医療保険や生命保険を契約していると、「ほかの人は毎月いくら払っているのだろう」と気になることがあります。月3,000円程度の人もいれば、生命保険・医療保険・がん保険・個人年金などを合わせて月2万円、3万円以上支払っている人もいるため、自分の保険料が高いのか安いのか判断しにくいものです。
参考になるのが公益財団法人生命保険文化センターの全国調査です。2025年度の「生活保障に関する調査」では、生命保険に加入している個人の年間払込保険料は平均17.1万円でした。単純に12か月で割ると、月額換算で約1万4,250円です。ただし、この数字には生命保険だけでなく個人年金保険も含まれるため、「医療保険だけの平均月額」と考えてはいけません。[参照] 生命保険文化センター「2025年度 生活保障に関する調査」
また、平均額だけを見て「月1万4,000円くらい払うのが普通」と判断するのも適切ではありません。必要な保障は年齢、独身・既婚、子どもの有無、住宅ローン、勤務先の福利厚生、預貯金などによって大きく変わります。ここでは最新の公的な調査データを基に、保険料の目安と家計に合った考え方を整理します。
生命保険はみんな月々いくら払っている?
生命保険文化センターが全国の18~79歳を対象に実施した2025年度調査では、生命保険加入者の年間払込保険料の平均は17.1万円でした。月額へ単純換算すると約1万4,250円です。[参照] 生命保険文化センター「2025年度 生活保障に関する調査」
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 年間払込保険料の平均 | 17.1万円 |
| 12か月で割った月額換算 | 約14,250円 |
ここで重要なのは、この17.1万円が「医療保険1契約の料金」ではないことです。調査では民間生命保険会社、かんぽ生命、簡易保険、JA、県民共済・生協等を含む生命保険・個人年金保険について集計されています。
例えば、死亡保険5,000円、医療保障3,000円、がん保障2,000円、個人年金5,000円という組み合わせなら月1万5,000円になります。一方、独身で医療保障だけをシンプルに確保している人なら数千円というケースもあり得ます。同じ「保険に入っている人」でも中身はかなり違います。
世帯全体では年間35.3万円、月額換算で約2.9万円
夫婦や家族単位で考える場合には別の調査が参考になります。生命保険文化センターの2024年度「生命保険に関する全国実態調査」では、2人以上世帯における生命保険・個人年金保険の世帯年間払込保険料は平均35.3万円でした。[参照] 生命保険文化センター「2024年度 生命保険に関する全国実態調査」
これを12か月で単純に割ると約2万9,400円です。ただし、これは1人分ではなく2人以上世帯全体の平均で、個人年金保険も含まれています。
さらに平均値だけでなく分布を見ることも重要です。2人以上世帯の年間払込保険料では「12万円以上24万円未満」が19.3%で最も多く、「12万円未満」が17.8%、「24万円以上36万円未満」が15.7%となっています。[参照] 生命保険文化センター「生命保険の保険料は年間どれくらい払っている?」
つまり平均が35.3万円だからといって、多くの家庭が毎月約2万9,000円を支払っているという意味ではありません。保険料が高額な世帯によって平均値が押し上げられることもあるため、分布とセットで見る必要があります。
医療保険だけなら月額はいくらが普通なのか
「医療保険だけの平均月額はいくらか」という疑問に対しては注意が必要です。生命保険文化センターの主要な統計で示される年間払込保険料は生命保険・個人年金保険をまとめた金額であり、医療保険だけの全国平均月額として単純に読み替えることはできません。
医療保障については加入率のデータが参考になります。2025年度の生活保障に関する調査では、疾病入院給付金が支払われる生命保険の加入率は65.6%でした。また、加入している疾病入院給付金の日額平均は8,500円となっています。[参照] 生命保険文化センター「2025年度 生活保障に関する調査」
したがって、「医療保険なら月○円が全国平均」と決め打ちするより、実際には保険会社の商品ごとに見積もりを取り、同じ保障条件で比較するほうが実用的です。年齢、性別、保障期間、入院給付金、一時金、先進医療特約などによって保険料は変化します。
月3,000円の人と月3万円の人がいても不思議ではない
保険料に大きな差が出る最大の理由は、加入している保障の種類と目的が違うからです。保険という言葉には、死亡保障、医療保障、がん保障、就業不能保障、介護保障、個人年金など、性質の異なる商品が含まれています。
例えば独身で扶養家族がおらず、十分な預貯金がある人なら、大きな死亡保障を必要としないケースがあります。医療保険だけを最低限契約すれば、保険料を比較的低く抑えられる可能性があります。
反対に、配偶者と小さな子どもがいて、死亡時に家族へ大きな保障を残したい人なら、死亡保険に加えて医療・がん・就業不能などを組み合わせることがあります。さらに貯蓄性商品や個人年金まで契約していれば、月々の支払額が大きくなるのは自然です。
保険料は年齢だけでなく家族構成で考える
他人の保険料を参考にするときに特に注意したいのが家族構成です。同じ30歳でも、独身の会社員と、配偶者と子ども2人を養っている会社員では必要保障額が大きく異なる可能性があります。
死亡保障は特にこの差が出やすい分野です。扶養家族がいない人の場合、自分が死亡した後の大規模な生活保障を用意する必要性は相対的に低くなります。一方、家計を支える人が亡くなると残された家族の生活費や教育費が不足する家庭では、死亡保障の重要性が高まります。
生命保険文化センターの2025年度調査では、死亡保険金の必要額の平均は1,569万円、実際の加入金額の平均は887万円でした。必要と考える保障額と実際に加入している保障額にも差があることが分かります。
医療保険は公的医療保険を考えてから決める
民間医療保険を検討するときは、「病気になった医療費をすべて民間保険で準備する」という考え方ではなく、まず日本の公的医療保険でどこまでカバーされるかを確認することが重要です。
公的医療保険には高額療養費制度があり、1か月の医療費の自己負担額が一定額を超えた場合、超過部分について払い戻しを受けられる仕組みがあります。自己負担限度額は年齢や所得によって異なります。会社員などの場合には、加入している健康保険に独自の付加給付が設けられている場合もあります。
そのうえで、差額ベッド代、入院時の食事負担、交通費、休業による収入減など、公的制度だけでは十分に補えないリスクを預貯金と民間保険のどちらで準備するかを考えます。「病気が怖いから保障を全部増やす」のではなく、公的保障+預貯金+民間保険の3つを合わせて考えるのが基本です。
生命保険も公的保障を差し引いて考える
死亡保障についても同様です。会社員や公務員、自営業者など公的年金制度の加入状況や家族構成によっては、遺族年金を受け取れる場合があります。
例えば、遺された家族に将来必要となる生活費・教育費などを計算し、そこから遺族年金、配偶者の収入、預貯金、勤務先から受け取れる給付などを差し引き、不足する部分を生命保険で補うという考え方があります。
「周囲が死亡保険3,000万円に入っているから自分も3,000万円」と決めるより、家庭ごとの不足額を計算するほうが合理的です。同じ理由で、他人の月額保険料そのものを目標額にする必要もありません。
保険料が高いか判断するチェックポイント
毎月の保険料を見直す場合は、単純に平均額との大小だけを比べるのではなく、何にいくら支払っているかを分解すると判断しやすくなります。
- 死亡保障はいくらあるか
- 医療保険の入院給付金・一時金はいくらか
- がん保険や三大疾病保障が重複していないか
- 先進医療などの特約が重複していないか
- 終身保険と定期保険のどちらか
- 個人年金や貯蓄性保険が含まれているか
- 勤務先の団体保険や福利厚生と重複していないか
- 現在の預貯金で対応できるリスクまで保険にしていないか
例えば月2万円を払っていても、その大半が将来受け取る個人年金の積立部分なら、月2万円すべてを掛け捨ての保障コストとして扱うことはできません。逆に月5,000円でも、現在の家族構成には不要な保障なら見直す余地があります。
保険料の「高い・安い」は金額だけでは決まりません。支払っている金額に対して、自分に必要な保障が過不足なく用意されているかが重要です。
「みんなの平均」に合わせる必要はない
生命保険文化センターの2025年度調査による個人の年間払込保険料平均17.1万円は、他人との比較には便利な数字です。しかし、平均額をそのまま「適正保険料」と考えることはできません。
例えば、十分な金融資産を持つ単身者なら、医療費の一部を預貯金から支払うという選択もできます。一方、貯蓄がまだ少なく、扶養する家族がいる家庭では、保険によって大きな経済的リスクを移転する意味が大きくなります。
また年齢が上がれば新規加入時の保険料が高くなる商品も多いため、20代と50代の月額を単純比較することもできません。「同年代だから同じ金額」というものでもなく、家族構成、資産、収入、公的保障まで含めた比較が必要です。
具体例|月額保険料を見るときは内訳まで比較する
例えばAさんが月5,000円、Bさんが月15,000円を保険に払っているとします。数字だけならBさんはAさんの3倍です。
しかしAさんが独身で医療保障中心、Bさんが配偶者と子どものいる世帯主で、死亡保障・医療保障・就業不能保障を用意しているなら、単純に「Bさんは払いすぎ」とはいえません。
さらにCさんが月25,000円を支払っていて、そのうち15,000円相当が老後資金を目的とした個人年金保険だった場合、保障を中心とするAさん・Bさんとは支払いの目的そのものが異なります。このように月額だけでは保険の良し悪しを比較できないのが保険料を考えるうえで重要なポイントです。
保険を見直すなら「月額」より必要保障額から逆算する
保険を見直すときは「月1万円以内にしたい」と金額から入る方法もありますが、先に必要な保障を整理するほうが失敗しにくくなります。死亡した場合、長期入院した場合、働けなくなった場合などに家計がどれだけ不足するかを確認します。
その不足分について、公的保障や預貯金では対応できない部分を保険で補います。そのうえで複数の商品を同じ条件で比較し、保険料が家計を圧迫しない範囲に収まるか確認します。
特に昔加入した保険では、結婚、出産、住宅購入、子どもの独立、退職などによって必要保障額が変わっている場合があります。保障を増やすだけでなく、不要になった保障を減らすことも保険見直しの重要な選択肢です。
まとめ|個人の平均は月約1.4万円だが「自分に必要な額」が重要
生命保険文化センターの2025年度調査では、生命保険加入者の年間払込保険料は平均17.1万円で、単純な月額換算では約1万4,250円です。また2024年度の世帯調査では、2人以上世帯の年間払込保険料は平均35.3万円、月額換算では約2万9,400円でした。
ただし、これらには個人年金保険なども含まれています。したがって「医療保険だけなら月1万4,000円が普通」「夫婦なら月3万円払うべき」という意味ではありません。実際には保障内容、年齢、家族構成、貯蓄額などによって適正額は大きく変わります。
保険料の平均は「自分が極端に高いか低いか」を考える参考資料にはなりますが、契約額を決める基準ではありません。まず公的保障と預貯金を確認し、それでも家計で負担できないリスクだけを民間保険で補うという順序で考えると、必要以上に保険料を払い続けることを防ぎやすくなります。
※掲載した統計は2026年8月30日時点で確認できる公益財団法人生命保険文化センターの2024年度「生命保険に関する全国実態調査」および2025年度「生活保障に関する調査」に基づきます。平均値は個々の契約者にとって適切な保険料を示すものではありません。

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