近年、マイナ保険証(マイナンバーカードを健康保険証として利用登録したもの)が全国的に推進されていますが、〈高齢者〉である 国民健康保険 または 後期高齢者医療制度 に加入している場合にも「必ず作らなければならない」のか、という疑問をお持ちの方も多いでしょう。この記事では、高齢者が保険証としてマイナ保険証を作るかどうか、どのような手続き・選択肢があるかを整理していきます。
マイナ保険証とは何か?仕組みと目的
マイナ保険証とは、マイナンバーカードを「健康保険証として利用する登録(保険証利用登録)」を行ったうえで、医療機関・薬局で保険証として利用できる仕組みです。([参照]厚生労働省「マイナンバーカードの健康保険証利用について」)
制度の趣旨としては、医療保険証の紙カードを順次廃止し、マイナンバーカードを用いた電子的な「保険証」としての活用を進めることで、窓口の効率化・医療情報の一元化・被保険者の利便性向上を図るというものです。([参照]デジタル庁「資格確認書(マイナ保険証以外の受診方法)」)
高齢者(国保・後期高齢者医療)におけるマイナ保険証の扱い
高齢者が加入する国保や後期高齢者医療制度においても、マイナ保険証の利用登録が進められています。例えば、後期高齢者医療制度では「令和6年12月2日から、保険証の新規発行を紙で行わずマイナ保険証を基本とする仕組みに移行」しています。([参照]東京都後期高齢者医療広域連合「保険証」案内)
しかしながら、重要な点として、“マイナ保険証を持っていない=医療を受けられない”わけではありません。マイナ保険証を利用登録していない方には、保険者から〈資格確認書〉が無償で交付され、従来の保険証と同様に窓口で提示して受診できます。([参照]デジタル庁「資格確認書について」)
マイナ保険証「作らなければならない」のか?具体的に言うと
結論から言うと、“必須”ではないが、早めに利用登録することが推奨されているというのが現状です。
理由としては、次のような点があります。
- マイナ保険証があれば、医療機関等の窓口で電子資格確認が可能になり、手続きが円滑になる。([参照]協会けんぽ「マイナ保険証で受診するメリット」)
- マイナ保険証を利用登録しない場合も、保険証・資格確認書で受診が可能という配慮がされているため、無登録だから医療を受けられないということはありません。
したがって、特に高齢者であっても「マイナ保険証を作っていなければ駄目/医療を受けられない」という誤解は不要です。
高齢者がマイナ保険証を利用登録すべきケースとその手続き
高齢者でもマイナ保険証利用登録をするメリット・注意点があり、登録を検討する価値があります。
例えば、70歳以上74歳までの被保険者(高齢受給者)では、マイナ保険証を利用登録済であれば「高齢受給者証」の提示が不要になるという健保組合の案内もあります。([参照]協会けんぽ「高齢受給者証(70〜74歳)」」)
手続き方法としては、以下のような方法があります:
・マイナポータルやスマートフォンで「健康保険証等利用の申込」登録。([参照]愛知県後期高齢者医療広域連合「マイナンバーカードと保険証の一体化」)
・セブン銀行ATMや医療機関窓口での登録。
・登録後、医療機関等で受付時にマイナンバーカードを提示。
作らない/登録しない場合に知っておきたいポイント
登録しない選択をしても以下の点を覚えておきましょう。
- 紙の保険証(従来型)や資格確認書の提示で、引き続き医療を受けることができます。([参照]江戸川区「マイナ保険証よくある質問」)
- ただし、令和6年12月2日以降、新規に健康保険加入・保険者変更があった場合には紙の保険証が発行されず、マイナ保険証利用登録済か、資格確認書提示という形になります。([参照]厚生労働省案内)
つまり、少なくとも新しい加入・異動が生じるタイミングではマイナ保険証or資格確認書の準備を確認することが安心です。
まとめ
高齢者の国民健康保険・後期高齢者医療制度においても、マイナ保険証の利用登録は「義務」ではないものの、制度の主流として推奨されています。登録していない場合でも、資格確認書または既存の保険証で医療を受けられるため、慌てる必要はありません。
しかし、健康保険者が変わる・住所が変わるなどのタイミングではマイナ保険証の利用登録状況や提示方法を確認しておくことで、医療機関での受付がスムーズになります。高齢者の方も、ご自身の手持ちカード・登録状況・保険者からの案内をぜひ一度チェックされることをおすすめします。

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