ペースメーカーを装着された方が障害者手帳1級を交付されると、多くの方が「障害年金も当然受けられるだろう」と思いがちです。しかし、障害年金の支給は障害者手帳の等級と一致するとは限りません。この記事では、ペースメーカー装着者の障害年金支給の可能性や必要な手続き、注意点について詳しく解説します。
障害者手帳と障害年金は別制度
まず理解しておきたいのは、障害者手帳と障害年金は全く異なる制度であるということです。
障害者手帳は福祉サービスや税控除の対象になるための証明であり、自治体が管轄しています。一方、障害年金は障害により労働能力が制限されることに対して支給されるもので、日本年金機構が審査・支給しています。
ペースメーカー装着と障害年金の支給条件
ペースメーカーを装着した場合、心臓疾患による障害年金の対象になる可能性があります。ただし、等級は「症状固定時点での生活・就労への影響」に基づいて決定されます。
以下は一般的な認定基準です。
- 1級:身の回りのことにも介助が必要なレベル
- 2級:日常生活に支障があり、労働は困難
- 3級:労働に制限があるが日常生活は自立して可能
ペースメーカー装着だけで直ちに1級に該当することは少なく、症状が軽く生活に支障がない場合は支給対象外となることもあります。
障害者手帳1級でも年金が不支給となることがある理由
手帳1級であっても、障害年金が支給されないケースがあります。これは以下のような理由によります。
- 障害認定日が年金加入期間外(たとえば無年金期間中)
- 年金保険料の納付要件を満たしていない
- 診断書の内容が軽症と判断される
実際に「ペースメーカーを装着したが、生活に支障はなく労働もできている」と見なされると、障害年金の対象外とされることもあります。
障害年金を受け取るための手続き
障害年金を受給するためには、以下の手順で手続きを行う必要があります。
- 障害認定日を確認(初診日から1年6ヶ月後が基本)
- 初診日の証明書類を取得(受診状況等証明書)
- 診断書の取得(定められた様式に沿ったもの)
- 申立書・病歴書の記入
- 年金事務所へ申請
必要に応じて社会保険労務士に相談することで、よりスムーズな申請が可能です。
実例:ペースメーカー装着者の支給可否の判断例
実際に、70代の方でペースメーカーを装着し障害者手帳1級を取得されたものの、日常生活で支障がなかったため障害年金は不支給となったケースがあります。
一方で、60代でペースメーカーを装着し、日常生活に著しい制限があった方は障害厚生年金2級として年間約120万円が支給された事例も存在します。
まとめ:障害年金を確実に受給するには
ペースメーカー装着と障害者手帳1級の取得は、障害年金受給の可能性を高める条件のひとつですが、それだけで必ず受給できるとは限りません。
- 年金制度の加入状況と納付要件の確認
- 初診日の証明の準備
- 生活の制限度合いを反映した正確な診断書
これらを整えたうえで、年金事務所や専門家への相談を通じて、適切な手続きを行うことが重要です。支給されるかどうかに不安がある方は、社会保険労務士による無料相談なども活用してみましょう。
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