パートやアルバイトで複数の職場に勤務している場合、年末調整の手続きは少し複雑になります。特に、扶養内から外れて新しい職場に移った場合や、前職を退職せずに継続勤務しているケースでは、どちらの職場で年末調整を行うべきか悩む方も多いでしょう。この記事では、そうしたパターンでの年末調整の基本と注意点を解説します。
ダブルワークと年末調整の基本
まず大前提として、年末調整は1年を通じて最も給与の多い「主たる勤務先」でのみ行います。そのため、現在メインで勤務している新しい職場が「主たる給与支払者」となり、そこで年末調整を受けるのが基本です。
一方、前の職場(サブの勤務先)は「従たる給与支払者」となり、年末調整は行わず、そのまま源泉徴収されたままの状態となります。
前の職場での年末調整は必要か?
原則として、前の職場が副業・サブ勤務先となる場合は、年末調整をする義務も実施もありません。ただし、まれに前職側から年末調整の書類が届いたり、確認を求められることがあります。その場合は、新しい職場で年末調整を受ける旨を伝え、「従たる勤務先であるため年末調整は不要」であることを説明すれば問題ありません。
間違って前職と現職の両方で年末調整をすると、所得税が正確に計算されないことがあり、後で修正申告が必要になる可能性もあります。
年末調整を受けなかった場合は確定申告が必要?
複数の勤務先から給与を受け取っている人は、以下の条件に当てはまる場合、確定申告が必要です。
- 主たる勤務先で年末調整を受けていない
- 2ヶ所目の給与収入が年間20万円を超える
例えば、メインの職場で年末調整を済ませ、副業の月1~2日勤務での収入が年間20万円以下であれば、確定申告は不要です。20万円を超える場合は確定申告が必要となります。
源泉徴収票を両方の職場から受け取る
年末には、主たる勤務先と従たる勤務先の両方から「源泉徴収票」を受け取りましょう。確定申告が必要になった場合に必須の書類ですので、大切に保管してください。
また、主たる勤務先では「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出している必要があります。これを提出していないと、主たる勤務先として扱われない可能性があります。
実例で見る:年末調整の対応パターン
事例:パート主婦Aさんは、以前の職場で月2回勤務(年間15万円程度)、4月から新しい職場で週3日勤務(年間100万円以上)。
→ この場合、主たる勤務先は新しい職場。Aさんは現職で年末調整を受け、前職では年末調整をしない。副業の年間収入が20万円未満のため、確定申告も不要。
まとめ:主たる勤務先で正しく年末調整を
パートのダブルワークでは、年末調整の取り扱いが分かれますが、主たる勤務先でのみ年末調整を行うことが基本です。前職が副業扱いなら年末調整は不要で、確定申告も収入額によっては不要です。源泉徴収票の管理と確定申告の必要性を理解しておくことで、スムーズな手続きを進めることができます。
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