休職や転職を控えたとき、「有給を使い切ってから傷病手当金を受け取れるのか?」という疑問を持つ方は少なくありません。この記事では、有給休暇と傷病手当金の関係について解説し、実際の流れや注意点をわかりやすく紹介します。
傷病手当金の基本的な仕組み
傷病手当金とは、健康保険に加入している被保険者が、業務外の病気やケガで働けなくなった場合に支給される所得補償制度です。原則として、連続する3日間の待機期間を含めた4日目以降から支給が始まります。
支給対象となるのは、「労務不能であること」「給与の支払いがないこと」などの条件を満たした場合です。
有給休暇中は傷病手当金を受け取れる?
有給休暇を取得している期間中は「給与が支払われている」とみなされるため、原則として傷病手当金の支給対象外となります。つまり、有給が残っている間は傷病手当金は出ません。
そのため、有給休暇をすべて消化したあと、労務不能の状態が続いていれば、そのタイミングから傷病手当金の申請が可能となります。
転職予定でも傷病手当金はもらえるの?
休職後に退職を予定している場合でも、以下の条件を満たせば、退職後も引き続き傷病手当金を受け取ることが可能です。
- 退職日時点で傷病手当金を受給している(=受給開始済)
- 健康保険の被保険者期間が継続して1年以上ある
- 退職後も労務不能が続いている
ただし、「退職後に初めて申請」する場合は対象外となることが多いため、退職前に必ず申請開始しておくことがポイントです。
実際のスケジュールの考え方:例を挙げて解説
たとえば、8月4日から休職し、有給休暇が20日間ある場合、約1か月間は給与が支払われます。そのため、9月上旬までは傷病手当金は発生しません。
9月に入り、有給がすべて消化されたタイミングで、労務不能であることを医師が証明すれば、その日から傷病手当金の対象となります。
退職と手当のタイミングに注意
有給を使い切った後、すぐに退職を予定している場合は、退職日より前に傷病手当金の支給が開始されていることが重要です。そうしないと、退職後の支給が打ち切られる可能性があります。
スムーズに申請するには、会社の人事や健保組合との連携、および主治医からの診断書取得を早めに進めましょう。
まとめ:有給→傷病手当の流れは可能、ただし退職前の対応がカギ
有給休暇を優先的に消化し、残日数がゼロになったタイミングで傷病手当金を申請する流れは基本的に認められています。ただし、退職を予定している場合には、受給開始のタイミングが非常に重要になるため、事前の準備が欠かせません。
制度を正しく理解し、手続きを怠らなければ、安心して休職・転職へのステップを踏むことができます。
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