学生や無職の期間中などに利用される「国民年金の納付猶予制度」。将来の年金受給に影響がある制度ですが、いつまでに、どう支払うべきかが分かりにくいと感じる人も多いです。この記事では納付猶予の基本から支払いタイミング、メリット・デメリットまで丁寧に解説します。
納付猶予制度の基本:支払いは先送りされているだけ
納付猶予制度とは、経済的に厳しい状況にある人が一時的に国民年金保険料の支払いを猶予してもらえる制度です。猶予された期間も「未納」ではなく「猶予」扱いとなるため、年金の資格期間(10年)には含まれます。
ただし、この制度で猶予された保険料は将来的に自分の任意で追納(後から支払う)する必要があります。つまり支払いが免除されたわけではありません。
追納できる期間は10年間まで
納付猶予された保険料は、猶予が認められた年の翌年度から10年間以内であれば追納することができます。たとえば2023年度分の猶予を受けた場合、追納できるのは2033年3月末までです。
10年を過ぎるとその分は原則として追納できなくなり、将来の年金額にも反映されません。老後の年金額を減らさないためにも、計画的な追納が重要です。
追納の方法:どこでどうやって支払う?
追納を希望する場合は、最寄りの年金事務所に申し出ることで「追納申込書」と納付書が発行されます。納付書を使ってコンビニ、銀行、ゆうちょ銀行などで支払う形となります。
また、日本年金機構のマイページ「ねんきんネット」でも一部手続きが可能です。クレジットカード払いや口座振替も選べます。
猶予期間の保険料は加算されることもある
猶予から数年後に追納すると、原則として保険料に「加算金(延滞利息に相当)」が付く場合があります。これを避けたい方は、できるだけ早めに追納するのがおすすめです。
なお、3年度以内の追納であれば加算金はかかりません。
追納しないと年金額が減る?
納付猶予期間は年金の受給資格にはカウントされますが、年金額の計算には反映されません。つまり追納しないと、その分だけ将来もらえる年金が減ってしまいます。
たとえば、1年分(12ヶ月)を追納しなかった場合、老齢基礎年金の支給額が年額で約20,000円ほど減る計算になります。
まとめ:納付猶予は有効活用しつつ、追納は早めがカギ
納付猶予制度は経済的に厳しい時期の支えになりますが、「支払いを免除されたわけではない」ことを理解しておくことが大切です。追納は10年以内に行う必要があり、できれば早めに済ませることで加算金も避けられます。
自身の将来の年金受給額を減らさないためにも、猶予期間の保険料は計画的に追納しておきましょう。迷ったら年金事務所や「ねんきんネット」で現在の状況を確認することをおすすめします。
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