非上場会社の株式を親族へ贈与する場合、株価をどのように評価するかは贈与税を計算するうえで重要なポイントになります。特に同族株主と少数株主では評価方法が異なり、配当還元方式を使うケースでは計算方法を正しく理解する必要があります。
また、過去に減資を行った会社では、登記上の資本金と税務上の評価で使う基準が異なる場合があり、単純に現在の資本金だけを見て判断すると誤る可能性があります。
この記事では、少数株主が保有する非上場株式を贈与する場合の配当還元方式の考え方、減資後の資本金の扱い、評価額を判断する際の注意点について解説します。
非上場株式の評価方法は株主の立場によって変わる
非上場会社の株式を相続や贈与で取得する場合、株式の評価方法は株主が会社経営にどの程度影響力を持っているかによって変わります。
大きく分けると、会社の経営を支配できる「同族株主等」と、経営への影響力が小さい「少数株主」があります。
同族株主の場合は原則的評価方式(類似業種比準方式や純資産価額方式など)で評価しますが、少数株主の場合には配当還元方式によって評価することがあります。
配当還元方式とはどのような計算方法なのか
配当還元方式は、会社から受け取る配当金を基準として株式価値を評価する方法です。会社の支配権を持たない少数株主について、経営支配価値ではなく配当を受け取る権利に着目して評価します。
一般的な計算式は以下のようになります。
配当還元価額=(1株あたりの年平均配当金÷10%)×(その株式の1株あたりの資本金等の額÷50円)
実際の計算では、単純に資本金を株数で割って2分の1にするだけではなく、税務上の評価基準に沿って計算する必要があります。
減資した会社の株式評価では現在の資本金だけで判断しない
今回のように、設立時は資本金8,000万円だったものの、その後7,200万円減資して現在の資本金が800万円になっている会社では注意が必要です。
会社法上の資本金は800万円ですが、株式評価において使用する「資本金等の額」は、単純に登記上の資本金だけを見るとは限りません。
税務上の株式評価では、資本金等の額や法人税法上の扱いなどを確認して判断する必要があります。
例えば、減資によって資本金を800万円に変更した場合でも、その減資が資本剰余金への振替なのか、欠損填補なのかなどによって評価上の取り扱いが変わる場合があります。
無配当会社の場合の配当還元方式の考え方
配当還元方式では、配当金額を基準に計算するため、会社が配当を一度も行っていない場合は疑問が生じます。
しかし、実務上は無配当の場合でも、配当還元方式による評価計算のルールがあります。実際の評価では、国税庁の財産評価基本通達に基づいて判断します。
無配当だから株価が必ずゼロになるわけではなく、評価上は一定の計算方法により価額を算出します。
少数株主AとBの計算で確認すべきポイント
提示された計算では、Aは設立時の資本金8,000万円を基準に1株5,000円、Bは現在の資本金800万円を基準に1株500円として計算しています。
しかし、どちらが正しいかを判断するには、まず配当還元方式で使用する「1株あたりの資本金等の額」がいくらになるのかを確認する必要があります。
現在の登記上の資本金だけを使用するのか、過去の資本金をそのまま使うのかという単純な判断ではなく、税務上の株式評価における資本金等の額を確認することが重要です。
また、少数株主に該当するかどうかについても、単に所有株数だけではなく、同族関係者を含めた議決権割合などを確認する必要があります。
株式贈与前に確認しておきたい実務上の注意点
非上場株式の贈与では、評価額によって贈与税額が大きく変わる可能性があります。そのため、贈与を実行する前に株価評価を行うことが重要です。
特に少数株主への配当還元方式が適用できるかどうか、会社規模や株主構成、減資の内容などによって判断が変わるため、専門家への確認が安全です。
例えば、親から子へ300株を贈与する場合でも、1株あたりの評価額が数百円違うだけで、贈与税計算上の評価額は大きく変動します。
まとめ:配当還元方式では資本金の見方と税務上の基準確認が重要
少数株主が非上場株式を贈与する場合、配当還元方式によって評価する可能性がありますが、計算は現在の資本金だけを単純に割り戻せばよいというものではありません。
減資を行った会社では、会社法上の資本金と税務上の株式評価で使用する基準が異なる場合があります。
そのため、今回のようなケースでは、減資の内容、資本金等の額、株主区分を確認したうえで評価額を算定することが大切です。贈与前に税理士などの専門家へ相談し、正しい評価方法で手続きを進めることをおすすめします。


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