家族が亡くなった場合、その年の所得について通常の確定申告ではなく「準確定申告」が必要になることがあります。特に、年金収入のみだった場合や所得税の追加納付が発生しない場合は、「申告しなくても大丈夫なのでは?」と迷うケースも少なくありません。
この記事では、故人の収入が年金のみだった場合の準確定申告の考え方、申告義務がない場合でも手続きをするメリット、医療費控除による還付を受ける方法について分かりやすく解説します。
準確定申告とは亡くなった人の代わりに行う確定申告
準確定申告とは、亡くなった人について相続人が代わりに行う確定申告のことです。通常の確定申告は本人が行いますが、本人が亡くなっているため、相続人が手続きをします。
対象となるのは、亡くなった年の1月1日から死亡日までに発生した所得です。例えば、5月に亡くなった場合は、1月から5月までの年金収入やその他の所得について申告することになります。
準確定申告の期限は、原則として相続の開始があったことを知った日の翌日から4か月以内です。期限を過ぎると手続きに影響が出る可能性があるため、早めに確認することが大切です。
年金収入だけなら準確定申告が不要になる場合がある
故人の収入が年金のみの場合、一定の条件を満たしていれば所得税の確定申告が不要になる制度があります。
例えば、公的年金等の収入金額が400万円以下で、年金以外の所得が一定以下の場合は、所得税の確定申告が不要となる場合があります。
ただし、「申告が不要」と「申告してはいけない」は意味が異なります。税金を追加で支払う必要がなくても、還付を受けられる場合には準確定申告を行うことができます。
医療費控除がある場合は準確定申告をするメリットがある
亡くなる前に支払った医療費が多い場合、準確定申告で医療費控除を受けられる可能性があります。
例えば、死亡した年に本人が15万円の医療費を支払っていた場合、所得や保険金などの状況によっては、医療費控除によって所得税の還付を受けられることがあります。
還付額が1万円程度であっても、故人が本来受けられるはずだった税金の払い戻しです。そのため、手続きの手間と還付金額を比較して判断することになります。
準確定申告をしないとどうなるのか
所得税の追加納付がなく、かつ申告義務がないケースでは、準確定申告をしなくても税務上の問題が発生しない場合があります。
一方で、本来受け取れる還付金を放棄することになります。還付申告は義務ではありませんが、手続きをすれば戻ってくるお金を受け取れる可能性があります。
例えば、医療費控除によって1万円の還付が見込まれる場合、書類作成や提出の手間を考えて申告しない選択をする人もいます。しかし、必要書類がそろっていれば自分で手続きできるケースもあります。
準確定申告に必要な主な書類
準確定申告を行う場合、一般的には以下のような書類を準備します。
- 故人の源泉徴収票
- 医療費の領収書や医療費控除に関する明細書
- 相続人全員の情報が分かる書類
- 還付金を受け取る相続人の口座情報
医療費については、死亡日までに故人本人が支払ったものが対象になります。家族が後から支払った医療費でも、故人の債務として扱われる場合があります。
また、年金の源泉徴収票などが見つからない場合は、年金事務所などで確認できることがあります。
税理士に依頼しなくても手続きできるケース
準確定申告という名前から難しく感じる人もいますが、収入が年金のみで医療費控除を受ける程度であれば、自分で手続きを行える場合もあります。
税務署では申告に関する相談を受け付けています。予約制の相談会が利用できない場合でも、電話相談や国税庁の確定申告関連サービスを利用できることがあります。
一方で、故人に不動産所得や事業所得があった場合、相続財産が複雑な場合などは、税理士へ相談した方が安心です。
まとめ
故人の収入が年金のみで、所得税の追加納付が発生しない場合は、準確定申告が不要になるケースがあります。ただし、医療費控除などによって還付を受けられる場合は、申告することで払い過ぎた税金が戻る可能性があります。
還付金が少額の場合は、手続きの手間とのバランスで判断することになります。しかし、必要書類がそろっていれば自分で申告できる場合もあるため、まずは故人の源泉徴収票や医療費の状況を確認することが大切です。
準確定申告は相続手続きの一部でもあるため、期限を意識しながら、自分にとって負担とメリットの大きさを比較して判断するとよいでしょう。

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