親が亡くなった後の相続では、預貯金の残高だけではなく、亡くなる前に大きなお金の移動がなかったかを確認することが重要です。特に、介護や身の回りの世話をしていた家族が親のキャッシュカードを管理していた場合、多額の出金があると相続人の間でトラブルになることがあります。この記事では、相続開始前に親の口座から多額のお金が引き出されていた場合の確認方法や、相続財産としてどのように扱われる可能性があるのかを解説します。
相続では亡くなる前の預金の動きも確認することが大切
相続財産というと、亡くなった時点で口座に残っている預金だけを考えてしまいがちですが、相続では死亡前のお金の流れも確認されることがあります。
例えば、親が亡くなる数か月前に預金から高額な出金が続いていた場合、そのお金が何に使われたのかを確認する必要があります。介護費用や医療費など本人のために使われたのであれば問題にならないケースもあります。
一方で、特定の相続人が親のカードを使って本人以外の目的でお金を取得していた場合、相続財産の計算や遺産分割に影響する可能性があります。
親のキャッシュカードを家族が管理していた場合の注意点
高齢の親を介護している家族が、買い物や生活費の支払いのためにキャッシュカードを預かることは珍しくありません。しかし、カードや暗証番号を預かっていることと、自由に預金を使ってよいことは別です。
例えば、親が自分の生活費や介護費用として毎月10万円を引き出すよう依頼していた場合、その利用目的が明確であれば説明しやすくなります。
しかし、短期間に数百万円から数千万円単位の出金があり、領収書や使途の記録が残っていない場合は、他の相続人から確認を求められることがあります。
相続人が確認できる預金の取引履歴
相続が発生した場合、相続人は金融機関に対して亡くなった人の預金取引履歴の開示を請求できます。
通帳だけでは過去のATM出金まですべて確認できない場合があるため、必要に応じて銀行から一定期間の入出金明細を取得します。
例えば、死亡する数か月前から毎日のようにATM出金がある場合、その金額や日時を確認することで、誰がどのように財産を管理していたのかを整理できます。
多額の引き出しは相続税や遺産分割に影響する可能性がある
亡くなる前に親の預金から引き出されたお金が、実質的に特定の相続人へ渡ったものと判断される場合、相続財産として考慮されることがあります。
例えば、親から子どもへ多額のお金が渡っていた場合、それが贈与だったのか、単なる預かり金だったのか、介護費用などの必要経費だったのかを確認する必要があります。
また、相続税の計算では、一定期間内の贈与が影響する場合があります。近年は生前贈与に関するルールも変更されているため、具体的な判断は税理士など専門家へ確認することが大切です。
遺産分割で特別受益として扱われるケース
相続人の一人だけが生前に多くの財産を受け取っていた場合、遺産分割では「特別受益」として考慮される可能性があります。
特別受益とは、相続人が被相続人から受けた特別な利益を指し、他の相続人との公平を調整するために使われる考え方です。
例えば、兄弟の一人だけが親から多額の資金援助を受けていた場合、残された財産を分ける際にその金額を考慮することがあります。ただし、実際に特別受益に該当するかは状況や証拠によって判断されます。
税理士や専門家に相談するときに準備するもの
相続手続きを進める際に、多額の出金が疑われる場合は、早めに税理士や司法書士、弁護士などへ相談すると安心です。
相談時には、預金通帳、金融機関の取引履歴、カード管理の経緯、介護費用の領収書、家族間のやり取りなど、確認できる資料を整理しておくと状況を説明しやすくなります。
重要なのは、最初から誰かを責めることではなく、亡くなった方の財産がどのように管理されていたのかを客観的な資料で確認することです。
まとめ
親の死亡前に預金から大きなお金が引き出されていた場合、その金額や使途によっては相続財産や遺産分割に影響する可能性があります。
介護のために必要だった支出と、相続人が取得したと考えられるお金は区別して確認することが重要です。
多額の出金が確認された場合は、預金履歴などの資料を集めたうえで税理士や法律の専門家に相談し、公平な相続手続きを進めることが大切です。


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