40歳、世帯年収1,200万円、住宅ローン残高4,900万円、金融資産5,300万円、子供2人という家計を見ると、「住宅ローンが大きすぎるのでは」と不安になることがあります。特に40代は住宅費に加えて教育費が増え始め、老後資金も意識する時期です。
しかし、この数字だけから「完全に火の車」と判断するのは適切ではありません。年収に対して住宅ローンは大きめですが、それを上回る5,300万円の資産があるためです。むしろ重要なのは、資産の中身、毎月の住宅ローン返済額、教育方針、年間収支を確認することです。
世帯年収1200万円に住宅ローン4900万円はどの程度か
住宅ローン残高4,900万円を世帯年収1,200万円で割ると、年収の約4.1倍です。ただし、年収倍率だけで住宅ローンの安全性を判断することはできません。金利、残りの返済期間、毎月返済額、ボーナス返済の有無によって負担は大きく変わります。
住宅金融支援機構の「フラット35利用者調査」でも、住宅取得時の世帯年収、所要資金、融資金、総返済負担率などが公表されています。住宅ローンを考える際は借入額だけでなく、年収に対して年間返済額がどの程度を占めるかを見ることが重要です。[参照]
たとえば同じ4,900万円でも、低い固定金利で長期間返済するケースと、変動金利で今後の返済額上昇リスクを抱えているケースでは評価が変わります。「4,900万円」という残高だけで危険か安全かを決めることはできません。
資産5300万円があることは非常に重要
この家計を考えるうえで見落としてはいけないのが、5,300万円の資産です。住宅ローンが4,900万円あっても、それを上回る金融資産があるなら、単純な「借金4,900万円の家庭」とは状況がまったく異なります。
仮に5,300万円がすべて預貯金・株式・投資信託など換金可能な金融資産で、ほかに大きな負債がないとします。金融資産から住宅ローン残高だけを差し引けばプラス400万円です。さらに住宅そのものにも資産価値があります。
もちろん、株式などは価格が変動しますし、住宅も購入価格と現在の売却価格が同じとは限りません。そのため「資産5,300万円あるからローンは無視してよい」という意味ではありませんが、少なくとも資産を考慮せず住宅ローンだけを見て「火の車」と評価するのは実態に合いません。
本当に火の車かどうかは年間キャッシュフローで分かる
「火の車」とは、本来は日常の収支に余裕がなく、支払いに追われているような状態を指します。そのため家計診断では、資産額以上に毎月・毎年のキャッシュフローを見る必要があります。
たとえば手取り収入から住宅ローン、生活費、教育費、保険料、自動車関連費などを支払っても年間200万円を貯蓄・投資できているなら、住宅ローン残高が大きくても家計が火の車とは言いにくいでしょう。
反対に世帯年収1,200万円でも、毎年200万円ずつ資産を取り崩して生活しているなら注意が必要です。「年収が高い」「資産が多い」より、通常の生活だけで資産が増えているか減っているかを確認するほうが実用的です。
子供2人なら今後の教育費を必ず織り込む
40歳で子供が2人いる家庭の場合、今後の家計に大きく影響するのが教育費です。文部科学省の「子供の学習費調査」では、公立・私立別に学校教育費や学校外活動費などの状況が公表されています。[参照]
子供2人が公立中心なのか、中学・高校から私立なのか、大学は国公立か私立か、自宅通学か一人暮らしかによって必要資金は大きく変わります。5,300万円の資産があっても、その一部を教育資金として使う予定なら、全額を老後資金や投資資金として扱うことはできません。
たとえば「教育費として1,500万円」「生活防衛資金として500万円」など、将来使う予定のお金を先に区分すると、残りを住宅ローンの繰上返済や長期運用に回せるか判断しやすくなります。
地方暮らしでも支出が必ず少ないとは限らない
地方では都市部より住宅費が低い傾向がある一方、自動車が2台必要になる家庭もあります。車両購入費、保険、税金、車検、燃料、タイヤなどを含めると、自動車関連費が大きな固定支出になる場合があります。
また、住宅ローン以外にも固定資産税、火災・地震保険、将来の外壁や屋根、給湯器などの修繕・交換費用が発生します。戸建て住宅なら住宅ローン返済額だけを「住居費」と考えないことが大切です。
そのため「地方だから余裕」「年収1,200万円だから余裕」と決めるのではなく、住宅・車・教育という大きな支出を合計して年間収支を確認します。
5300万円の資産は「現金」と「投資資産」を分けて考える
資産5,300万円の中身も重要です。全額が普通預金なのか、株式・投資信託が中心なのか、勤務先の持株など特定資産に偏っているのかによってリスクは変わります。
たとえば5,300万円の大半が株式なら、市場の下落によって一時的に4,000万円程度まで減ることも想定しておく必要があります。一方、教育費など数年以内に必要になる資金まで投資せず、十分な現金を確保していれば、相場下落時に資産を売却せずに済みます。
住宅ローンを急いで全額繰上返済するか、金融資産を残すかについても、ローン金利、住宅ローン控除の状況、手元資金、運用リスクなどによって判断が変わります。資産があるからといって、一括返済が常に最適とは限りません。
まとめ:数字だけなら「完全に火の車」とはいえない
40歳、地方在住、世帯年収1,200万円、住宅ローン4,900万円、資産5,300万円、子供2人という条件だけを見る限り、「完全に火の車」と評価する状況ではありません。住宅ローンは小さくありませんが、それを上回る金融資産を持っている点は家計の大きな強みです。
ただし、本当の安全度は資産残高だけでは決まりません。毎年黒字なのか、住宅ローンの金利・返済額はいくらか、5,300万円のうち現金はいくらか、子供2人にどの程度の教育費を予定しているかを確認する必要があります。
判断基準としては、「住宅ローンが4,900万円もある」と単独で考えるより、「教育費や住宅維持費を含めても毎年黒字を維持でき、必要な現金を確保したうえで資産5,300万円を保有できているか」を見るのが適切です。そこがクリアできているなら、過度に悲観するより、教育・住宅・老後の3つに資産をどう配分するかを考える段階といえるでしょう。


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