住民票があるのに居住実態がないと国民健康保険は使えない?入院中・住所不定でも医療を受けるために知っておくべきこと

国民健康保険

「住む場所がなくなったけど、住民票を移していない」「今は入院中だけど、このまま国民健康保険は使い続けられるのか?」――住まいと健康保険の関係はとても重要ですが、あまり知られていないのも現実です。今回は、住民票と実際の居住地が異なる状況で国民健康保険は使えるのか、どんなリスクがあるのかをわかりやすく解説します。

国民健康保険は「住民票のある市区町村」で管理されている

国民健康保険は、市区町村ごとに運営されています。そのため、基本的には「住民票のある自治体」に保険料を支払い、そこで医療証が発行され、医療機関で保険が適用されます。

つまり、住民票を置いたまま転出届を出していなければ、国保資格は継続しており、保険証も有効です。これは例えシェアハウスを退去し、居住実態がなくても、形式上は制度的に使える状態にあります。

居住実態がない状態での「グレーゾーン」とリスク

ただし、国民健康保険制度では「住民票のある場所に実際に居住していること」が原則とされています。役所が実態調査を行った場合や、住所確認が必要な手続きで発覚した場合には、保険の適用を停止されたり、さかのぼって無効扱いされる可能性もゼロではありません。

特に、住民票の住所に郵便物が届かない、電話もつながらないといった状況が長期間続くと、「所在不明」として扱われることがあります。

入院中・住所未定でもできる対処法

住所不定のまま入院している場合でも、以下のような対応を取ることで、保険の継続や医療費の軽減を維持することが可能です。

  • ① 住民票の住所に代理受取人を設定する:郵便物や通知が届くように、知人や家族に協力してもらう。
  • ② 病院の医療ソーシャルワーカーに相談:地域包括支援センターや生活困窮者支援窓口と連携して、転居先・一時住居の手配や制度活用を支援してくれることがあります。
  • ③ 役所に「現況届」や「相談記録」を残す:正直に事情を話し、意図的な不正ではないことを伝える姿勢が大切です。

住民票を動かすべきか?その判断基準

入院が長引き、シェアハウスに戻る予定がない場合、新しい住所を確保できた時点で住民票を移すのが原則です。転居届は14日以内に提出が必要ですが、やむを得ない事情がある場合は柔軟に対応されることもあります。

一方、一時的な退去や療養目的で住居が空白になっているのであれば、直ちに住民票を移す義務があるとは言い切れません。

大切なのは、「住民票のある市区町村と連絡が取れる状態にしておくこと」です。

実例:シェアハウス退去・入院中でも国保継続できたケース

例①:うつ病で入院し、住民票のあるアパートを解約したが、入院先の医療ソーシャルワーカーを通じて保険証の更新や保険料免除手続きを継続。回復後は生活保護制度も併用。

例②:住所なし・連絡先なし状態で保険証失効した方が、役所に相談し、福祉窓口経由で「一時保護施設」入所後に住民登録→保険証再発行という手順で医療費軽減を受けられた。

まとめ:現状では国民健康保険は使えるが、放置は危険

住民票があり、役所に連絡がつく状態であれば、現時点では国民健康保険は使い続けることが可能です。ただし、居住実態のない状態を放置していると、トラブルに発展するリスクがあります。

入院中や療養中であっても、市区町村の窓口や病院の相談窓口を通じて状況を正直に伝え、サポートを受けることが最善です。必要なのは「制度の悪用」ではなく、「制度の正しい利用」です。

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