっています。
年収450万円・13年勤務を実際に概算すると月約12万円
ここまでの条件を使って簡易計算してみます。年収450万円を月平均37万5,000円とし、厚生年金加入期間は13年ですが300月未満なので300月として計算します。
報酬比例部分の概算は、375,000円×5.481÷1,000×300月=約616,613円/年となります。
ここに2026年度の障害基礎年金2級847,300円を加えると、847,300円+616,613円=約1,463,913円/年です。
| 項目 | 概算額 |
|---|---|
| 障害基礎年金2級 | 年847,300円 |
| 障害厚生年金の報酬比例部分 | 年約616,600円 |
| 合計 | 年約1,463,900円 |
| 月額換算 | 約122,000円 |
したがって、このモデルケースでは月額換算で約12万2,000円が一つの目安になります。
ざっくり言えば「月12万円前後」と考えると分かりやすい
年収450万円、厚生年金加入13年、障害厚生年金2級という条件だけから大まかな金額を知りたいのであれば、配偶者加給や子の加算を除いて月12万円前後と考えるとイメージしやすいでしょう。
ただし、年収450万円という数字だけでは正式額を算出できません。実際には各月の標準報酬月額、標準賞与額、加入していた時期、過去の報酬に対する再評価などが反映されます。
そのため、実際の決定額が11万円台や12万円台などになる可能性はあります。ここでの約12万2,000円は、年収450万円を平均報酬に単純換算した概算値です。
なぜ「13年しか勤務していない」のに月12万円程度になるのか
老齢厚生年金では、基本的に実際の厚生年金加入期間が年金額へ反映されます。一方、障害厚生年金では加入期間300月未満の場合に300月とみなす仕組みがあります。
仮に13年間の156カ月だけで単純計算すると、375,000円×5.481÷1,000×156=約320,600円/年です。しかし300月みなしを使うと約616,600円/年となり、厚生年金部分だけでも約29万6,000円の差が生じます。
このため、「勤務13年だから厚生年金部分は非常に少ないはず」とは限りません。障害厚生年金の金額を概算するときには300月みなしを忘れないことが重要です。
年収450万円でも給与と賞与の内訳によって正式額は変わる
年収450万円という数字は概算には便利ですが、障害厚生年金は源泉徴収票に書かれた年収をそのまま計算式へ入れる制度ではありません。
たとえば「毎月37万5,000円で賞与なし」と「毎月30万円で年2回合計90万円の賞与」では、どちらも年間450万円です。厚生年金では標準報酬月額と標準賞与額が使われるため、実際の計算過程はそれぞれ異なります。
さらに、13年間ずっと年収450万円だったとは限りません。入社当初は年収300万円、数年後に350万円、直近では450万円という場合、単純に450万円だけを使った試算より正式額が低くなる可能性があります。
13年間の平均年収が450万円なのか直近年収が450万円なのかで差が出る
障害厚生年金の試算で特に重要なのが、「年収450万円」が何を意味するかです。直近1年間だけ450万円だった場合と、厚生年金加入期間を通じた平均的な報酬が450万円程度だった場合では結果が違います。
たとえば13年間の平均標準報酬額が30万円程度なら、300,000円×5.481÷1,000×300=約493,300円/年です。障害基礎年金847,300円を加えると約134万600円/年、月額換算で約11万1,700円になります。
平均標準報酬額が40万円程度なら、厚生年金部分は約657,700円/年となり、基礎年金と合わせて約150万5,000円/年、月額換算約12万5,400円です。
| 平均標準報酬額の仮定 | 厚生年金部分の概算 | 基礎年金込み月額の概算 |
|---|---|---|
| 30万円 | 年約49.3万円 | 月約11.2万円 |
| 35万円 | 年約57.6万円 | 月約11.9万円 |
| 37.5万円 | 年約61.7万円 | 月約12.2万円 |
| 40万円 | 年約65.8万円 | 月約12.5万円 |
年収450万円という情報だけで幅を持たせて考えるなら、過去の給与水準にもよりますが、月11万円台後半~12万円台程度が一つのイメージになります。
一定条件の配偶者がいると年24万3800円が加算されることがある
障害厚生年金2級では、一定の条件を満たす配偶者がいる場合に配偶者加給年金額が付くことがあります。2026年度の加給年金額は年243,800円です。
月額換算すると約20,317円です。先ほどのモデルケースで約12万2,000円/月だった人に配偶者加給年金が付けば、単純な月額換算では約14万2,000円になります。
対象となるのは原則として受給者に生計を維持されている65歳未満の配偶者ですが、配偶者自身が一定の老齢厚生年金や障害年金を受ける権利を持つ場合など、加給年金が支給停止となるケースがあります。[参照] 日本年金機構「障害厚生年金の年金額」
子どもがいる場合は障害基礎年金に子の加算が付くこともある
障害基礎年金1級・2級を受ける人に一定年齢の子どもがいる場合には、子の加算もあります。2026年度は第1子・第2子について1人につき年243,800円、第3子以降は1人につき年81,300円です。[参照] 日本年金機構「令和8年度の障害年金額」
たとえば対象となる子が1人いる場合、年243,800円、月平均で約20,300円が追加される計算です。
したがって、配偶者や子どもの状況によっては、本人分だけで計算した月12万円前後より実際の年金額が大きくなることがあります。
本人分・配偶者あり・子1人ありで比較するとどうなる?
年収450万円相当、平均標準報酬額37万5,000円と仮定した先ほどの例を使って、加算の有無による違いを見てみます。
| 条件 | 年間概算 | 月額換算 |
|---|---|---|
| 本人分のみ | 約146.4万円 | 約12.2万円 |
| 対象配偶者あり | 約170.8万円 | 約14.2万円 |
| 対象となる子1人あり | 約170.8万円 | 約14.2万円 |
| 対象配偶者+対象となる子1人 | 約195.2万円 | 約16.3万円 |
これは制度を理解するための概算であり、配偶者加給や子の加算にはそれぞれ要件があります。しかし、家族構成によって年間数十万円単位で受給額が変わる可能性があることが分かります。
障害年金は実際には毎月振り込まれるわけではない
「月12万円」という表現は年間の年金額を12で割った月額換算です。公的年金は原則として偶数月に、前月までの2カ月分がまとめて支払われます。
そのため月約12万2,000円相当なら、通常の支払期では単純計算で約24万4,000円ずつ振り込まれるイメージです。実際には端数処理や支給開始月などによって金額が変わります。
日本年金機構も、年金の各支払期には基本的に年金額を6で割った額が支払われると案内しています。[参照] 日本年金機構「年金振込通知書の金額について」
精神障害でも年金額の計算式そのものは基本的に同じ
障害年金の金額は、「精神障害だからこの金額」「身体障害だからこの金額」というように傷病名ごとの定額で決まるものではありません。
同じ障害厚生年金2級として認定された場合、年金額は障害基礎年金の年度額と、厚生年金加入時の報酬などを基礎とした報酬比例部分によって計算されます。
したがって、うつ病、双極性障害、統合失調症など精神疾患を原因とする場合でも、2級と認定された後の年金額計算については、基本的に同じ障害厚生年金の計算式を使用します。
退職していても「退職時の年収×13年」だけで決まるわけではない
障害厚生年金の年金額を考える際に、退職直前の年収だけを使って正確な金額を求めることはできません。これまでの標準報酬月額や標準賞与額などの履歴が必要です。
また、日本年金機構によると、障害認定日の属する月より後の厚生年金被保険者期間は、障害厚生年金の報酬比例部分の計算には含めません。そのため「13年間勤務した」という情報でも、障害認定日の時期によって計算対象となる期間が異なることがあります。[参照] 日本年金機構「報酬比例部分」
正確な金額を知りたい場合は、年金事務所などで実際の標準報酬記録を基に確認するのが確実です。
年収450万円・13年勤務ならまず「月12万円前後」を目安にできる
金額だけを簡潔に整理すると、2026年度の制度で、平均標準報酬額を年収450万円÷12=37万5,000円程度と仮定し、障害厚生年金2級として計算した場合、本人分は次のようになります。
- 障害基礎年金2級:約70,608円/月
- 障害厚生年金の報酬比例部分:約51,400円/月
- 合計:約122,000円/月
- 年間:約146万4,000円
13年間の厚生年金加入期間は300月未満なので、障害厚生年金の報酬比例部分については300月として計算されることが大きなポイントです。
ただし、実際の平均標準報酬額が37万5,000円より低ければ受給額も下がり、高ければ上がります。したがって「年収450万円・13年勤務」という情報だけなら、月12万円程度を中心に、11万円台後半~12万円台くらいを概算の目安として考えるのが分かりやすいでしょう。
まとめ:障害厚生年金2級なら年収450万円・13年勤務で月約12万2000円が概算目安
年収450万円程度で13年間厚生年金に加入していた人が障害厚生年金2級に該当したと仮定すると、2026年度の金額を使った簡易計算では、本人分だけで年約146万円、月額換算約12万2,000円が一つの目安になります。
内訳は、障害基礎年金2級が年847,300円、平均標準報酬額を37万5,000円と仮定した障害厚生年金の報酬比例部分が年約616,600円です。両方を合わせて年約146万3,900円となります。
重要なのは、厚生年金加入13年=156カ月をそのまま使うわけではない点です。障害厚生年金では被保険者期間が300月未満の場合、原則として300月とみなして報酬比例部分を計算します。そのため13年間の勤務でも、一定の年金額が確保される計算になります。
さらに一定条件を満たす65歳未満の配偶者がいれば年243,800円の配偶者加給年金、対象となる子がいれば子の加算が付く可能性があります。反対に、年収450万円が直近だけの金額で過去の平均報酬が低ければ、実際の受給額は試算より少なくなる可能性があります。
したがって「年収450万円・厚生年金13年・障害2級」という前提だけで簡潔に答えるなら、配偶者・子の加算なしで月12万円前後が概算の目安となります。
※本記事は2026年8月時点の日本年金機構の令和8年度公表資料に基づく概算です。実際の障害厚生年金額は標準報酬月額、標準賞与額、加入時期、再評価率、障害認定日、配偶者・子の加算などによって異なります。また、ここでの金額試算は障害等級2級に該当したものと仮定したものであり、実際の等級認定結果を示すものではありません。


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