定年後も引き続き働く人が増える中で、「厚生年金を受け取りながら、再雇用で保険料を払い続けたら、将来の年金額は増えるのか？」という疑問を持つ方は多くいます。本記事では、65歳以降も厚生年金に加入し続ける場合に、保険料の支払いがどのように反映されるのか、そして年金額が増えるタイミングについて詳しく解説します。
65歳以降も厚生年金保険に加入できる制度とは？
65歳以降も厚生年金に加入することは可能です。実際、定年退職後に再雇用される「高年齢継続雇用制度」などにより、多くの人が引き続き社会保険に加入しています。2022年4月以降、厚生年金の加入上限年齢は70歳未満に引き上げられました。
これにより、70歳未満であれば誰でも厚生年金に加入し、保険料を支払うことで将来的な年金額の加算を受けることができます。
厚生年金の再評価による「年金額の加算」は年1回
65歳以降に支払った厚生年金保険料は、年1回、日本年金機構によって自動的に再計算（再評価）され、その翌年の10月支給分から年金額に反映されます。
たとえば、66歳の1年間（4月〜翌年3月）に加入していた場合、その期間の保険料は翌年の10月支給分から加算される形です。
再評価の流れとタイムラグの仕組み
年金額の加算にあたっては、次のようなステップが取られます。
- 3月末で1年分の加入記録を締める
- 4月〜8月にかけて加入情報を年金機構が確認・反映
- 9月に通知書を発送（「年金振込通知書」など）
- 10月から新しい年金額が反映される
このように、およそ6カ月程度のタイムラグがありますが、毎年正確に処理されるため、特別な申請は不要です。
加算される年金の計算方法とは
65歳以降に加入した厚生年金に基づく年金額の加算は、「経過的加算額」という形で支給されます。具体的には、保険料を支払った報酬額と加入期間に基づき、次のような式で算出されます。
報酬比例部分：報酬月額 × 5.481/1000 × 加入月数
この加算は生涯にわたり支給されるため、長く働くほど受給額は増えていきます。
年金が増えること以外のメリットも
年金額が増えることに加えて、65歳以降に厚生年金に加入していると、将来の介護保険料の軽減や、一定の所得制限にかかる「在職老齢年金」の影響を受けづらくなるといった副次的なメリットもあります。
また、働いて得る収入と年金を合わせて受け取れるため、老後の生活の安定にもつながります。
まとめ：年金額の増加は翌年10月から、自動的に反映される
65歳以降も働き続け、厚生年金保険料を支払うことで、年金額は翌年10月から自動的に加算されます。制度上、特別な申請は必要なく、毎年の再評価によって確実に年金額に反映される仕組みです。長く働くことは将来的な受給額の増加にもつながるため、健康状態と相談しながら前向きに検討してみましょう。
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