保険制度には「社会保険」と「国民健康保険」の2種類があります。どちらも医療費の一部をカバーする点では共通していますが、保険料の仕組みや保障内容、将来の年金にも関係する点など、大きな違いがあります。この記事では、両者の違いとそれぞれのメリット・デメリットをわかりやすく解説します。
社会保険とは?会社員や公務員が加入する保険制度
社会保険とは、主に会社員や公務員などが加入する保険制度で、「健康保険」「厚生年金」「雇用保険」などがセットになっています。保険料は労使折半で、会社が半分負担してくれます。
たとえば、月収30万円の会社員が社会保険に加入している場合、実際に支払う保険料の負担は月2~3万円程度。さらに、厚生年金にも加入しているため、将来の年金受給額が高くなる傾向があります。
国民健康保険とは?自営業・フリーランス・無職の方が対象
一方、国民健康保険は自営業、フリーランス、退職後の無職の方などが対象となる制度です。加入は世帯単位で行われ、保険料は全額自己負担。所得に応じて算定されますが、扶養制度がないため、家族全員分の保険料が発生します。
例えば、年収300万円のフリーランス家庭(夫婦+子供1人)では、保険料が年間30万円以上になることもあります。社会保険に比べて高く感じる方も多いです。
社会保険のメリット・デメリット
メリット:
- 保険料の半分を会社が負担
- 扶養家族(配偶者・子供)は追加保険料なしで加入可能
- 厚生年金による将来の年金額が大きくなる
- 出産手当金や傷病手当金などの手厚い保障
デメリット:
- 会社に所属していないと加入できない
- 転職や退職時の切り替えが必要
国民健康保険のメリット・デメリット
メリット:
- 誰でも加入できる(職業や勤務先に関係なく)
- 収入が少ない場合、保険料の軽減措置がある
デメリット:
- 保険料は全額自己負担で高め
- 扶養制度がないため家族分の保険料も必要
- 年金は国民年金のみで将来の受給額が少ない
どちらがメリットが多いか?実例でシミュレーション
たとえば、同じ年収300万円のAさん(フリーランス)とBさん(会社員)を比較すると、Bさんは会社が保険料を半分負担してくれるうえ、厚生年金による老後の年金額もAさんより多くなります。また、扶養家族に対する保険料の差も大きなポイントです。
一方で、Aさんのように自由な働き方を選ぶ場合、国民健康保険は不可欠であり、収入が低ければ保険料の軽減措置も受けられる点はメリットです。
社会保険への切り替えはどうすればいい?
現在国民健康保険に加入している方が、会社勤めを始めたり、社会保険適用の個人事業主に雇用された場合には、社会保険に自動的に切り替わります。切り替えの際は、加入・喪失手続きのタイミングを見逃さないように注意しましょう。
社会保険は原則、雇用先の事業者が手続きを代行しますが、国民健康保険の脱退手続きはご自身で役所へ届け出が必要です。
まとめ:状況に応じて賢く選ぼう
社会保険と国民健康保険は、それぞれメリット・デメリットがあります。会社勤めをしている、または将来的に安定的な保障を望むなら社会保険が優位です。一方、フリーランスや自由な働き方を望むなら国民健康保険は柔軟な選択肢となります。
保険料、将来の年金、扶養制度などを比較して、自分のライフスタイルに合った制度を選ぶことが大切です。
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