将来受け取る年金額について、「払った金額に対して見合っているのか」と疑問に思う方は少なくありません。特に年金定期便で初めて見込み額を確認した際は、その金額に戸惑うこともあります。この記事では、累積の年金保険料と将来受け取る年金額との関係について、具体例を交えてわかりやすく解説します。
年金定期便の見方と仕組み
年金定期便は、年1回送付される通知で、自分がこれまでに支払った年金保険料の累計額や、65歳以降に受け取る年金の見込み額が記載されています。特に50歳未満の場合は、過去の実績ベースの参考値として、50歳以上になると現在の働き方を継続した場合の見込み額が示されます。
例えば、累積で1,500万円〜1,600万円程度支払ってきた人が、将来的に年約190万円受け取れると記載されていた場合、これは「老齢基礎年金」と「老齢厚生年金」の合計金額です。
支払額と受取額はどう比較されるのか
「こんなに支払ってきたのに、受け取れるのはそれだけ?」と感じるかもしれませんが、年金は単なる貯金ではなく、長生きリスクに備える“終身給付”の仕組みです。
たとえば、年190万円の年金を20年間受け取った場合、総額は3,800万円になります。これは、支払った保険料(仮に1,600万円)に対して2.3倍以上となり、長生きするほど得をする仕組みといえるのです。
他人と比較して少なく感じる理由
「自分より少ない支払いでもっと年金をもらえる人がいる」と感じる背景には、厚生年金加入期間の違いや、平均年収、退職時期などが影響しています。
厚生年金は、報酬比例の年金制度です。年収が高かった人、厚生年金に長期間加入していた人は、当然ながら受け取る年金も高くなります。
年金の受取額はインフレや政策でも変わる
年金額は物価や賃金の変動により毎年調整されています。「マクロ経済スライド」と呼ばれる制度により、少子高齢化による財政圧迫に対応するため、年金額が抑えられる傾向もあります。
そのため、「今の金額が将来そのまま受け取れる」という保証はありませんが、基本的な枠組みは維持されています。
将来のためにできること
公的年金は老後の土台ですが、生活を十分に支えるには不安もあるのが現実です。そのため、多くの方が以下のような自助努力も行っています。
- iDeCo(個人型確定拠出年金)の活用
- つみたてNISAなどの長期積立投資
- 企業年金や共済年金への加入
これらは将来の年金に“上乗せ”する形で準備できるため、早いうちから始めておくと安心です。
まとめ:年金定期便は老後の資金計画の出発点
累積で1,500万円〜1,600万円の支払いに対して、年190万円程度の年金受給見込みというのは、平均的な例のひとつです。年金制度は長寿リスクへの保険という考え方が前提にあり、長く生きるほど“得”となる設計です。
年金定期便の内容を正しく読み解き、将来の資金計画を立てるきっかけにしましょう。そして、不安があれば、年金事務所やFP(ファイナンシャルプランナー)への相談もおすすめです。
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