国民年金の第1号・第2号・第3号被保険者の違いと制度上の不公平感の背景を読み解く

年金

日本の公的年金制度には3つの被保険者区分が存在し、それぞれの立場や待遇の違いがたびたび議論を呼びます。特に「第1号被保険者」の年金制度における底上げ議論がなされると、「第2号・第3号被保険者」から反発の声が上がることも。この記事では、それぞれの立場の特徴と、なぜ制度上の不公平感が生まれるのかについて解説します。

第1号・第2号・第3号被保険者とは

第1号被保険者は自営業者や無職の人、学生など、企業年金制度に属していない人が対象です。第2号被保険者は会社員や公務員で厚生年金に加入している人、第3号被保険者は第2号被保険者に扶養されている配偶者(専業主婦・夫など)を指します。

第1号は自分で国民年金保険料を毎月支払いますが、第2号は給与から自動的に天引きされ、第3号は保険料負担がゼロです。

なぜ第3号は優遇されていると見られるのか

第3号被保険者は自身の保険料を支払っていないにも関わらず、老後に国民年金を受け取れるという制度設計により、特に第1号の立場から「不公平だ」との声が多く聞かれます。

また、結婚や扶養されることで自動的に年金加入資格が得られ、保険料納付期間としてカウントされる仕組みも不満の一因です。

制度上の背景と歴史的な理由

この制度は1986年の年金制度改正で導入されたもので、専業主婦の老後保障を目的にしたものでした。当時は専業主婦家庭が多かったため、世帯単位での年金保障という考え方が支配的だったのです。

しかし、共働き世帯の増加や多様な生き方が進む現代では、制度設計が時代に合っていないと感じる人が増えています。

第1号の底上げ議論と反発の理由

政府が第1号の保険料免除や給付底上げを検討すると、「第2号・第3号の負担増につながる」といった声が上がります。これには2つの理由があります。

ひとつは「自分たちもすでに多く負担している」という自負。もうひとつは「制度に参加していない(と見なされる)人を優遇するのは不公平」という心理的反発です。

不満の根底にあるのは“納得感”の不足

第1号・第2号・第3号の分断を深めているのは、制度の仕組みに対する透明性の低さ将来不安です。制度が複雑で分かりにくいため、自分がどれだけ得しているのか・損しているのか正確に把握できない人が多く、「感情的な対立」が先行してしまうのです。

また、将来の年金支給水準への不安が、他者への嫉妬や怒りとして表れやすくなります。

まとめ:建設的な議論には「制度の見える化」が鍵

年金制度の持続可能性を考えるうえでは、どの立場であっても一方的な批判ではなく、制度の仕組みや公平性の背景を理解したうえでの建設的な議論が求められます。

不公平感を減らすには、「納得感」を生むための情報発信や制度の見直しが不可欠です。今後も社会全体で年金制度のあり方を見直していく機会が増えていくでしょう。

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