戸建てを新築したときに火災保険を10年契約し、地震保険も長期で加入していた場合、満期を迎えて更新見積もりを受け取ると、10年前とは比較にならないほど保険料が高くなっていることがあります。
例えば、以前は火災保険が10年間で21万円だったのに、更新後は5年間で23万円。地震保険も以前は5年間で8万円だったのに、次の5年間は21万円という見積もりになると、「計算を間違えているのではないか」と感じても不思議ではありません。
しかし、この10年ほどは火災保険・地震保険ともに料率改定が複数回あり、自然災害リスクの増加、建築費の上昇による保険金額の増額、火災保険の最長契約期間が10年から5年へ短縮されたことなどが重なっています。そのため、条件によっては更新保険料が以前の2倍前後、地震保険ではそれ以上になるケースも制度上は十分あり得ます。
ただし、提示された金額が妥当かどうかは「昔と本当に同じ補償内容か」「建物保険金額はいくら増えたか」「地震保険金額や割引は同じか」「水災などの補償条件は変わっていないか」を分解して確認する必要があります。
- 10年21万円と5年23万円は、実質的には2倍以上の値上がり
- 大きな理由の一つは火災保険の最長契約期間が10年から5年になったこと
- 火災保険の参考純率はこの10年で何度も引き上げられている
- 4.9%+10.9%+13%を単純に足せば値上げ率になるわけではない
- 自然災害の保険金支払いが増えたことが大きな背景
- 建物の評価額が1.4倍なら、それだけでも保険料は上がる
- 評価額1.4倍と料率改定が重なると2倍前後も不思議ではない
- 水災保険料は現在、市区町村ごとのリスクも反映される
- 地震保険が5年8万円から21万円になることはある?
- 地震保険は所在地と建物構造で保険料が大きく違う
- 地震保険金額が1.4倍になっていないか確認する
- 地震保険の割引が同じかも重要
- 地震保険の5年契約には長期係数が使われる
- 地震保険の値上げは保険会社が自由に利益を増やしているわけではない
- 「同じ保証を継続」のつもりでも条件が同じとは限らない
- 保険会社からもらうべき「旧契約と新契約の比較表」
- 同じ保険会社で自動更新する必要はない
- 保険料を下げるなら補償を削る前に免責金額を検討する
- 建物評価額が本当に1.4倍必要なのかも確認する
- 具体例|1.4倍の評価額と保険料率上昇が重なった場合
- 10年前の保険が特別に安かったという面もある
- 地震保険を外すかどうかは保険料だけで判断しない
- 更新前に確認したいチェックリスト
- まとめ|10年前より2倍以上になってもあり得るが、地震保険21万円は内訳を確認したい
10年21万円と5年23万円は、実質的には2倍以上の値上がり
まず火災保険を比較するときは、総額だけでなく1年あたりの保険料に直すと変化が分かりやすくなります。
以前が10年間21万円なら、単純な年平均は約2万1,000円です。新しい見積もりが5年間23万円なら、年平均は約4万6,000円となります。
| 契約 | 保険期間 | 保険料 | 単純な年平均 |
|---|---|---|---|
| 以前 | 10年 | 21万円 | 約2.1万円 |
| 更新後 | 5年 | 23万円 | 約4.6万円 |
単純比較では、1年あたりの負担は約2.19倍です。ただし、長期契約には長期契約用の保険料計算があるため、「10年分を10で割った金額」と「5年分を5で割った金額」をそのまま同条件の単年度保険料として扱えるわけではありません。
それでも、以前より負担水準が大きく上昇していることは確かです。問題は、この差がどこから生まれているかです。
大きな理由の一つは火災保険の最長契約期間が10年から5年になったこと
10年前に火災保険へ加入した人にとって非常に大きな制度変更が、長期契約の短縮です。
かつて住宅向け火災保険では最長10年間の長期契約が可能でしたが、2022年10月以降の契約では、多くの主要商品で最長5年間となっています。東京海上日動も、2022年10月1日以降の契約について最長5年と案内しています。[東京海上日動参照]
損保ジャパンも、2022年10月の改定で最長保険期間を10年から5年へ変更しています。その背景として、自然災害リスクが将来にわたって大きく変化すると見込まれ、長期的なリスク評価が難しくなっていることを説明しています。[損保ジャパン参照]
したがって、以前は「10年分の保険料を一度に固定できた」のに対し、現在は5年ごとにその時点の料率で更新することになります。10年前と同じ10年契約をもう一度組めないこと自体が、大きな環境変化です。
火災保険の参考純率はこの10年で何度も引き上げられている
火災保険料が上昇した背景には、損害保険料率算出機構が算出する「参考純率」の引き上げがあります。参考純率とは、事故が発生した際に支払う保険金に充てる部分の保険料率について、保険会社が自社の料率を決める際の参考にできる数値です。[損害保険料率算出機構参照]
この参考純率は10年間ずっと同じだったわけではありません。2018年、2019年、2021年、2023年などに改定が行われています。
2019年の改定では住宅総合保険の参考純率が全国平均で4.9%引き上げられました。背景には自然災害、特に風水災による保険金支払いの増加が挙げられています。[損害保険料率算出機構参照]
2021年の改定では全国平均10.9%の引き上げとなり、主な背景として自然災害リスクの増加などが挙げられました。[損害保険料率算出機構参照]
さらに2023年の改定では全国平均13.0%の引き上げが行われています。[損害保険料率算出機構参照]
4.9%+10.9%+13%を単純に足せば値上げ率になるわけではない
ここで注意したいのは、「4.9%+10.9%+13%だから28.8%値上げ」と単純計算できるわけではないことです。
これらはあくまで住宅総合保険の参考純率についての全国平均です。実際の保険料は所在地、建物構造、築年数、保険金額、補償内容、水災リスク、免責金額、保険会社独自の付加保険料率などによって異なります。
損害保険料率算出機構自身も、参考純率の改定率と契約者が実際に支払う保険料の改定率は異なると明記しています。[損害保険料率算出機構参照]
したがって、全国平均では十数%の改定であっても、個別契約ではもっと大きく上がる場合もあれば、条件によっては上昇幅が小さい場合もあります。
自然災害の保険金支払いが増えたことが大きな背景
火災保険という名前から「住宅火災の件数が増えたから値上げされた」と思われがちですが、近年の保険料改定で大きな影響を与えているのは台風、豪雨、洪水などの自然災害です。
火災保険では火事だけでなく、契約内容によって風災、雹災、雪災、水災なども補償します。大型台風によって屋根や外壁が広範囲に損傷したり、豪雨による洪水で住宅が浸水したりすれば、保険会社は多額の保険金を支払います。
損害保険料率算出機構も、2019年の参考純率引き上げについて自然災害による保険金支払いの増加を理由として挙げ、2021年にも自然災害リスクの増加を改定背景として説明しています。
つまり火災保険の値上げは、単純な物価上昇だけではなく、台風・豪雨などの損害実績と将来の自然災害リスクを保険料へ反映している面があります。
建物の評価額が1.4倍なら、それだけでも保険料は上がる
更新時に建物の評価額が以前の1.4倍になっている場合、この変化も非常に重要です。
火災保険では、建物が全焼・全壊した場合に同程度の建物を再建するために必要な金額を考慮して保険金額を設定する商品が一般的です。建築資材、人件費、設備価格などが上がれば、10年前と同じ家を建て直すための費用も高くなります。
例えば10年前に建物保険金額2,000万円だったものが、現在2,800万円になったなら1.4倍です。同じ料率だとしても、補償する金額そのものが40%増えているため保険料が増える方向に働きます。
ただし「評価額が1.4倍だから保険料も必ず1.4倍」ではありません。実際の保険料は料率・割引・補償範囲なども組み合わされて決まるからです。
評価額1.4倍と料率改定が重なると2倍前後も不思議ではない
大まかなイメージをつかむため、仮に建物保険金額が1.4倍になり、それとは別に保険料率側も50%程度高い水準になったとします。
単純化すれば、1.4×1.5=2.1倍です。つまり、保険金額の上昇と料率の上昇が同時に起こると、それぞれ単独では40%・50%程度の変化でも、結果として保険料が約2倍になることがあります。
実際の火災保険はこのような単純な掛け算で計算されるわけではありませんが、「建物評価額が40%増えたのに保険料が100%以上増えているから絶対におかしい」とは言い切れないことが分かります。
さらに昔の10年長期契約と現在の5年長期契約では長期契約による保険料設定も異なるため、差はさらに大きく見えることがあります。
水災保険料は現在、市区町村ごとのリスクも反映される
2023年に届け出られた火災保険参考純率の改定では、水災に関する料率を地域のリスクに応じて5区分へ細分化する変更も行われました。
損害保険料率算出機構によると、建物所在地の市区町村ごとに、水災リスクが低い「1等地」から高い「5等地」まで区分して料率へ反映する仕組みです。[損害保険料率算出機構参照]
そのため河川氾濫や洪水などの水災リスクが比較的高い地域で水災補償を付けている場合、更新後の保険料に影響している可能性があります。
逆に高台など水災リスクが低い場所であれば、水災補償を外せる商品もあります。ただしハザードマップ上のリスクを十分確認せず、保険料を下げる目的だけで水災補償を外すのは慎重に判断する必要があります。
地震保険が5年8万円から21万円になることはある?
火災保険以上に驚きやすいのが地震保険です。5年間8万円だった保険料が21万円になれば、単純比較で約2.63倍です。
地震保険についても、10年前から現在まで料率改定が行われています。東日本大震災を契機とした基礎データの見直しなどを受け、2017年、2019年、2021年に3段階の料率改定が実施されました。
損害保険料率算出機構によると、この3段階改定では全国平均で、2017年実施分が5.1%引き上げ、2019年実施分が3.8%引き上げ、2021年実施分が5.1%引き上げとなっています。地域と建物構造によって実際の改定率は大きく異なります。[損害保険料率算出機構参照]
その後、2022年10月から適用される改定では全国平均0.7%引き下げとなりましたが、これも地域・構造によって結果は異なります。[損害保険料率算出機構参照]
地震保険は所在地と建物構造で保険料が大きく違う
地震保険の基本料率は全国一律ではありません。財務省によると、建物所在地と構造によって保険料が決まります。[財務省参照]
2022年10月以降の基本料率では、保険金額1,000万円あたりの年間保険料は、比較的低い地域・構造なら7,300円程度ですが、木造住宅で地震リスクが高い地域では4万1,100円となる区分もあります。[財務省参照]
同じ1,000万円の地震保険でも、所在地と建物構造だけで年間保険料に数倍の差が生じる制度です。
したがって5年8万円から21万円という差を検証するには、単に「全国平均で何%値上げされたか」ではなく、自宅の都道府県と構造区分の旧料率・現行料率を比較する必要があります。
地震保険金額が1.4倍になっていないか確認する
地震保険について特に確認したいのが「地震保険金額」です。
財務省によると、地震保険の保険金額は火災保険の保険金額の30%から50%の範囲で設定します。建物は5,000万円、家財は1,000万円が上限です。[財務省参照]
例えば以前の火災保険金額が2,000万円、地震保険を50%の1,000万円で設定していたとします。建物評価額の上昇によって火災保険金額が2,800万円となり、地震保険も50%の1,400万円になれば、地震保険で補償する金額自体が40%増えています。
地震保険料だけを「8万円→21万円」と比較するのではなく、「昔は地震保険金額いくらで8万円だったのか」「今回は保険金額いくらで21万円なのか」を必ず比較する必要があります。
地震保険の割引が同じかも重要
地震保険には建物の耐震性能などに応じた割引制度があります。財務省によると、建築年割引、耐震等級割引、免震建築物割引、耐震診断割引が設けられており、条件に応じて10%から50%の割引となります。割引は重複適用できません。[財務省参照]
例えば以前の契約では耐震等級による大きな割引を受けていたのに、更新手続きで確認資料が不足して別の割引になっていれば、保険料が大幅に変わる可能性があります。
反対に、築10年になったから自動的に地震保険の割引がなくなるという仕組みではありません。建築年割引など所定の条件を満たしていれば利用できるため、更新見積もりに何の割引が適用されているのかを確認しましょう。
地震保険の5年契約には長期係数が使われる
地震保険は1年契約だけでなく、最長5年の長期契約ができます。
財務省によると、現在の長期係数は2年1.90、3年2.85、4年3.75、5年4.70です。つまり5年間の保険料は、単純に1年分を5倍するのではなく、原則として1年分の保険料に4.70を乗じて計算します。[財務省参照]
| 地震保険期間 | 長期係数 |
|---|---|
| 2年 | 1.90 |
| 3年 | 2.85 |
| 4年 | 3.75 |
| 5年 | 4.70 |
したがって更新案内の21万円が5年分なら、1年あたり単純平均約4万2,000円ですが、単年度契約を5回行った場合と完全に同じ計算ではありません。
地震保険の値上げは保険会社が自由に利益を増やしているわけではない
地震保険の保険料が大きく上がると、「保険会社が儲けるために高くしているのでは」と感じることもあります。しかし地震保険は一般的な民間保険とは制度の仕組みが異なります。
損害保険料率算出機構によると、地震保険は政府と保険会社が共同で運営する公共性の高い保険で、基準料率には保険会社の利潤を織り込んでいません。現在、会員保険会社は同機構が算出した基準料率を使用しています。[損害保険料率算出機構参照]
財務省も、民間保険会社が負う地震保険責任を政府が再保険する仕組みによって制度を運営していると説明しています。[財務省参照]
そのため地震保険の値上げは、一般的な商品価格のように各保険会社が自由に大幅値上げして利益率を引き上げたという性質のものではありません。
「同じ保証を継続」のつもりでも条件が同じとは限らない
更新案内に「同等条件」「現在の補償を継続」などと書かれていても、10年前の契約と完全に同じ数値とは限りません。
特に確認したいのは、建物保険金額です。建築費の上昇に応じて評価額を見直していれば、補償内容の種類は同じでも保険金額が大きくなっています。
また、家財保険金額、水災補償、破損・汚損補償、免責金額、臨時費用などの特約が変わっていることもあります。
地震保険についても、保険金額が火災保険金額の何%になっているか、建物だけなのか家財にも地震保険が付いているのか、割引制度が同じかを比較する必要があります。
保険会社からもらうべき「旧契約と新契約の比較表」
更新保険料に納得できない場合は、代理店や保険会社に単に「なぜ高くなったのですか」と聞くより、旧契約との具体的な比較を求めるほうが分かりやすくなります。
少なくとも次の項目を並べてもらうと、値上がりの理由をかなり特定できます。
- 旧契約の建物評価額・保険金額
- 更新後の建物評価額・保険金額
- 火災保険の旧保険料と現在保険料
- 水災補償の有無
- 破損・汚損などの補償範囲
- 免責金額
- 地震保険の旧保険金額と新保険金額
- 地震保険の構造区分
- 地震保険に適用されている割引と割引率
- 家財保険・家財地震保険が含まれているか
特に「保険料はいくら上がったか」ではなく、「保険金額を同額にした場合でもいくら上がるのか」を出してもらうと、建築費上昇による値上げと料率自体の値上げを分けて考えられます。
同じ保険会社で自動更新する必要はない
火災保険の更新案内が届いたからといって、その保険会社でそのまま更新しなければならないわけではありません。
火災保険では保険会社ごとに商品内容、付加保険料、割引、免責設定、特約などが異なるため、同じ建物・近い補償内容でも保険料に差が出ることがあります。
そのため更新時には、少なくとも2~3社程度で同じ条件の見積もりを取り、保険金額と補償範囲をそろえて比較する方法があります。
ただし地震保険の基本料率は、損害保険料率算出機構が算出した基準料率を現在すべての会員損保会社が使用しているため、火災保険ほど単純に「会社を変えれば地震保険だけ大幅に安くなる」というものではありません。
保険料を下げるなら補償を削る前に免責金額を検討する
火災保険料が高くなった場合、補償を減らす方法はいくつかあります。ただし、必要な災害補償まで外してしまうと本来の保険の意味が薄れてしまいます。
例えば「小さな損害は自費で直せる」という家計であれば、免責金額を高く設定することで保険料を抑えられる場合があります。
水災補償については、自宅の地形、洪水・内水・土砂災害ハザードマップを確認したうえで必要性を判断します。「10年間水害がなかったから今後も不要」という判断は避けたほうがよいでしょう。
また建物保険金額を必要以上に低くして保険料を下げる方法も慎重に考える必要があります。大規模損害時に再建費用が不足する可能性があるためです。
建物評価額が本当に1.4倍必要なのかも確認する
一方で、保険会社から提示された建物評価額が1.4倍になっているなら、その算出根拠を確認すること自体は合理的です。
10年前より建築資材や人件費が上昇しているため再建築費が上がることは不自然ではありません。しかし保険会社がどの評価方法で金額を算出したかによって、提示される評価額には一定の幅があります。
「なぜ以前2,000万円だった建物が現在2,800万円評価なのか」「延床面積と構造からどのように計算したのか」と代理店へ聞けば説明してもらえます。
保険金額を必要以上に高くすれば必ず得になるとも限らないため、適正な再調達価額を確認したうえで設定することが重要です。
具体例|1.4倍の評価額と保険料率上昇が重なった場合
例えば10年前の建物保険金額が2,000万円で、10年火災保険料が21万円だったとします。
現在、同じ建物の再建費が2,800万円と評価されれば保険金額は1.4倍です。そこへ自然災害リスクなどを反映した料率改定や長期契約条件の変更が重なると、5年間の保険料が23万円程度になったとしても、「評価額が40%増えただけなのに保険料が2倍以上になっているから計算ミス」とは必ずしも言えません。
地震保険も、以前1,000万円だった地震保険金額が1,400万円になっていれば、それだけで保険料は40%増える方向になります。そこへ地域・構造別の料率改定や長期係数、割引条件の違いなどが重なります。
ただし5年8万円から21万円という約2.63倍の上昇は大きいため、地震保険については特に「保険金額が同じか」「割引率が同じか」「建物だけでなく家財が追加されていないか」まで確認する価値があります。
10年前の保険が特別に安かったという面もある
現在の保険料だけを見ると「今の保険会社が異常に高い」と感じますが、逆の見方をすると、10年前に契約した長期火災保険が現在から見て非常に有利な条件だった可能性があります。
当時の料率で10年間の保険料を固定でき、その後に複数回行われた火災保険料率の改定の影響を契約期間中は直接受けずに済んだからです。
現在は最長5年となったため、今後は5年後の更新時に再びその時点の保険料水準が反映されます。
つまり、10年前の保険料と現在の保険料を比較するときには、「同じ商品が単純に値上がりした」というより、保険料率、自然災害リスク、建築費、保険金額、契約可能期間という複数の前提が変わったと考える必要があります。
地震保険を外すかどうかは保険料だけで判断しない
地震保険が5年21万円になると、更新をやめたくなることもあるでしょう。しかし地震による損害は、通常の火災保険では原則として補償されません。
例えば地震によって火災が発生して家が焼失しても、原因が地震なら通常の火災保険だけでは原則として補償対象外です。地震、噴火、それらによる津波による損壊・火災・流失などに備えるのが地震保険です。[財務省参照]
地震保険金額は火災保険金額の30~50%なので、住宅を完全に建て直す費用をすべて補償する制度ではありません。財務省は、地震保険を被災後の生活安定を目的とする制度として説明しています。
そのため保険料が負担になる場合は、加入・非加入の二択だけでなく、地震保険金額を火災保険金額の50%から30%へ下げる選択が可能か、家計の現預金でどこまで地震リスクを負担できるかという観点もあります。
更新前に確認したいチェックリスト
10年前からの更新で保険料が大幅に上がったときは、そのまま契約する前に次の内容を確認すると納得しやすくなります。
- 火災保険の旧建物保険金額と新建物保険金額
- 建物評価額が1.4倍になった算出根拠
- 水災・風災・破損汚損など補償範囲が本当に同じか
- 免責金額が以前と同じか
- 家財保険の金額が増えていないか
- 地震保険金額が以前と同額か、1.4倍になっているか
- 地震保険の建物構造区分が正しいか
- 耐震等級割引・免震割引・建築年割引などが正しく適用されているか
- 地震保険の家財補償が新たに追加されていないか
- 他社で同条件の見積もりを取るといくらになるか
特におすすめなのは、代理店に「建物保険金額を旧契約と同じ金額に仮設定した場合の保険料も出してください」と依頼することです。これにより、評価額の上昇による影響と、料率改定による影響を分けて把握しやすくなります。
まとめ|10年前より2倍以上になってもあり得るが、地震保険21万円は内訳を確認したい
10年前の火災保険が10年21万円だったのに、現在は5年23万円になった場合、単純な年平均では約2.1万円から約4.6万円へ上昇しており、およそ2.19倍です。かなり大きな値上がりではありますが、この10年間の制度・料率環境を考えると、必ずしも異常な数字とは言えません。
火災保険では2019年に全国平均4.9%、2021年に10.9%、2023年に13.0%という参考純率の引き上げが行われています。さらに2022年10月以降は長期契約が最長10年から最長5年へ短縮されました。自然災害による保険金支払いの増加も、こうした改定の重要な背景です。
加えて建物評価額が10年前の1.4倍になっているなら、補償する建物保険金額そのものも増えている可能性があります。「建物価格1.4倍」「保険料率の上昇」「10年契約から5年契約への変更」が重なれば、火災保険の年あたり負担が2倍前後になることは十分考えられます。
一方、地震保険が5年8万円から5年21万円へ約2.63倍になるケースでは、料率改定だけで説明し切れない可能性もあります。地震保険は所在地・建物構造で料率が大きく異なり、さらに火災保険金額の30~50%で設定するため、建物評価額の上昇に合わせて地震保険金額も増えていないか確認することが重要です。耐震割引や家財地震保険の有無も確認すべきポイントです。
更新案内の金額を「高すぎるから間違い」と決めつける必要はありませんが、「この10年で保険が値上がりしたから仕方ない」とそのまま受け入れる必要もありません。旧契約と新契約について、建物保険金額、地震保険金額、補償内容、免責金額、地震保険の割引を横並びにしてもらい、値上がりの内訳を保険会社や代理店に説明してもらうのが最も確実です。
そのうえで複数社から同条件の火災保険見積もりを取り、必要な補償を残しながら免責金額や水災補償などを見直せば、単に自動更新するより合理的な契約を選びやすくなります。

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