借金がある一方で、ドル建て生命保険にまとまった積立があり、さらにその保険から契約者貸付を受けている場合、「保険を解約して借金返済に回すべきか」「大きく元本割れしているなら保険を残した方がよいのか」と迷いやすくなります。例えば、外部の借金が200万円、ドル建て保険にこれまで400万円程度を積み立て、契約者貸付250万円を利用しており、現在解約すると手元に約50万円残るという状況です。このケースでは、「400万円積み立てたのにもったいない」という過去の払込額だけで判断せず、①現在の正確な解約返戻金、②契約者貸付の元金と利息、③外部借金の金利、④保険を今後維持するための保険料、⑤死亡保障などを本当に必要としているか、を数字で比較することが重要です。契約者貸付にも利息が付き続けるため、「借金200万円だけ」を見て判断すると実際の負債を過小評価する可能性があります。この記事では、ドル建て保険を解約して借金返済へ回すべきか判断する方法を具体例とともに解説します。
- まず整理したいのは「借金200万円+契約者貸付250万円」という状態
- 契約者貸付250万円は放置しても消えない
- 保険を解約すると契約者貸付250万円はどうなる?
- 「積立400万円」はそのまま資産400万円とは限らない
- ドル建て保険は解約時の為替レートにも左右される
- 市場価格調整(MVA)がある商品では解約額がさらに変動する
- 借金返済を優先すべきかは「金利差」で考える
- 具体例:借金200万円が年15%なら50万円返済の効果は大きい
- 借金が年2~3%なら判断は変わる可能性がある
- 「400万円払ったから解約したくない」は判断材料にしすぎない
- ただし「元本割れだから即解約」も危険
- 死亡保障を本当に必要としているか確認する
- 「払済保険」に変更できないか確認する
- 保険金額の減額という方法もある
- 契約者貸付の利息を最優先で確認する
- 契約者貸付が膨らむと保険が失効する可能性もある
- 保険を解約しても借金は50万円しか減らない点に注意
- 借金200万円の内訳を全部書き出す
- 50万円を返済へ使うなら高金利借入から検討する
- 50万円を全部返済に回して貯金ゼロにするのは危険
- 保険を解約する前に保険会社へ確認する7項目
- 1年待つ場合の数字も出してもらう
- 「元本まで戻るまで待つ」は必ずしも得ではない
- 今後もドル建て保険料を払うならその金額も比較する
- 借金返済は「確定利回り」と同じように考えられる
- 解約が比較的合理的になりやすいケース
- 解約を慎重にした方がよいケース
- 借金返済のために新たな契約者貸付を増やすのは慎重に
- 200万円の借金が返済困難なら債務整理の相談も選択肢
- 債務整理を考える場合は保険を先に勝手に解約しない方がよいこともある
- まず1枚の表にすれば判断しやすくなる
- 具体例:高金利借金ならどう考える?
- 具体例:低金利借金なら急いで解約しない選択も
- 今すぐやるべきことを順番に整理
- 保険会社に伝えるとよい質問
- 判断で最も避けたい3つの考え方
- まとめ:高金利の借金なら解約して50万円を返済へ回す合理性はあるが、まず金利と正確な返戻金を確認
まず整理したいのは「借金200万円+契約者貸付250万円」という状態
最初に重要なのは、契約者貸付も実質的には返済義務を伴う借入れだということです。生命保険文化センターによると、契約者貸付は生命保険の解約返戻金の一定範囲内で貸付けを受けられる制度で、貸付金には所定の利息が付きます。[参照:生命保険文化センター 契約者貸付]
したがって、外部のカードローン・消費者金融・銀行ローンなどに200万円の借金があり、契約者貸付を250万円利用しているなら、家計を分析するときには両方を把握する必要があります。ただし契約者貸付は一般的な無担保ローンと全く同じ仕組みではなく、保険契約の解約返戻金を基礎として貸付けを受けている点が異なります。
「借金は200万円だけ」と考えるのではなく、「外部借入200万円があり、さらに保険契約の中に250万円の貸付残高がある」と整理する方が実態を把握しやすくなります。
契約者貸付250万円は放置しても消えない
契約者貸付には生命保険会社所定の利息が付きます。生命保険文化センターによると、利息を返済しない場合には利息が元金へ組み入れられ、元利金が年々膨らむ仕組みになっています。[参照:生命保険文化センター]
例えば契約者貸付250万円に仮に年3%の利息がかかる契約なら、単純計算では1年間で約7万5,000円相当の利息です。実際の貸付利率や計算方法は契約によって異なるため、保険会社が発行する貸付残高通知や契約者ページで確認する必要があります。
「返済期限が特にないから後回しでよい」と考えるのは注意が必要です。返済しなければ利息が積み上がり、将来受け取れる保険金や解約返戻金を圧迫します。
保険を解約すると契約者貸付250万円はどうなる?
一般に、契約者貸付を残した状態で生命保険を解約すると、解約時に支払われる金額から貸付元金と利息が差し引かれます。例えばアクサ生命も、契約消滅時には支払われる金額から貸付金を差し引くと案内しています。[参照:アクサ生命 契約者貸付]
したがって「ドル建て保険に400万円あるのに、解約すると50万円しか戻らない」という場合、400万円という数字が何を意味しているかを確認する必要があります。これまで支払った保険料の累計なのか、現在の積立金なのか、貸付控除前の解約返戻金なのかによって意味が全く違います。
例えば貸付控除前の解約返戻金が約305万円で、契約者貸付の元利金が約255万円なら、解約後に受け取れる金額が約50万円になるという計算はあり得ます。実際の契約では為替、市場価格調整、解約控除、貸付利息なども影響するため、必ず保険会社へ「今日解約した場合の円ベースの手取り見込額」を確認してください。
「積立400万円」はそのまま資産400万円とは限らない
外貨建て保険では、「払込保険料累計」「積立金」「死亡保険金」「解約返戻金」「円換算額」など複数の数字が表示されます。これらを混同すると判断を誤ります。
例えばこれまで400万円を払い込んでいても、現在解約したときに400万円が戻るとは限りません。解約時期による控除や市場価格調整、為替変動などによって円換算後の解約返戻金が払込保険料総額を下回る場合があります。
生命保険文化センターも、外貨建て保険では為替変動によって円換算後の保険金や解約返戻金が払込保険料総額を下回る可能性があると説明しています。[参照:生命保険文化センター 外貨建て生命保険]
ドル建て保険は解約時の為替レートにも左右される
ドル建て保険の場合、解約返戻金がドルで計算される商品では、円へ換算したときの受取額が為替レートによって変化します。
例えば解約返戻金が3万ドルなら、1ドル100円なら300万円、1ドル150円なら450万円というように円換算額は大きく変わります。実際には為替手数料などもあるため、単純な掛け算どおりの金額を受け取れるとは限りません。
つまり「今解約すると損だから円安・円高になるまで待つ」という判断も可能ですが、為替の将来は予測できません。その間も契約者貸付の利息や外部借金の利息が発生するなら、為替だけを見て解約を先送りすることにもコストがあります。
市場価格調整(MVA)がある商品では解約額がさらに変動する
ドル建て保険の中には、市場価格調整、いわゆるMVAを採用している商品があります。これは解約時の市場金利などを解約返戻金へ反映させる仕組みです。
生命保険文化センターによると、市場価格調整を利用する保険では、中途解約時の市場金利が契約時より上昇すると解約返戻金が減少し、逆に市場金利が低下すると増加する場合があります。[参照:生命保険文化センター 市場リスクを有する生命保険]
そのため現在の解約返戻金が少ない理由が、契約者貸付だけなのか、MVA・解約控除・為替なども影響しているのかを確認することが大切です。
借金返済を優先すべきかは「金利差」で考える
保険を解約するか判断するときに最も重要な数字の一つが、外部借金の金利です。
例えば200万円の借金が年15%なら、単純計算した年間利息は約30万円です。一方、年3%なら約6万円です。この差は非常に大きく、同じ200万円の借金でも返済の緊急度は全く違います。
高金利の借金を抱えながら、将来のリターンが確定していない保険を維持する場合、「保険で増える可能性」と「借金で確実に発生する利息」を比較する必要があります。
具体例:借金200万円が年15%なら50万円返済の効果は大きい
借金200万円の金利を仮に年15%とすると、単純計算で年間約30万円の利息負担に相当します。
ここへ解約後の50万円を投入して元金を150万円に減らせれば、同じ年15%なら単純計算した年間利息は約22万5,000円となり、差は年間約7万5,000円です。
もちろん実際には毎月元金を返済するため利息額は変化しますが、高金利債務では元金を早期に減らす効果が大きいことが分かります。
借金が年2~3%なら判断は変わる可能性がある
一方、200万円の借金が住宅関連など低金利で年2%なら、単純計算した年間利息は約4万円です。
そのため、早期解約で大きな解約控除が発生する保険を解約してまで繰上返済するメリットは、高金利の消費者金融やカードローンの場合ほど明確ではありません。
つまり「借金があるなら保険は絶対解約」という単純な結論ではなく、借金の種類と実質年率を確認する必要があります。
「400万円払ったから解約したくない」は判断材料にしすぎない
これまで保険へ400万円支払った場合、「ここで解約したら400万円が無駄になる」と感じるのは自然です。しかし将来の意思決定では、過去に支払った金額だけを基準にしないことが重要です。
すでに支払った金額のうち取り戻せない部分は、今後保険を続けても過去へ戻って回収できるわけではありません。経済学では、このような過去の回収不能な支出をサンクコストと呼びます。
判断すべきなのは「今日から保険を続ける場合」と「今日解約する場合」の将来の差です。過去にいくら払ったかではなく、今後いくら保険料を払い、契約者貸付利息がいくら増え、どの保障を得られ、解約返戻金がどう変化するのかを比較します。
ただし「元本割れだから即解約」も危険
反対に、借金があるからといって内容を確認せず即日解約するのもおすすめできません。解約した瞬間に死亡保障などがなくなり、元の契約へ戻せないのが一般的だからです。
例えば家族の生活を支える人が大きな死亡保障を持っており、健康状態の変化によって新しい生命保険へ入り直すことが難しい場合、既存契約には大きな価値があります。
特に現在病気を治療している、過去に大きな病気をしたなどの場合は、「後で安い掛け捨て保険に入り直せばよい」と簡単には考えられません。現在の保障内容と再加入可能性を確認してから判断しましょう。
死亡保障を本当に必要としているか確認する
ドル建て終身保険などを維持する主目的が死亡保障なら、その保障が現在どの程度必要なのかを考えます。
例えば独身で扶養家族がおらず、十分な貯金がある人と、配偶者と小さな子ども2人を収入面で支えている人では死亡保障の必要性が大きく異なります。
保障が必要でも、ドル建て保険をそのまま維持する方法だけが唯一の選択肢ではありません。契約によっては減額や払済保険への変更ができる場合もあるため、解約・継続の二択にしないことが大切です。
「払済保険」に変更できないか確認する
保険料の支払いが家計を圧迫している場合、商品によっては払済保険へ変更できることがあります。
払済保険とは一般に、それ以降の保険料払い込みを停止し、その時点の解約返戻金などを基に保障額を小さくして保険を継続する仕組みです。契約者貸付を利用している場合に変更可能か、変更すると保障額がいくらになるかなどは契約ごとに異なります。
「解約すると保障がなくなるのが不安だが、これ以上保険料を払い続けるのも厳しい」という場合は、保険会社へ払済変更が可能か確認する価値があります。
保険金額の減額という方法もある
商品によっては死亡保険金額を減額し、保険料負担や契約規模を小さくできる場合があります。
例えば死亡保障1000万円が現在は必要なく、300万円程度で十分なら、全部を解約するのではなく一部を減額できる契約もあります。
ただし減額時に契約者貸付がどのように清算されるか、返戻金が発生するかは契約によって違います。保険会社へ試算を依頼しましょう。
契約者貸付の利息を最優先で確認する
契約者貸付250万円という金額が大きいため、貸付利率は意思決定に大きく影響します。
例えば貸付利率が年2%なら単純計算した年間利息は約5万円、年5%なら約12万5,000円です。複利で元金へ組み入れられる場合には、長期間放置するほど負担が増えます。
生命保険文化センターも、契約者貸付は利息が元金へ繰り入れられ、元利金が年々膨らむと注意喚起しています。[参照:生命保険文化センター 契約者貸付の留意点]
契約者貸付が膨らむと保険が失効する可能性もある
契約者貸付は解約返戻金を担保のように利用しているため、無制限に増やせるわけではありません。
生命保険文化センターによると、貸付元利金が解約返戻金を超え、保険会社から指定された金額を期限までに払い込まない場合には契約が失効することがあります。[参照:生命保険文化センター]
契約者貸付250万円を利用して解約後の受取額が50万円程度まで減っているなら、今後の貸付利息と解約返戻金の差がどう推移するのかを早めに確認するべき状態です。
保険を解約しても借金は50万円しか減らない点に注意
外部借金が200万円あり、保険解約後の手取りが50万円なら、その50万円を全額返済しても借金は単純計算で150万円残ります。
したがって「保険を解約すれば借金問題が解決する」という状況ではありません。解約後に毎月いくら返済でき、150万円を何年で完済できるのかまで計画する必要があります。
例えば月3万円しか元利返済に回せない高金利債務では完済まで長期化する可能性があります。50万円を投入するかどうかと同時に、毎月の収支改善も必要です。
借金200万円の内訳を全部書き出す
判断前に、借入先ごとの残高・金利・毎月返済額を一覧にしてください。
| 借入先 | 残高 | 実質年率 | 毎月返済額 |
|---|---|---|---|
| カードローンA | 100万円 | 例:14.5% | 例:2万円 |
| クレジットカードリボ | 60万円 | 例:15.0% | 例:1万5,000円 |
| その他 | 40万円 | 例:10.0% | 例:1万円 |
| 契約者貸付 | 250万円 | 契約書で確認 | 契約条件による |
この表を作ると、優先的に返すべき借金が分かります。一般には、条件や手数料などを確認したうえで金利の高い債務から元金を減らすと利息軽減効果が大きくなります。
50万円を返済へ使うなら高金利借入から検討する
複数の借入れがある場合、50万円を均等に返すより、高金利の借入れへ重点的に返済する方が総利息を減らせることがあります。
例えば年15%のカードローン100万円と年5%の借入100万円があるなら、50万円を年15%側へ返す方が単純な利息削減効果は大きくなります。
ただし一括・繰上返済時の条件、最低返済額、各契約の手数料などを確認してください。また生活費まで全額返済へ投入して預金ゼロになることも避ける必要があります。
50万円を全部返済に回して貯金ゼロにするのは危険
保険解約後に手元へ50万円戻るとしても、現金預金が他にほとんどない場合は50万円全額を返済へ入れることが常に最善とは限りません。
例えば翌月に家賃、税金、車検、医療費などで20万円必要になり、預金がゼロなら、再びカードローンを借りることになりかねません。
最低限の生活防衛資金を確保し、残りを高金利借金へ返す方法も検討します。生活防衛資金の適正額は雇用の安定性や家族構成によって異なります。
保険を解約する前に保険会社へ確認する7項目
- 今日解約した場合の解約返戻金はいくらか
- 契約者貸付の元金はいくらか
- 現在までの貸付利息はいくらか
- 現在の契約者貸付利率は年何%か
- 貸付控除後、円で実際に振り込まれる見込額はいくらか
- 解約せず払済・減額へ変更できるか
- 1年後・3年後などの解約返戻金試算を出せるか
特に重要なのは「今解約すると50万円」という口頭の数字だけで判断せず、その50万円が貸付元利金、為替、MVA、解約控除などをすべて反映した最終的な円の受取見込額か確認することです。
1年待つ場合の数字も出してもらう
保険会社には「現在解約した場合」だけでなく、「契約条件が現在の想定どおり推移した場合、1年後の解約返戻金はいくらになるか」も確認すると比較しやすくなります。
ただしドル建て保険なので、将来の円換算額は為替によって変動します。また市場価格調整のある商品では金利環境でも変化します。したがって将来額は保証値と試算値を分けて確認してください。
1年間保険を維持した結果、解約返戻金が増える見込みより、外部借金と契約者貸付の利息増加の方が大きいのであれば、「元本回復を待つ」ことが経済的に不利になる可能性があります。
「元本まで戻るまで待つ」は必ずしも得ではない
400万円を支払った保険なら「400万円まで戻ってから解約したい」と考えやすいですが、そこまで何年かかるかが重要です。
仮に元本相当まで回復するのに10年必要で、その間に外部借金へ毎年20万円以上の利息を払うのであれば、合計では大きな負担になります。
「解約返戻金の損失」だけでなく「解約を待つ間に支払う借金利息」という機会費用まで含めて比較する必要があります。
今後もドル建て保険料を払うならその金額も比較する
契約が払込済みでない場合、今後も保険料を支払う必要があります。その保険料も借金返済との比較対象です。
例えば毎月3万円をドル建て保険へ払いながら、年15%の借金200万円を返済しているとします。年間36万円が保険料へ向かうため、その分だけ借金の完済が遅くなる可能性があります。
保障が本当に必要なら別ですが、資産形成目的が中心であれば、高金利の負債を抱えながら新たな積立を続ける合理性は慎重に検討した方がよいでしょう。
借金返済は「確定利回り」と同じように考えられる
高金利借金の繰上返済には、投資とは違って分かりやすい効果があります。例えば年15%の債務を50万円減らせば、その50万円に対して将来発生する年15%相当の利息負担を回避できます。
一方、ドル建て保険の将来リターンには為替変動など不確定要素があります。生命保険文化センターも、外貨建て保険について為替リスクは契約者または受取人に帰属すると説明しています。[参照:生命保険文化センター]
そのため特に高金利債務の場合、「将来増えるかもしれない資産」を維持するより「確実に発生する高い利息」を消す方が家計改善につながるケースが多くあります。
解約が比較的合理的になりやすいケース
- 外部借金の金利が高い
- 毎月の返済が家計を圧迫している
- 契約者貸付250万円の利息も増え続けている
- 今後も高額な保険料を払う必要がある
- 現在の死亡保障をあまり必要としていない
- 解約後50万円を高金利債務の元金返済へ確実に使える
- 解約後も最低限の生活防衛資金を確保できる
複数当てはまる場合、保険を維持することより負債削減を優先する合理性が高まります。
ただし商品固有の解約条件や保障の必要性があるため、最終判断前には解約返戻金・契約者貸付残高・貸付利率を保険会社から正式に取り寄せることが重要です。
解約を慎重にした方がよいケース
- 借金の金利が非常に低い
- 近い時期に解約返戻金が大きく増える契約構造になっている
- 大きな死亡保障を家族が必要としている
- 健康上の理由で新しい保険への再加入が難しい
- 解約時のMVA・解約控除が一時的に非常に大きい
- 払済や減額によってより有利に整理できる
このような場合は全部解約する前に、継続・払済・減額・一部返済など複数のシナリオを比較するべきでしょう。
「解約か継続か」だけの二択ではなく、契約内容によって第三の方法が利用できることがあります。
借金返済のために新たな契約者貸付を増やすのは慎重に
契約者貸付の利用可能額が残っていると、「さらに借りて200万円の借金を返せばよいのでは」と考えることがあります。
外部借金より契約者貸付金利が低ければ利息面だけでは改善する可能性がありますが、契約者貸付残高が解約返戻金へ近づくほど保険契約の余裕は小さくなります。
すでに250万円の契約者貸付を利用して解約後の受取額が50万円程度という状況なら、新しい借入れを増やす前に家計全体を整理する方が重要です。
200万円の借金が返済困難なら債務整理の相談も選択肢
収入に対して毎月の返済額が大きく、保険を解約して50万円投入しても残り150万円を返せる見込みがない場合は、借換えや追加借入れを繰り返す前に専門相談を利用する方法があります。
金融庁は、全国の財務局などに多重債務相談窓口を設け、法テラス、弁護士会などの相談先も案内しています。[参照:金融庁 多重債務者対策・相談窓口]
金融庁も、借入れについて「無理なく確実な返済が可能か」「契約内容を理解できているか」などを確認するよう案内しています。返済のための借入れを繰り返しているなら早めの相談が重要です。
債務整理を考える場合は保険を先に勝手に解約しない方がよいこともある
任意整理、個人再生、自己破産などを具体的に検討している場合、生命保険の解約返戻金は資産として扱われることがあり、手続きへの影響を考える必要があります。
そのため弁護士・司法書士へ相談する予定があるなら、相談直前に保険を解約して資金を動かすのではなく、現在の保険証券、解約返戻金証明、契約者貸付残高、借金一覧を持参して相談する方が安全です。
特に債権者への返済が困難な状態では、一部の借入先だけに大きく返済することが法的手続きへ影響する場合もあるため、具体的な債務整理を予定している人は専門家の助言を受けてください。
まず1枚の表にすれば判断しやすくなる
保険会社と借入先から最新情報を集め、次のような比較表を作りましょう。
| 確認項目 | 現在の数字 |
|---|---|
| 外部借金残高 | 200万円 |
| 外部借金の金利 | 各借入先で確認 |
| 契約者貸付元金 | 約250万円 |
| 契約者貸付利率 | 保険会社で確認 |
| 貸付利息を含む現在残高 | 保険会社で確認 |
| 貸付控除前の解約返戻金 | 保険会社で確認 |
| 解約後の円ベース手取見込 | 約50万円か正式確認 |
| 今後の年間保険料 | 契約内容で確認 |
| 死亡保険金 | 保険証券で確認 |
| 毎月返済可能額 | 家計から計算 |
この表が埋まれば、「何となく保険を残す」「何となく解約する」という判断から離れられます。
具体例:高金利借金ならどう考える?
仮に外部借金200万円の平均金利が年15%、契約者貸付250万円が年3%、解約後の手取りが50万円だったとします。
外部借金は単純計算で年約30万円、契約者貸付は年約7万5,000円相当の利息負担が発生する条件です。外部借金の金利が圧倒的に高いため、保険の保障を失う問題が小さいなら、50万円を高金利借金へ投入する経済的効果は大きくなります。
さらに毎月支払っていた保険料がなくなり、その金額を借金返済へ回せるなら完済時期を早められます。このようなケースでは「400万円積み立てたからもったいない」という感情より、これから発生する利息の比較が重要になります。
具体例:低金利借金なら急いで解約しない選択も
反対に外部借金200万円が年2%で、ドル建て保険を現在解約すると大きなMVA・解約控除が発生し、数年後には控除が大幅に減る契約だったとします。
この場合は50万円を繰上返済することで減らせる利息が限定的なので、今すぐ大きな損失を確定させるより契約条件を詳しく比較する意味があります。
このように「借金200万円」という残高だけでは答えは出ず、金利が判断を大きく左右します。
今すぐやるべきことを順番に整理
- 借金200万円の借入先・残高・金利・毎月返済額を全て書き出す
- 保険会社へ契約者貸付の元金・利息・現在の貸付利率を確認する
- 今日解約した場合の貸付控除前返戻金と最終受取額を確認する
- 今後支払う保険料を確認する
- 払済・減額が可能か試算をもらう
- 死亡保障が現在本当に必要か確認する
- 解約する場合、50万円をどの借金へ返すのが最も効果的か計算する
- 解約後の毎月返済額と完済予定日を決める
- 返済継続が困難なら多重債務相談窓口や法律専門家へ相談する
特に保険会社には「解約した方がいいですか」と質問するだけではなく、判断に必要な数字を出してもらうことがポイントです。
保険会社に伝えるとよい質問
問い合わせる際は、「現在契約者貸付を利用しています。今日解約した場合、契約者貸付元金と利息を全て差し引いて、日本円で最終的にいくら受け取れますか」と確認すると分かりやすいでしょう。
さらに「今後1年間に契約者貸付へかかる利息はいくらですか」「払済へ変更した場合の死亡保障と解約返戻金はどうなりますか」「減額した場合はいくら戻りますか」と聞きます。
可能なら口頭回答だけでなく、契約内容や試算書として数字を確認してください。外貨建ての場合には適用為替レートや為替手数料についても確認しましょう。
判断で最も避けたい3つの考え方
第一は「400万円払ったのだから、400万円に戻るまで絶対解約しない」という考えです。戻るまでの年月と、その間に増える借金利息を無視してしまいます。
第二は「借金があるから今すぐ何も確認せず解約する」という考えです。大切な死亡保障を失ったり、一時的なMVAによる大きな損失を確定したりする可能性があります。
第三は「契約者貸付は自分の積立から借りているだけなので借金ではない」という考えです。契約者貸付には利息が付き、元利金が増えれば将来の返戻金・保険金が減り、状況によっては契約失効につながります。
まとめ:高金利の借金なら解約して50万円を返済へ回す合理性はあるが、まず金利と正確な返戻金を確認
外部借金が200万円あり、ドル建て保険について契約者貸付250万円を利用し、現在解約すると約50万円が手元へ戻るという状況では、保険を解約するかどうかを「400万円も積み立てたからもったいない」という理由だけで決めるべきではありません。
契約者貸付には所定の利息が付き、返済しない場合には利息が元金へ組み入れられて元利金が増えていきます。貸付元利金が解約返戻金を上回る状態になると契約が失効する可能性もあります。[参照:生命保険文化センター 契約者貸付]
またドル建て保険には為替リスクがあり、商品によっては市場価格調整や解約控除もあります。そのため、現在表示されている「400万円」「250万円」「50万円」がそれぞれ払込保険料、積立金、貸付元金、貸付利息控除後の返戻金のどれを意味しているかを保険会社へ確認してください。[参照:生命保険文化センター 外貨建て生命保険]
そのうえで、外部借金が消費者金融・カードローン・リボ払いなどの高金利債務で、現在の死亡保障をそれほど必要としておらず、解約後の50万円を確実に元金返済へ回せるのであれば、保険を解約または整理して高金利借金を減らすことには十分な合理性があります。50万円返済後には外部借金が約150万円残るため、毎月の返済計画まで同時に作ることが重要です。
一方、借金の金利が低い、近い将来に解約控除がなくなる、大きな死亡保障を家族が必要としている、健康上の理由から再加入が難しいなどの場合は、即解約ではなく払済・減額なども含めて比較した方がよいでしょう。
最初に確認すべき数字は、「外部借金200万円の金利」「契約者貸付250万円の現在元利金と貸付利率」「貸付控除前の解約返戻金」「今日解約した場合の円ベース最終受取額」「今後の保険料」の5つです。この数字が揃えば、保険を残すコストと借金を返すメリットを客観的に比較できます。
そして、保険を解約しても返済が続けられない、別の借金で毎月の返済をしている、契約者貸付をさらに増やさなければ生活できないという状態なら、追加借入れより専門相談を優先してください。金融庁は財務局・自治体などの多重債務相談窓口を案内しており、弁護士会・司法書士会などの相談先もあります。[参照:金融庁 多重債務者対策・相談窓口]債務整理を検討する段階であれば、保険を先に解約して資金を動かす前に、保険証券・解約返戻金・契約者貸付残高・借金一覧を持って専門家へ相談するのが安全です。


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