企業型確定拠出年金(DC)制度を導入している企業に勤めている方の中には、「DC基礎給」という言葉に戸惑う方も多いのではないでしょうか。毎月の退職金相当額の中で、実際に運用に回せる金額が制限される場合、このDC基礎給の定義や役割を理解しておくことが重要です。本記事では、DC基礎給の仕組みや企業型DCにおける拠出限度額との関係について、実例を交えて詳しく解説します。
DC基礎給とは何か?企業型DCの拠出額のベースになる給与
DC基礎給とは、企業型確定拠出年金における「拠出限度額の計算基礎」となる給与のことを指します。これは通常の基本給や総支給額とは異なり、企業が独自に定めた計算基準によって決まることが一般的です。
たとえば、会社によっては「基本給+役職手当」だけをDC基礎給とし、残業代や交通費などは含めないケースがあります。つまり、DC基礎給が10,000円と設定されている場合、その範囲内でしか確定拠出年金として積み立てられないというルールがあるのです。
退職金相当額との違い:積立金すべてがDCに入るとは限らない
企業によっては、退職金制度を確定拠出年金に一本化している場合があります。その際、「毎月35,000円相当を退職金として積み立てている」としても、その全額が企業型DCとして運用されているとは限りません。
実際には、拠出限度額(現在の税制では月額55,000円まで)やDC基礎給の設定に基づき、企業側が決定した金額のみが確定拠出年金に拠出され、残りは企業が別途管理する「退職金積立金」などとして別口座にプールされることもあります。
実例:DC基礎給10,000円で月35,000円の退職金相当額があるケース
たとえば、企業が退職金として月35,000円相当の拠出を行っているが、DC基礎給が10,000円に設定されている場合、確定拠出年金として拠出される金額はDC基礎給に準じたルールにより一部(例:10,000円またはそれに数%を掛けた額)に限られる可能性があります。
残りの金額は、企業が将来の退職金支給に備えて内部留保するか、別の制度(確定給付企業年金や企業年金基金など)に回すなどの方法で管理されます。よって、すべてが自分のDC口座で運用されるわけではない点に注意が必要です。
企業型DCの拠出限度額と税制上の扱い
企業型確定拠出年金の拠出限度額は、以下のように制度形態によって異なります。
- 企業型DCのみ:月額55,000円(年間660,000円)
- 企業型DCと厚生年金基金・確定給付企業年金を併用:月額27,500円(年間330,000円)
この上限を超える金額は、非課税の拠出としては扱われず、給与課税の対象となる場合があります。そのため、企業は制度設計上、DC基礎給や拠出率を用いて従業員ごとの拠出額を調整しています。
DC基礎給に関する注意点と確認方法
DC基礎給は会社によって定義が異なるため、自社の人事制度規程や退職金規程を確認することが第一です。人事部門や福利厚生担当に問い合わせれば、毎月の拠出額の計算根拠やDC基礎給の内容を教えてもらえるはずです。
また、年1回送付される運用報告書やWeb上のDC口座情報を確認することで、拠出金額と実際の運用額を照合することも大切です。
まとめ:DC基礎給は拠出金の計算の土台となる給与項目
企業型確定拠出年金における「DC基礎給」は、企業が拠出する金額の算定基準となる重要な要素です。退職金として積み立てられている金額全体が運用されているとは限らず、そのうち一部だけがDCに拠出され、残りは別制度で管理される場合もあります。正確な内容を把握するには、制度規程の確認と人事部への相談が欠かせません。
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