高校卒業後に就職すると、「毎月いくら貯金できるのか」「実家にいくら入れるべきか」「一人暮らしでも貯金できるのか」は気になるところです。ただし、高卒という学歴だけで貯金額が決まるわけではありません。給与、賞与、勤務先、地域、実家暮らしか一人暮らしか、車の有無などによって家計は大きく変わります。
特に注意したいのが、同年代の「貯金○万円」という数字だけを比較しないことです。実家暮らしで家賃負担がほぼない人と、一人暮らしで家賃・光熱費・食費をすべて負担する人では、同じ給料でも年間の貯金額に数十万円以上の差が生じることがあります。
この記事では、公的統計を参考にしながら、高卒就職者の給与・手取りの考え方、実家暮らしで家に入れるお金、一人暮らしの生活費、毎月の貯金額について具体的な家計例とともに整理します。
高卒で就職すると給料はいくら?まず「手当」と「手取り」を分けよう
「高卒の手当はいくら?」という疑問では、まず何を手当と呼んでいるのかを整理する必要があります。会社から毎月支給される基本給とは別に、通勤手当、住宅手当、資格手当、交替勤務手当、時間外勤務手当などが付く場合がありますが、これらは勤務先によって大きく異なります。
厚生労働省の令和7年賃金構造基本統計調査速報では、一般労働者のうち高校卒の所定内給与額は男女計で月額288.9千円となっています。ただし、これは新卒1年目だけの数字ではなく、高校卒の幅広い年齢・勤続年数の労働者を含む平均です。高卒で就職したばかりの人の給与目安として、そのまま28万円台を想定するのは適切ではありません。[参照] 厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査 速報」
また、求人票に記載された「月給」と実際に銀行口座へ振り込まれる「手取り」も同じではありません。給与から所得税、雇用保険料、健康保険料、厚生年金保険料などが控除されるためです。さらに住民税は前年の所得を基準として課税されるため、新卒1年目と2年目で手取りの感覚が変わる場合があります。
高卒の貯金はいくらあれば普通?平均だけで判断しにくい理由
「高卒なら19歳で○万円、20歳なら○万円が平均」という便利な基準が欲しくなりますが、若い高卒会社員だけを対象に、実家暮らし・一人暮らしまで分けた全国的な貯金統計は限られています。そのため、根拠の不明確なSNSの「19歳の平均貯金額」などを基準にする必要はありません。
貯金額は学歴以上に、就職してからの期間と住居費に左右されます。例えば同じ手取り18万円でも、実家に3万円を入れて生活している人と、家賃6万円の部屋を借りている人では年間72万円もの家賃差が発生します。
そのため比較するなら「現在の貯金残高」だけではなく、毎月の手取りの何%を残せているかを見るほうが実用的です。最初は生活防衛資金として10万円、次に30万円、50万円と段階的な目標を設定すると続けやすくなります。
実家暮らしなら毎月いくら貯金できる?具体的な家計例
実家暮らしは住居費を抑えやすいため、高卒で働き始めた直後から貯金を作る大きなチャンスになります。ただし、実家に入れる金額、昼食代、車の維持費、スマートフォン代などによって残る金額はかなり変わります。
例えば手取り18万円として、家に3万円、スマートフォン・通信費5,000円、昼食・外食1万5,000円、交通・車関連2万円、衣服・美容1万円、趣味・交際費2万5,000円、その他1万円を使った場合、支出は11万5,000円です。この例では月6万5,000円を残せます。
ただし、これはあくまで家計モデルです。毎月6万5,000円を必ず貯金できるという意味ではありません。自動車保険、車検、タイヤ、冠婚葬祭、旅行、家電やスマートフォンの買い替えなど、毎月発生しない支出もあります。
| 実家暮らしの家計例 | 月額 |
|---|---|
| 手取り | 180,000円 |
| 家に入れる | 30,000円 |
| 通信費 | 5,000円 |
| 昼食・外食 | 15,000円 |
| 交通・車関連 | 20,000円 |
| 衣服・美容 | 10,000円 |
| 趣味・交際費 | 25,000円 |
| その他 | 10,000円 |
| 残せる金額 | 65,000円 |
実家暮らしでは家にいくら入れるのが正解?
実家に入れる金額について全国共通のルールはありません。「社会人なら必ず5万円」「給料の3割」といった決まりもなく、家庭の経済状況や、食費・光熱費・日用品をどこまで親が負担しているかによって変わります。
例えば月2万円を入れて自分の食事や日用品はかなり自分で負担する家庭と、月4万円を入れる代わりに食事・光熱費・日用品まで家計から出してもらう家庭では、単純に2万円と4万円だけを比較できません。
高卒で就職したばかりなら、まず手取り額を確認し、親と話し合って無理なく継続できる金額を決める方法が現実的です。家に入れるお金を「親へのお礼」だけで考えるのではなく、食費や光熱費など自分が実際に利用する生活費の分担として考えると話し合いやすくなります。
一人暮らしの高卒社会人はどれくらいお金がかかる?
一人暮らしになると、実家暮らしでは見えにくかった家賃、電気・ガス・水道、食費、日用品などを自分で負担します。特に家賃は毎月固定で発生するため、貯金できる金額を大きく左右します。
総務省の家計調査は一人暮らしの生活費を考える参考になります。ただし、単身世帯の統計には学生から高齢者までさまざまな年齢・職業の人が含まれているため、「高卒で就職した18~20歳の生活費そのもの」ではありません。統計は自分の予算を作る材料として利用するのが適切です。[参照] 総務省統計局「家計調査」
若手社会人の場合は、家賃を抑えられるかどうかが重要です。会社の寮や住宅手当が利用できれば、一人暮らしでも実家暮らしに近いペースで貯金できることがあります。反対に家賃の高い地域で自動車も所有すると、手取りが同じでも貯金の難易度は一気に上がります。
手取り18万円で一人暮らしした場合のシミュレーション
一例として、手取り18万円、家賃5万円のケースを考えてみます。家賃5万円、食費3万円、水道光熱費1万円、通信費5,000円、日用品5,000円、交通費1万円、趣味・交際費2万円、衣服・美容1万円、その他1万円なら、毎月の支出は14万5,000円です。
この場合は3万5,000円が残ります。毎月3万円を先取り貯金し、5,000円を予備費にする方法なら、単純計算で年間36万円を貯められます。賞与を一部貯金できれば、さらに増やせます。
| 一人暮らしの家計例 | 月額 |
|---|---|
| 手取り | 180,000円 |
| 家賃 | 50,000円 |
| 食費 | 30,000円 |
| 水道光熱費 | 10,000円 |
| 通信費 | 5,000円 |
| 日用品 | 5,000円 |
| 交通費 | 10,000円 |
| 趣味・交際費 | 20,000円 |
| 衣服・美容 | 10,000円 |
| その他 | 10,000円 |
| 残せる金額 | 35,000円 |
実際には賃貸契約の初期費用、家具・家電、更新料、帰省費などもあります。そのため月3万5,000円すべてを長期貯金にせず、一部を「近いうちに使うお金」として確保しておくと急な出費にも対応しやすくなります。
高卒1年目なら貯金10万円・30万円・50万円と段階的に考える
働き始めたばかりの段階で、いきなり100万円を目標にする必要はありません。最初の目標としては、急な出費に対応できる10万円程度を確保し、その後30万円、50万円と増やしていく方法があります。
例えば毎月3万円なら1年間で36万円、毎月5万円なら60万円、毎月7万円なら84万円です。賞与を考慮しなくても、実家暮らしで固定費を抑えられれば1年間でまとまった金額を作れる可能性があります。
一方、一人暮らしで月2万円しか貯金できなくても年間24万円です。実家暮らしで年間60万円貯めた人と比較して落ち込む必要はありません。自分で家賃や食費を負担しながら24万円残したのであれば、家計として十分意味のある成果です。
毎月何にお金を使う?若いうちほど固定費に注目
毎月の支出は、大きく「固定費」と「変動費」に分けると管理しやすくなります。固定費には家賃、通信費、保険、車のローン、サブスクリプションなどがあり、変動費には食費、交際費、娯楽費、衣服代などがあります。
特に注意したいのが自動車です。地方では通勤に車が不可欠なこともありますが、車両代だけでなく、ガソリン、自動車保険、税金、車検、タイヤ、整備、駐車場なども必要です。「ローンが月2万円だから車代は2万円」とは限りません。
反対に、友人との食事や趣味をすべて削る必要もありません。貯金は一時的に我慢して最大化するより、毎月無理なく継続できる仕組みにすることが重要です。給料日に一定額を別口座へ移す先取り貯金なら、残った金額を使えるため管理しやすくなります。
実家暮らしと一人暮らしでは貯金額より「貯蓄率」を比べる
同年代の貯金額を比較するときは、生活条件を揃えないとあまり意味がありません。実家暮らしで手取り18万円から毎月6万円貯める人と、一人暮らしで手取り18万円から毎月3万円貯める人を比べて、後者の金銭管理が悪いとは言えません。
そこで参考になるのが貯蓄率です。手取り18万円から3万円なら約17%、5万円なら約28%です。就職直後なら、まず手取りの10~20%程度を無理なく継続して残せるか考え、実家暮らしで余裕が大きい場合はさらに高い割合を目指す方法があります。
ただし、10~20%も絶対的な正解ではありません。奨学金返済、家族への生活費、通勤用自動車など必要な支出が多い時期には貯金率が下がって当然です。重要なのは赤字を常態化させず、収入が増えたときに生活水準も同じだけ上げてしまわないことです。
高卒社会人が貯金しやすくなる5つの方法
貯金を増やすには、細かい節約を大量に続けるより、お金が残る仕組みを先に作るほうが簡単です。
- 給料日に先取りする:毎月2万~5万円など、自分が継続できる金額を別口座へ移します。
- 実家暮らしの期間を貯め時にする:家賃負担が少ない時期に生活防衛資金を作ります。
- 車の総費用を計算する:ローンだけでなく保険・税金・車検・燃料費も月割りします。
- 賞与を最初から当てにしすぎない:毎月の給料だけでも赤字にならない家計を作ります。
- 昇給しても固定費を急に増やさない:給与が上がった分の一部を貯金へ回します。
例えば月5,000円の節約でも年間6万円になります。一方、家賃を月1万円抑えられれば年間12万円です。大きな固定費を一つ見直すほうが、毎日の小さな出費を我慢するより効果が大きいことがあります。
まとめ|高卒の貯金額に正解はない。実家・一人暮らしで分けて考えよう
高卒で働く人の給料や貯金額は、勤務先、地域、年齢、勤続年数、手当、賞与によって異なります。「高卒なら貯金○万円が普通」という単一の基準はありません。また、会社の各種手当も全国一律ではなく、求人票や就業規則、給与明細を確認する必要があります。
実家暮らしの場合は住居費を抑えやすいため、毎月数万円を先取りできれば比較的早く30万円、50万円という貯金を作れます。家に入れる金額には全国共通の正解がないため、食費や光熱費をどこまで家族が負担しているかも含めて話し合うことが大切です。
一人暮らしでは家賃・食費・光熱費などが発生するため、実家暮らしより貯金額が少なくなるのは自然です。他人の貯金残高よりも、自分の収入の範囲内で生活し、毎月少しでも黒字を積み上げられているかを見るほうが重要です。
最初は10万円の予備資金を作り、その後30万円、50万円と段階的に増やしていけば十分です。若いうちは収入そのものが今後変化する可能性も大きいため、節約だけではなく、資格取得や技能習得など将来の収入を高めるためのお金も残しながら、無理なく貯金を続けるのが現実的です。


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