日本では、Vポイント、楽天ポイント、dポイント、Pontaポイントが、さまざまな企業や店舗を横断して利用できる代表的な共通ポイントとして定着しています。コンビニ、飲食店、ドラッグストア、ネット通販、携帯電話、クレジットカードなど生活の幅広い場面に浸透しているため、いわゆる「4大共通ポイント」と呼ばれることがあります。
では今後、この4つに並ぶ「第5の共通ポイント」が登場し、5大共通ポイントと呼ばれる時代になるのでしょうか。実は、新しいポイントサービスが誕生することと、それが全国規模の共通ポイントになることは別問題です。現在のポイント市場には、PayPayポイントやWAON POINT、JRE POINTなど、有力なポイント経済圏も存在します。
この記事では、そもそも共通ポイントとは何なのか、なぜ現在の大手ポイントが強いのか、第5の共通ポイント候補として考えられるサービス、そして今後のポイント市場がどう変化する可能性があるのかを整理します。
そもそも「共通ポイント」とは何を意味するのか
「共通ポイント」は法律上の正式な分類名ではなく、一般的には、運営会社だけでなく多数の提携企業・店舗で「貯める」「使う」ことができるポイントサービスを指します。
例えば、あるスーパーだけで利用できるポイントは、その企業独自のポイントです。一方、コンビニで貯めたポイントを飲食店やドラッグストアなど別企業でも利用できれば、共通ポイントとしての性格が強くなります。
したがって「4大共通ポイント」という表現についても、厳密に4種類しか存在しないという意味ではありません。利用者数、加盟店の広さ、知名度、利用頻度などを総合して主要サービスをまとめた通称と考えるのが適切です。
なぜV・楽天・d・Pontaが強いのか
大手共通ポイントの強さは、単純なポイント還元率だけでは説明できません。重要なのは、日常生活の中にどれだけ多くの「貯める場所」と「使う場所」があるかです。
例えば楽天ポイントには楽天市場をはじめとする楽天グループのサービスがあり、dポイントにはNTTドコモを中心とした経済圏があります。Pontaポイントも多くの提携企業・サービスで利用でき、Vポイントは2024年に旧Tポイントと統合されたことで大きなポイント経済圏になりました。
利用者にとっては、ポイントが高還元であっても使える店舗が少なければ魅力が低下します。一方、加盟店にとっても利用者が少ないポイントを導入するメリットは限定的です。この「利用者が多いから加盟店が増え、加盟店が多いからさらに利用者が増える」というネットワーク効果が、大手ポイントの強さにつながっています。
「第5の共通ポイント」候補はすでに存在する
新しい共通ポイントがゼロから誕生するケースだけを考える必要はありません。すでに巨大な利用基盤を持つポイントが利用範囲を広げ、結果的に「第5の共通ポイント」と認識される可能性もあります。
PayPayポイント
有力候補の一つがPayPayポイントです。PayPayは全国の実店舗やオンラインサービスで利用されるキャッシュレス決済であり、決済に伴ってPayPayポイントを貯めたり、貯めたポイントを支払いに利用したりできます。
さらにPayPayは「PayPayポイントアップ店」という仕組みを展開しており、対象加盟店が独自にPayPayポイントを付与する取り組みも進めています。2026年にも対象となる加盟店が追加されています。[参照]
従来の共通ポイントでは「ポイントカードを提示してポイントを貯め、別の方法で決済する」という使い方が一般的でした。これに対してPayPayポイントは、決済サービスそのものとポイントが強く結び付いている点が特徴です。
WAON POINT
WAON POINTも無視できない存在です。イオングループという巨大な小売ネットワークを背景に持ち、日常的な買い物との相性が非常に良いポイントです。
ただし、「全国の幅広い異業種企業が参加する共通ポイント」という観点では、Vポイント、楽天ポイント、dポイント、Pontaポイントとは経済圏の構造が少し異なります。今後、イオングループ外の提携先がどの程度広がるかによって評価も変わるでしょう。
JRE POINTなど地域・交通系のポイント
JR東日本のJRE POINTも、鉄道、Suica、駅ビルなどとの連携を強みにしています。JRE POINT加盟店などではポイントを貯めたり使ったりでき、交通と買い物を組み合わせた独自の経済圏を形成しています。[参照]
一方で全国規模の共通ポイントと比較すると、JR東日本エリアとの結び付きが強いサービスです。このように、非常に大きなポイントサービスであっても「全国共通ポイント」と呼ぶか「企業・地域経済圏のポイント」と考えるかで位置付けが変わります。
まったく新しい「第5勢力」が誕生するハードルは高い
将来的に新しいポイントサービスが登場すること自体は十分あり得ます。しかし、新規サービスがゼロからV・楽天・d・Pontaと同じ規模まで成長するハードルはかなり高いと考えられます。
理由の一つが加盟店開拓です。全国のコンビニ、スーパー、飲食店、ドラッグストア、家電量販店、ネットショップなどで利用できる環境を構築するには、膨大な営業活動とシステム投資が必要になります。
さらに利用者側には、すでに複数のポイントアプリや会員IDを管理しているという問題があります。「また新しいポイントを登録するのか」という負担があるため、少し還元率が高い程度では既存ポイントから利用者を移すことが難しくなっています。
そのため今後は、完全な新規事業者が第5勢力になるよりも、すでに数千万規模の利用者や巨大な決済・小売基盤を持つ企業のポイントが共通化していくシナリオのほうが現実的です。
今後は「ポイント」と「決済」の境界がさらに薄くなる可能性
共通ポイント市場を考えるうえで重要なのがキャッシュレス決済です。以前は「ポイントカードを提示する」「クレジットカードや現金で支払う」という2段階の行動が一般的でした。
現在はスマートフォン決済やクレジットカードを利用するだけで自動的にポイントが付与され、そのポイントを次回の決済にそのまま利用できるサービスが増えています。つまり、決済サービスそのものがポイント経済圏になりつつあります。
PayPayでは、貯めたPayPayポイントを1ポイント=1円相当としてPayPayが利用できる店舗やサービスで支払いに利用できます。また、ポイントアップ店という加盟店側からポイントを上乗せする仕組みも展開されています。[参照]
この流れが続けば、将来は「どのポイントカードを持っているか」よりも、「どの決済・金融・通信・EC経済圏を利用しているか」が重要になる可能性があります。
「5大共通ポイント」という呼び方になるとは限らない
興味深いのは、第5の有力ポイントが成長したとしても、必ず「5大共通ポイント」と呼ばれるとは限らないことです。ポイント市場そのものの構造が変化しているからです。
例えばPayPayポイントは巨大な利用基盤を持っていますが、従来型のポイントカードというよりPayPay決済との一体性が強いサービスです。楽天ポイントやdポイントも、それぞれEC、通信、金融、決済など複数のサービスと結び付いています。
そのため将来的には「共通ポイント」という分類よりも、楽天経済圏、ドコモ経済圏、三井住友・Vポイント経済圏、au・Ponta経済圏、PayPay・ソフトバンク経済圏といった「経済圏」で比較される場面がさらに増える可能性があります。
第5の共通ポイントが生まれるために必要な条件
仮に今後「第5の共通ポイント」と呼ばれるサービスが登場するとすれば、少なくとも複数の条件を満たす必要があります。
- 全国規模の多数の加盟店で利用できる
- 特定企業だけでなく異業種の企業が参加している
- 数千万規模を狙える利用者基盤がある
- 実店舗とオンラインの両方で利用できる
- ポイントを貯めるだけでなく幅広く使える
- クレジットカードやスマホ決済など金融サービスと連携している
- 利用者が日常的にポイントを貯められる仕組みがある
特に重要なのが利用頻度です。年に数回しか利用しないサービスより、コンビニ、スーパー、飲食店、ネット通販、交通、携帯料金など毎月利用するサービスと結び付いているポイントのほうが強くなります。
この条件を考えると、既存の大規模キャッシュレス決済、小売、交通、通信などを基盤にしたポイントサービスが「第5勢力」に成長する可能性は十分あります。
まとめ:第5の共通ポイントは「新登場」より既存サービスの成長に注目
現在「4大共通ポイント」と呼ばれることの多いVポイント、楽天ポイント、dポイント、Pontaポイントは、長年かけて利用者と加盟店を増やしてきた巨大なポイント経済圏です。そのため、新しいポイントが突然登場して短期間で同じ規模になる可能性は高くありません。
一方で、PayPayポイント、WAON POINT、JRE POINTなど、すでに大きな利用基盤を持つポイントサービスも存在しています。特にキャッシュレス決済とポイントの一体化が進んでいるため、従来の「共通ポイント」という分類そのものが変化する可能性があります。
将来「5大共通ポイント」という言葉が定着する可能性はあるものの、第5のサービスが新しく誕生するとは限りません。既存の決済・小売・交通系ポイントが加盟店を広げ、結果として全国規模の第5勢力になるシナリオも考えられます。ポイント市場を見る際は、単純な還元率だけでなく「加盟店数」「利用頻度」「決済との連携」「経済圏の規模」という4つの視点から比較すると、今後の勢力図を理解しやすくなるでしょう。


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