退職後、国民健康保険(国保)に加入せずに過ごしてしまった場合、「あとでまとめて請求がくるのか?」「就職して健康保険に入るときに未納分を払わされるのか?」といった疑問を持つ方は多いです。実はこの疑問、非常に多くの人が誤解しているポイントでもあります。本記事では、国保の未加入状態がどのように扱われるのか、そして再加入時にどのような影響があるのかについて、制度的な背景と具体的な対応策を交えて解説します。
国保への加入は「義務」:退職後は自動で切り替わらない
会社を辞めると、健康保険の資格を喪失します。しかし、自動的に国民健康保険に切り替わるわけではなく、自分で市区町村役所で手続きが必要です。そのため、手続きをしなければ「未加入状態」が発生します。
この間に医療機関を受診すれば、当然「全額自己負担(10割負担)」となります。さらに、さかのぼって保険料を請求されるケースもあるため、油断は禁物です。
未加入期間があっても市区町村は把握している
「役所は自分が未加入なのを把握していないのでは?」という疑問を持つ方もいますが、実際には住民票や職場の退職情報などを通じて、自治体はある程度把握しています。
そのため、加入を先延ばしにしていたとしても、後日加入手続きに行くと、「退職日までさかのぼって保険料を請求される」ことがあります。
就職して健康保険に入っても「未納分」は免除されない
新しい会社に就職して社会保険に入った場合でも、それ以前の国保の「未加入期間」が帳消しになるわけではありません。加入していなかった期間の国保料が発生していると判断されれば、後から納付を求められる可能性があります。
たとえば、3か月間無職で未加入だった場合、後に「その期間も国保に入るべきだった」とみなされれば、その3か月分の保険料の請求が来ることがあります。
意外と知られていない「遡及加入」の制度とその影響
国保には「遡及加入」という制度があり、加入手続きをすると過去にさかのぼって保険料を徴収されることがあります。最大2年分までさかのぼって保険料が請求されることもあり、金額は決して小さくありません。
例えば、月額2万円の国保料が発生すると仮定し、1年間未加入だった場合には24万円もの請求が来る可能性もあります。
アプリを使わなくてもできる手続きと早めの行動の大切さ
国保の加入手続きは、スマホアプリを使わなくても役所の窓口で行えます。必要なのは「退職証明書(もしくは離職票)」「本人確認書類」「マイナンバー」などです。窓口が混雑することもあるため、なるべく早めの対応が得策です。
なお、既に未加入期間が長い場合でも、事情を説明することで分割納付の相談に応じてくれる自治体もあります。
まとめ:未加入期間は放置せず、正しい手続きを早めに
国民健康保険は、自分で手続きして加入する必要があり、未加入のまま放置していると後で高額な保険料を請求される可能性があります。就職して健康保険に入ったからといって、それ以前の未加入期間が免除されるわけではありません。
「未加入状態でもバレないから平気」ではなく、「制度上、過去にさかのぼって請求されるリスクがある」ことを理解し、できるだけ早く市区町村に相談して正しい手続きをとるようにしましょう。
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