認知症の高齢親族が施設へ入所すると、家族が預金管理や生活費の支払いを行う場面が増えます。その際、「毎月一定額をATMで引き出しているが銀行に怪しまれないだろうか」「口座凍結に備えて現金化しておくべきなのか」と不安になる方は少なくありません。
実際には、定期的な引き出しそのものが即座に問題視されるわけではありません。ただし、認知症や財産管理が関係する場合は、別の観点で注意が必要です。
毎月同じ金額を引き出すだけで銀行に怪しまれるのか
結論から言えば、毎月10万円を2回など、比較的少額で規則的な引き出しだけで即座に銀行が不正利用と判断するケースは一般的ではありません。
高齢者の生活費、施設費、医療費などの用途で定期的な出金は珍しくないためです。
| 出金パターン | 銀行側の印象 |
|---|---|
| 毎月一定額の生活費引き出し | 比較的自然 |
| 突然数百万円単位を連続出金 | 確認対象になる可能性あり |
| 短期間に異なる地域で高額出金 | 不正利用を疑われる場合あり |
規則的な生活費相当の出金だけなら、それ自体が異常と判断されるとは限りません。
銀行が気にするのは「金額」よりも「認知症リスク」の場合がある
実際には、銀行側が警戒するのは出金額だけではありません。
本人に判断能力があるかどうかが問題になるケースがあります。
認知症が進行している状況で銀行がそれを把握すると、本人保護のために取引確認が厳しくなることがあります。
これは家族を疑っているわけではなく、高齢者の財産保護を目的とした対応です。
死亡や認知症発覚前の現金化には注意点もある
「将来口座凍結される前に現金を確保しておこう」と考える方は少なくありません。
ただし、目的が本人の生活費であっても、後から親族間でトラブルになるケースがあります。
例えば相続時に次のような状況になることがあります。
「毎月20万円を何年間も引き出していたが、その使途が不明」
「施設費なのか生活費なのか記録が残っていない」
こうした場合、使い込みを疑われてしまうケースがあります。
家族が財産管理するなら記録を残すことが大切
本人のための支出であることを説明できる状態にしておくことが重要です。
- 引き出し日を記録する
- 用途をメモする
- 施設費や医療費の領収書を保管する
- 現金残高を管理する
例えば「6月5日 10万円出金・施設費7万円・衣類購入8千円・残額保管」といった簡単なメモでも役立ちます。
後で説明できる状態を作ることが最大の防御になります。
成年後見制度を検討するケースもある
認知症が重度化して本人の判断能力が難しい場合、成年後見制度が利用されることもあります。
成年後見人が選任されると、本人財産の管理や支払い手続きを法的に行いやすくなります。
ただし、手続きや費用、継続的な管理負担もあるため、家族状況によって検討が必要です。
まとめ
毎月10万円を2回程度、施設生活や生活費のために定期的にATMで引き出しているだけなら、その行動だけで銀行に不正利用を疑われる可能性は高くありません。
ただし、本当に注意すべきなのは「銀行に怪しまれるか」ではなく、「後から説明できる管理状態になっているか」です。
認知症高齢者の財産管理では、出金記録や領収書の保管を続けることで、将来の親族間トラブルや誤解を防ぎやすくなります。

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