健康保険はたくさん払うほど得?高額療養費制度や制度間の違いもわかりやすく解説

国民健康保険

年金は払った分だけ将来の受給額が増える仕組みがある一方で、健康保険には同じような「たくさん払うほど得をする」仕組みがあるのか疑問に思ったことはありませんか?今回は、高額療養費制度をはじめとした健康保険制度の特徴と、国保・協会けんぽ・健保組合の違いにも触れながら、保険料と給付のバランスについて解説します。

健康保険は基本的に「相互扶助」の仕組み

健康保険は相互扶助の理念に基づいた制度で、加入者が公平に保険料を出し合い、医療費を社会全体で負担する構造になっています。そのため、払った保険料の額と、受けられる医療給付の額が比例する仕組みではありません

高収入の人がより多く保険料を支払うのは「所得に応じた負担」が原則となっているからです。つまり「たくさん払ったからといって、その分得をする」わけではないのです。

高額療養費制度は逆に高所得者が「不利」に見える仕組み

高額療養費制度では、自己負担の上限額が「所得区分」に応じて変わります。たとえば、一般的な年収(年収約370万円〜770万円)の人の自己負担上限は「約8万円+1%」程度ですが、高収入者(年収約1,160万円超)の場合は上限が「約25万円+1%」と大きくなります。

これはつまり、たくさん保険料を払っている人ほど、実際の負担が大きくなりやすいという構造にも見えるため、「損をしている」と感じるケースもあるのです。

制度ごとに異なる保険料と給付内容

日本には主に3つの公的医療保険制度があります。

  • 国民健康保険(自営業やフリーランス向け)
  • 協会けんぽ(中小企業の会社員向け)
  • 健康保険組合(大企業や業界団体ごと)

たとえば、健康保険組合は独自に付加給付を設けている場合が多く、高額療養費の自己負担額をさらに軽減してくれる制度も存在します。一方で国民健康保険はこうした付加給付がほとんどなく、所得が高ければ保険料が非常に高くなる傾向にあります。

たくさん払う人が受けられる「見えにくいメリット」も存在

一見すると「損」と思える制度でも、実は社会的な安心感や「所得控除」の観点からメリットを享受しているケースもあります。たとえば保険料は「社会保険料控除」の対象になるため、所得税や住民税の負担軽減につながることがあります。

また、高収入層にとっては「重篤な病気や事故への備え」という点で、健康保険制度の恩恵は大きいのも事実です。

まとめ:健康保険は「得する仕組み」よりも「守る制度」

健康保険は、年金のように「払った分だけ戻る」仕組みではありませんが、誰かが重い病気になったときも、社会全体で医療費を支え合うという重要な役割を果たしています。

高額療養費制度によって「支払い上限」が設けられている一方で、保険料の負担は所得に比例するため、高収入者にとっては「損」に感じる場面もあるかもしれません。しかし、制度全体を見ると、健康保険は公平性と持続可能性を重視した仕組みであり、長い目で見れば社会の安定を支える柱となっていることがわかります。

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