高額な現金資産を相続する際、課税額を少しでも減らすための節税対策は非常に重要です。特に、現金での遺産が1億円を超える場合、何も対策を取らなければ相続税だけで数千万円単位の負担になることも。今回は生命保険の活用を含め、現金1億2000万円を家族にうまく引き継ぐための代表的な節税方法をわかりやすくご紹介します。
相続税の基礎控除と課税対象の基本
まずは現金資産がどのように課税対象となるかを理解する必要があります。相続税には以下のような基礎控除があります。
3,000万円 ＋ 600万円 × 法定相続人の数
たとえば相続人が息子3人であれば、3,000万円 + (600万円×3) = 4,800万円までが非課税となります。つまり、残りの約7,200万円が課税対象となります。
生命保険の非課税枠を活用する方法
銀行が提案する「生命保険に3,000万円入れる」方法は、以下のような理由で有効です。
- 生命保険金は「500万円×法定相続人の数」までが非課税
- 非課税枠を超えても、現金ではなく保険金扱いになるため分割しやすい
たとえば相続人が4人なら、500万円×4人＝2,000万円が非課税。3,000万円のうち2,000万円分が節税になる可能性があるのです。
ただし注意すべきは、契約者や受取人の指定次第で課税対象が変わる点です。専門家の助言を受けて設計することが重要です。
生命保険以外の代表的な節税対策
現金資産が多い家庭では、以下のような手法も併用が推奨されます。
- 生前贈与の活用：年間110万円までは非課税。複数年に渡って贈与することで節税効果が高まります。
- 教育資金贈与信託：孫などへの教育資金贈与は最大1,500万円まで非課税になる特例があります。
- 不動産の活用：評価額が下がるため、相続時の課税評価額を圧縮できます。
たとえば、孫4人に対して各300万円の教育資金を非課税で贈与すれば、合計で1,200万円の現金を課税対象外にできます。
渡したくない親族への対処法は？
相続では「遺留分」という最低限の取り分が法的に保証されています。たとえ遺言で資産を他の相続人に集中させても、遺留分侵害額請求をされるリスクがあります。
このようなケースでは、公正証書遺言で明確に意図を残し、信託や養子縁組などを活用して意志を補強する方法があります。家族で話し合い、法的リスクも理解しておくことが大切です。
専門家への相談が成功の鍵
銀行の提案だけで判断するのではなく、税理士・弁護士・ファイナンシャルプランナーといった複数の専門家からアドバイスを受けることが大切です。
特に資産が1億円を超える場合、数十万円の相談料を支払っても、長期的には何百万円単位の節税につながる可能性があります。相続対策は「家族の信頼」と「冷静な計画」が両立してこそ成功するのです。
まとめ：生命保険＋贈与・信託でバランス良く節税を
現金1億2000万円という大きな資産を相続する際には、生命保険をはじめとした複数の節税対策を組み合わせることが有効です。
節税には「事前の準備」と「専門家の協力」が不可欠です。銀行の提案に乗る前に、必ず第3者の専門家に相談することをおすすめします。
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