将来一人暮らしをするには、家賃だけでなく食費、水道光熱費、通信費、日用品代、交通費などを毎月支払える収入が必要です。そのため高校生のうちから「将来どうやってお金を稼ぐか」を考えることには大きな意味があります。
では、収入を得るために中学・高校の勉強は必要なのでしょうか。結論からいえば、学校の成績が良ければ必ず高収入になるわけではありませんが、中学・高校で身につける基礎学力は、将来選べる仕事や進路を増やすためにかなり役立ちます。
大切なのは「テストで100点を取らなければ稼げない」と考えることではありません。国語・数学・英語などを学ぶ過程で身につく、文章を読む力、計算する力、調べる力、考える力は、社会に出てからも繰り返し使います。
勉強ができないとお金を稼げないわけではない
まず知っておきたいのは、学校の成績と将来の収入が完全に一致するわけではないことです。学歴だけで収入が決まるわけでもありません。技術職、営業職、接客業、建設業、製造業、IT関連など、社会には非常に多くの仕事があります。
例えば学校の筆記試験が得意でなくても、機械を扱うことが得意な人、コミュニケーション能力が高い人、ものづくりが得意な人などは、それぞれの強みを仕事に生かせます。資格や実務経験、専門技術を身につけて収入を伸ばしていく道もあります。
その意味では「勉強が苦手だから将来稼げない」と決めつける必要はありません。ただし、だからといって中学・高校の勉強が不要になるわけでもありません。
基礎学力があるほど将来の選択肢を残しやすい
高校卒業後には、就職、大学、短期大学、専門学校など複数の進路があります。一定の学力があれば、それだけ選択できる進学先や就職先を広げやすくなります。
今は大学へ行く予定がなくても、高校2年・3年になって「この仕事には専門的な勉強が必要だ」と気づくかもしれません。そのとき基礎学力があれば進路変更もしやすくなります。逆に基礎から学び直す必要があると、その分だけ時間がかかります。
高校生の勉強には、将来の職業を今すぐ決めるためというより「後から選べる道を減らさないため」という意味もあります。やりたい仕事がまだ決まっていない人ほど、この考え方は大切です。
国語・数学・英語は一人暮らしでも仕事でも使う
学校で習う内容には「こんなものを社会に出て使うのだろうか」と感じるものもあります。しかし、基礎的な国語や数学はかなり実用的です。
例えば一人暮らしを始めると、賃貸借契約、携帯電話の契約、保険、給与明細、税金などさまざまな文章を読むことになります。文章の意味を正確に理解する国語力は、自分のお金や権利を守ることにもつながります。
数学についても、給料の手取り、家賃、割引率、金利、ローン、貯金などで計算力を使います。例えば手取り18万円で家賃6万円なら、家賃だけで手取りの約3分の1を使います。そのうえで食費3万円、光熱費1万円、通信費7,000円などと予算を組むには基本的な計算が欠かせません。
英語も職種によって重要度は異なりますが、進学、資格、IT、観光、海外との仕事など選択肢を広げる力になります。すべてを完璧にする必要はありませんが、中学レベルの基礎を固めておく価値はあります。
一人暮らしには「月給」より手取りと生活費を考える
将来一人暮らしをしたいなら、今から「いくら稼げば暮らせるのか」を考えてみると、勉強や進路選択の目的が具体的になります。会社から提示される給与額がそのまま自由に使えるわけではなく、働き方などに応じて税金や社会保険料などが差し引かれるためです。
一人暮らしでは、家賃、食費、水道光熱費、通信費、日用品費などが必要です。さらに病気、家電の故障、冠婚葬祭など予定外の出費もあります。住む地域によっては車の維持費も大きな負担になります。
例えば毎月の生活費が15万円だから手取り15万円あれば十分、とは考えにくいでしょう。毎月すべて使ってしまえば、突然5万円必要になったときに対応できません。生活費に加えて少しずつ貯金できる収入を目標にするほうが安定します。
高校生なら「勉強+将来役立つスキル」を伸ばすのがおすすめ
高校生の段階では、学校の勉強だけに将来を賭ける必要も、反対に勉強を捨ててお金を稼ぐ方法だけを探す必要もありません。基礎学力を維持しながら、自分が得意になれそうな分野を探す方法が現実的です。
例えばパソコンが好きならプログラミングやIT系資格、機械が好きなら工業系の技術や資格、数字が得意なら簿記、英語が好きなら英語資格などへ発展させられます。料理、美容、介護、自動車整備、電気工事など、専門的な技能を仕事につなげる進路もあります。
アルバイトができる環境なら、働く経験も勉強になります。時給だけを見るのではなく、「1万円稼ぐには何時間働く必要があるのか」「毎月3万円貯めると1年間でいくらになるのか」と考えると、お金と労働の関係を実感できます。
高校卒業はできるだけ目指したい
特別な事情がない限り、高校は卒業を目指すことをおすすめします。求人には応募条件として高卒以上などの学歴条件が設定されているものがあり、高校卒業資格を持っていることで応募できる仕事の範囲を確保しやすくなるからです。
厚生労働省では高校生の就職について、学校やハローワークを通じた就職支援を行っています。高校在学中なら一人で就職活動の方法を考えるより、学校の進路指導担当者から求人や職業について情報を得ることもできます。[参照:厚生労働省 新規学卒者の就職支援]
また、将来の仕事を考える際には厚生労働省の職業情報提供サイト「job tag」で、さまざまな職業の仕事内容、必要なスキル、入職経路などを調べられます。[参照:厚生労働省 job tag]
「稼げる仕事」だけで進路を決めないことも大切
収入はもちろん重要ですが、仕事を選ぶときには給与だけでなく、労働時間、休日、勤務地、雇用の安定性、福利厚生、仕事内容、自分との相性なども確認する必要があります。
例えば月給が数万円高くても、長時間労働で続けられなければ長期的な生活は安定しません。一方、最初の給与がそれほど高くなくても、経験や資格を積むことで収入が上がる職業もあります。
高校1年生なら、今すぐ一生の仕事を決めなくても大丈夫です。「自分は何が得意か」「どんな仕事なら続けられそうか」「その仕事にはどんな進路や資格が必要か」を少しずつ調べれば、今の勉強にも目的を持ちやすくなります。
まとめ:勉強は高収入の保証ではなく、将来の選択肢を増やすための土台
お金を稼ぐために学校の成績がすべてというわけではありません。社会では学力以外にも、専門技術、資格、経験、コミュニケーション能力、責任感などさまざまな力が評価されます。
一方で、中学・高校で身につける読み書き・計算などの基礎学力は、就職や進学の選択肢を広げ、一人暮らしで自分のお金を管理するためにも役立ちます。勉強そのものが収入を保証するのではなく、将来選べる道を増やすための土台だと考えると分かりやすいでしょう。
高校1年生の段階なら、まず高校卒業を目指しながら基礎学力を身につけ、自分の興味がある職業を調べてみるのがおすすめです。そして必要な資格や進学先、想定される収入、一人暮らしに必要な生活費まで調べていけば、「何のために今勉強するのか」が少しずつ具体的になっていきます。


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