厚生年金の脱退一時金を返金して再加入できる?制度の仕組みと現実的な対応策を解説

社会保険

過去に厚生年金保険料の脱退一時金を受け取ったが、将来の年金受給や制度再加入を考え「返金して元に戻せないか?」と悩む人も少なくありません。この記事では、厚生年金の脱退一時金に関する基本制度と、返金の可否、代替手段などについてわかりやすく解説します。

脱退一時金とは?返金できる制度なのか

厚生年金の脱退一時金は、短期間日本に滞在した外国籍の方などが対象で、原則として「年金受給権を放棄する代わりに一時金を受け取る」制度です。受給資格は日本国内に住所がなくなった後2年以内に申請することが条件となります。

一度支給された脱退一時金については、原則として返金は受け付けておらず、支給決定後に取り消すこともできません。この制度は「年金制度から完全に離脱する」という性質を持っており、制度上の後戻りはできない仕組みです。

なぜ返金や再加入ができないのか

脱退一時金は日本年金機構により支給されるもので、その支給は「年金保険料納付記録をリセットする」こととほぼ同義です。そのため、制度設計上「一度離脱した人が後から復帰する」ことを認めてしまうと、年金制度全体の公平性や安定性に影響が出る恐れがあります。

こうした理由から、脱退一時金の返金はたとえ本人が希望しても制度上認められていないのが現状です。

再び厚生年金に加入することは可能

脱退一時金を受け取った過去があっても、将来再び日本で働き始めた場合、新たに厚生年金に加入することは可能です。ただし、過去に脱退一時金として払い戻された期間分は、再加入後の年金受給資格に通算されることはありません。

例えば、過去に4年分の保険料を一時金として受け取っていた場合、その4年間は将来の年金受給資格の計算からは除外されます。

社会保障協定で救済される場合も

もし、現在住んでいる国が日本と社会保障協定を結んでいる国であれば、その国の年金加入期間と日本の加入期間を合算できる「通算制度」を利用できる場合があります。これにより将来的に年金の受給資格を満たせる可能性があります。

社会保障協定の例としては、アメリカ、ドイツ、フランス、韓国などが挙げられます。協定の詳細は日本年金機構の公式サイトで確認できます。

老後の資金対策としてできること

脱退一時金を受け取った場合でも、将来に向けて老後資金を備える選択肢は多くあります。

  • iDeCo(個人型確定拠出年金)に加入する
  • つみたてNISAなどの投資制度を活用する
  • 企業型年金制度がある企業に就職する

これらは日本に住民票がある人なら原則として誰でも利用可能で、将来に向けた資産形成に役立ちます。

まとめ:返金は不可だが、将来を見据えた選択を

厚生年金の脱退一時金を一度でも受け取ってしまうと、制度上返金や取り消しは認められません。ただし、日本に再度居住して年金制度に加入すれば、新たな記録として再スタートすることは可能です。

今後のライフプランに応じて、再加入や社会保障協定の活用、あるいは民間の資産形成制度を検討することで、老後の安心につなげることができます。

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