年金受給者が亡くなった後、振り込まれる年金について「これは誰のものになるのか?」という疑問を持つ人は少なくありません。特に、すでに口座に入金されている分や、後から支払われる年金の取り扱いについては混乱しがちです。この記事では、年金支給のタイミングと相続・未支給年金の違いについて、具体例を交えながら分かりやすく解説します。
年金は“後払い”で支給される仕組み
公的年金(老齢年金・障害年金など)は、原則として後払いです。つまり、8月分・9月分の年金は10月に支払われます。したがって、10月5日に死亡した場合でも、10月15日に支給された金額(8〜9月分)は本人の生前の権利として確定したものになります。
この確定済みの年金については「未支給年金」とは扱われず、通常は故人の遺産=相続財産として扱われます。
未支給年金とは?
未支給年金とは、年金受給者が亡くなった後に支給されるはずだった年金のうち、本人が受け取れなかった分です。たとえば、10月5日に死亡した場合、その月(10月分)の年金は通常翌年1月に支給されますが、これは本人が受け取れなかったため「未支給年金」として、生計を同じくしていた遺族に支給されます。
この未支給年金は、相続財産には含まれません。請求できる人が法律で定められており、優先順位も決まっています(配偶者、子、父母など)。
相続財産になる年金と未支給年金の違い
以下のように区別されます。
支給対象 | 扱い | 受け取る人 |
---|---|---|
死亡前に支給確定した年金(例:8月・9月分) | 相続財産 | 相続人(遺産分割の対象) |
死亡後に支払われる年金(例:10月分) | 未支給年金 | 生計を同じくしていた遺族(順位あり) |
つまり、質問の事例にある①(10/15入金分)は相続財産であり、②(翌年1月入金分)は未支給年金として扱われます。
未支給年金の手続き方法
未支給年金の受取には、以下のような書類を提出する必要があります。
- 年金未支給請求書
- 故人との関係を証明する戸籍謄本など
- 故人と生計を同じくしていたことを証明する住民票など
- 受取口座の通帳のコピー
なお、未支給年金の請求は原則として死亡日の翌日から5年以内に行う必要があります。
まとめ:年金の入金時期と法的扱いを正しく理解しよう
年金の取り扱いは、支給タイミングによって「相続財産」か「未支給年金」かが大きく異なります。今回のケースでは、8〜9月分の年金(①)は相続財産、10月分の年金(②)は未支給年金です。相続人全員の同意が必要な財産と、単独で請求できる未支給年金とでは、手続きも異なりますので、混同しないように注意しましょう。
不明点がある場合は、最寄りの年金事務所や行政書士・司法書士に相談すると安心です。
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