夫の給料は誰のもの?法的視点から見る『夫婦のお金』の扱いとは

家計、節約

「夫の給料は夫のもの?」「家庭に入れたら家族のお金?」という疑問は、結婚生活におけるお金の扱いを考える上で非常に重要なテーマです。特に離婚時や財産分与、生活費の分担などをめぐってトラブルになることも少なくありません。この記事では、日本の法律に基づき、給料が誰のものなのかをわかりやすく解説します。

日本の法律における夫婦の財産とは

日本では、民法によって「夫婦の財産」は2種類に分けられます。結婚前からそれぞれが持っていた財産は「特有財産」、結婚後に得た財産は「共有財産(正確には『実質的共有』)」として扱われるのが原則です。

したがって、夫の給料も婚姻期間中に得たものであれば、たとえ妻の口座に振り込まれていなくても『共有財産』として扱われるのが法的な基本となります。

給料を家計に入れたら家族のもの?という誤解

「夫の給料は、家計に入れた時点で初めて家族のものになる」という考え方は、あくまで一部の生活上の慣習に過ぎず、法律上の根拠はありません。給料の振込先が夫名義の口座であっても、結婚後の収入は原則として夫婦の共有財産とされます。

この点は、離婚時の財産分与の実務にも現れており、専業主婦であっても夫の給料から形成された貯金や不動産などに対して法的に請求できる権利があるのです。

給料が共有財産とみなされる具体例

例として、夫が毎月30万円の給料を10年間稼いだ場合、総額3,600万円が婚姻期間中の収入とみなされます。これにより、たとえば離婚時には3,600万円のうちの半分(1,800万円)を妻が受け取る権利を持つことになります。

この共有財産の考え方は、たとえ夫婦間で「給料は夫のもの」という暗黙の了解があったとしても、裁判などでは基本的に通用しないと考えたほうが良いでしょう。

例外:夫婦間の特有財産の主張が認められるケース

ただし、収入であっても「相続」や「贈与」によって得た財産は、特有財産とされるため共有の対象とはなりません。たとえば、夫が親から受け取った相続財産や贈与財産は、結婚後であっても夫個人の財産として保護されます。

また、夫婦間であっても「契約書を交わし」「管理が分離されている」などの特殊な事情がある場合、例外的に夫の給料が特有財産と判断されることもありますが、これは非常に稀です。

生活費の支払い義務とお金の所有権

民法第760条では「夫婦は互いに協力し扶助しなければならない」と定められており、この条文により、夫には生活費(婚姻費用)を家計に拠出する法的義務があります。

したがって、仮に「給料は夫のもの」と主張して家計への拠出を拒んだ場合、法的には扶養義務違反となり、家庭裁判所で「婚姻費用分担請求」を起こされる可能性があります。

まとめ:夫婦は収入を共有するのが法律の基本

結論として、夫の給料は、法律上は家庭のお金=共有財産として扱われるのが原則です。家計に入れるかどうかは関係なく、婚姻期間中に得た収入であれば、夫婦共通の財産とみなされます。

今後の生活設計や離婚時のリスクに備えるためにも、「うちの収入は誰のもの?」という基本的なルールを、正しく理解しておくことがとても大切です。

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