離婚時の年金分割は、将来の年金受給額に大きく関わるため、事前にしっかりと確認しておきたい制度の一つです。中でも「年金分割のための情報提供請求書」を活用すれば、分割割合を変えた場合の試算を受け取ることができます。この記事では、その請求書の取得方法と内容、シミュレーションで確認できる情報についてわかりやすく解説します。
年金分割制度とは?
年金分割制度とは、離婚した際に婚姻期間中の厚生年金記録の一部を、配偶者間で分割できる制度です。対象となるのは厚生年金の「報酬比例部分」であり、国民年金や基礎年金の部分は対象外です。
この制度には主に2種類あります。
①合意分割:話し合いで割合を決める方式(最大50%まで)
②3号分割:第3号被保険者(扶養されていた配偶者)が一方的に請求できる制度(2008年4月以降の記録のみが対象)
情報提供請求書で確認できる内容
日本年金機構の「年金分割のための情報提供請求書」を使えば、婚姻期間中の厚生年金の合計や分割のシミュレーション結果を取得できます。
この書類では、分割割合を10%刻み(10・20・30・40・50%)で指定した場合の年金額の試算が記載されます。また、3号分割が該当する場合、その分も明記されるため、分割前に全体像を把握できます。
6パターンの金額を確認する方法
年金機構の情報提供請求書では、通常、10~50%までの任意の割合でのシミュレーションが1通に記載されます。そのため、「10・20・30・40・50%」の5つの割合については1枚で確認可能です。
さらに、3号分割対象であれば、その情報も同時に提供されるため、合計6パターン(5通りの合意分割+3号分割)の結果が1枚でわかる仕組みになっています。
情報提供請求書の取得方法
以下の書類を準備して、年金事務所へ提出します。
- 年金分割のための情報提供請求書
- 戸籍謄本(婚姻・離婚の記載があるもの)
- 本人確認書類(免許証など)
- 基礎年金番号のわかるもの(年金手帳など)
書類提出後、1か月ほどでシミュレーション結果が郵送されてきます。混雑状況や不備があると遅れることもあるため、余裕を持って申請しましょう。
見落としがちな注意点
情報提供請求書の結果はあくまでも試算であり、実際の分割には合意または調停・審判が必要です。また、3号分割については、期間が2008年4月以降の記録に限られるため、対象期間をよく確認しておくことが重要です。
さらに、年金受給額に大きな影響を与えるため、請求前にファイナンシャルプランナーなどの専門家に相談するのもおすすめです。
まとめ:情報提供請求書は「6パターンの金額確認」に対応
離婚時の年金分割に備えて、「年金分割のための情報提供請求書」を活用すれば、10~50%の合意分割と3号分割の6パターンの金額を一度に確認できます。制度の理解と確認をしっかり行い、自分にとって最適な選択ができるよう準備しておきましょう。
詳細は最寄りの年金事務所、または日本年金機構の公式サイトを確認してください。
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