会社員として働いていた時は、毎月の給与から健康保険料が天引きされます。しかし退職後、翌年になって市役所から国民健康保険料の通知が届き、「また健康保険料を払うの?」「二重課税では?」と疑問に感じる人は少なくありません。
特に、前年の所得を基準に高額な保険料通知が届くと、「もう会社で払っていたのに」と混乱しやすいものです。
この記事では、会社の健康保険と国民健康保険の仕組み、前年所得で計算される理由、二重払いに見える原因について整理して解説します。
健康保険料と国民健康保険料は「税金」ではない
まず重要なのは、健康保険料や国民健康保険料は「税金」ではなく、医療保険制度を支えるための保険料という点です。
| 種類 | 内容 |
|---|---|
| 会社の健康保険 | 勤務先の健康保険組合や協会けんぽへ加入 |
| 国民健康保険 | 自営業者・退職者などが市区町村で加入 |
そのため、「健康保険料」と「国民健康保険料」は似ていますが、加入先が異なる別制度です。
厳密には税金ではないため、「二重課税」という扱いにはなりません。
なぜ退職後に国民健康保険料の通知が来るのか
会社を退職すると、原則として会社の健康保険資格を失います。
その後は、次のいずれかへ加入する必要があります。
- 国民健康保険
- 家族の扶養に入る
- 任意継続被保険者制度
国民健康保険へ加入した場合、市区町村から保険料通知が送られてきます。
これは「退職前の会社保険料の続き」ではなく、新たに国民健康保険へ加入したため発生するものです。
前年所得で計算される理由
国民健康保険料は、前年の所得を基準に計算されます。
例えば2026年度の国民健康保険料は、原則として2025年の所得を参考に決まります。
そのため、前年まで会社員としてしっかり収入があった人は、退職後に無収入になっても高額な通知が届くことがあります。
| 時期 | 基準 |
|---|---|
| 2026年度国保 | 2025年所得 |
| 2027年度国保 | 2026年所得 |
この仕組みのため、「今は収入が減ったのに高い」と感じるケースが多くあります。
会社員時代の健康保険料と何が違う?
会社員時代の健康保険料は、給与額に応じて毎月天引きされ、さらに会社が半額負担しています。
つまり、実際には保険料の半分を勤務先が負担していた状態です。
一方、国民健康保険には会社負担がありません。
そのため、退職後は「全額自己負担」になり、高く感じやすくなります。
会社員時代の例
健康保険料2万円の場合、本人負担は1万円、会社負担も1万円というケースがあります。
国民健康保険の例
同程度の医療保険でも、会社負担が無いため全額自己負担になります。
この差によって、「退職後に急に高くなった」と感じる人が多いです。
二重払いに見えやすいタイミングとは
特に混乱しやすいのが、退職直後のタイミングです。
会社の健康保険料は翌月徴収の会社も多いため、退職後最後の給与から健康保険料が引かれることがあります。
その一方で、国民健康保険料の通知も後日届くため、「同じ期間を二重に払っているように見える」ことがあります。
しかし実際には、対象月が異なるケースがほとんどです。
保険料が高すぎる時は減免制度もある
退職後に収入が大きく減った場合、国民健康保険料の減免制度を利用できる場合があります。
- 会社都合退職
- 失業
- 災害
- 収入急減
特に倒産・解雇・雇止めなどの「非自発的失業者」は軽減措置対象になることがあります。
市区町村へ相談すると、保険料軽減や分割納付の案内を受けられる場合があります。
任意継続との比較も重要
退職後すぐ国民健康保険へ加入せず、「任意継続」を選ぶ人もいます。
任意継続とは、退職前の会社の健康保険を最長2年間継続できる制度です。
| 制度 | 特徴 |
|---|---|
| 任意継続 | 以前の健康保険を継続 |
| 国民健康保険 | 市区町村へ加入 |
ただし任意継続では会社負担分も自己負担になるため、必ずしも安いとは限りません。
収入や家族構成によって有利不利が変わるため、比較検討が大切です。
まとめ
退職後に届く国民健康保険料通知は、会社員時代に払っていた健康保険料の「二重課税」ではありません。
会社の健康保険と国民健康保険は別制度であり、国民健康保険料は前年所得を基準に計算されるため、退職後でも高額になるケースがあります。
また、会社員時代は会社が保険料の半額を負担していたため、退職後は自己負担増で高く感じやすくなります。
負担が重い場合は、減免制度や任意継続との比較も含め、市区町村へ相談してみることが大切です。


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