自営業者として国民年金基金に加入し、60歳を迎えるタイミングでiDeCo(個人型確定拠出年金)への加入を検討する方は少なくありません。年金保険料の支払いが終了することで、新たな節税手段としてiDeCoが注目されます。この記事では、60歳以降のiDeCoの加入・停止の自由度や、税制メリット、注意すべき制度のポイントについて解説します。
60歳以降でもiDeCoに加入できる?
2022年5月の制度改正により、iDeCoの加入可能年齢は最大で65歳未満から70歳未満まで延長されました。ただし、加入できるのは、国民年金の第1号被保険者(自営業者など)として国民年金に加入している人に限られます。
つまり、自営業者として国民年金に加入し続けていれば、60歳を超えてもiDeCoを新規に始めることが可能です。
いつでも任意で掛金の拠出をやめられる?
はい、iDeCoの掛金はいつでも停止することが可能です。60歳以降に加入した場合でも、毎月の拠出を一時的にストップしたり、将来的にやめる判断も自由にできます。
手続きとしては、iDeCoを運営している金融機関(運営管理機関)に「加入者資格喪失届」または「掛金拠出停止届」を提出することで、積立を停止できます。ただし、口座維持手数料(月額約171円〜)は発生し続けます。
iDeCoに60歳以降加入するメリット
60歳以降にiDeCoへ加入する最大のメリットは、掛金が全額所得控除されることによる税制優遇です。年収や課税所得がある場合、iDeCoによる節税効果は依然として高く、所得税・住民税の軽減が見込めます。
また、加入期間に応じて受給開始年齢が延長されるため、長期運用が可能となり、資産形成を続けたい方にも適しています。
受給開始のタイミングと加入年数の影響
iDeCoの年金または一時金の受給開始は、原則60歳からですが、実際に受け取れるのは「加入期間」に応じて決まります。
iDeCo加入期間 | 受給開始可能年齢 |
---|---|
10年以上 | 60歳 |
8年以上10年未満 | 61歳 |
6年以上8年未満 | 62歳 |
4年以上6年未満 | 63歳 |
2年以上4年未満 | 64歳 |
1か月以上2年未満 | 65歳 |
したがって、60歳以降に加入した場合は、加入期間が短いため、すぐには受給できず、65歳以降になる可能性がある点に注意が必要です。
実例:60歳で自営業者がiDeCoに加入したケース
【ケース】
60歳の自営業者Aさん。国民年金基金の掛金支払いを終了し、月2万円をiDeCoに掛金として拠出開始。所得控除により年間税負担が約72,000円軽減された。63歳で掛金の支払いを停止し、65歳から年金として受給開始。
このように、短期間でも節税と老後資金づくりの両方のメリットを得られる例があります。
まとめ:60歳以降のiDeCoは柔軟性と節税効果が魅力
60歳以降でも、自営業者であればiDeCoに加入可能であり、いつでも掛金を停止する柔軟性があります。加入期間が短くても、節税効果や老後資金準備として十分な意味を持ちます。
ただし、受給開始年齢や口座維持手数料の仕組みをしっかり理解し、自身の収入状況やライフプランと照らし合わせて無理のない範囲で活用することが大切です。まずは金融機関や専門家に相談し、自分に合った運用スタイルを見つけましょう。
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