病気や無職の状態で国民健康保険料の支払いが難しい中、減免制度は心強い制度のはずですが、実際には申請に必要な「世帯全体の収入や資産の情報」が壁になるケースも少なくありません。特に、親と同居している場合に家族が情報提供を拒むと、減免申請すらできないという状況に直面することもあります。この記事では、そんな状況で取りうる現実的な方法と支援策について解説します。
国民健康保険の減免制度とは?
国民健康保険料の減免制度は、病気や失業などで収入が著しく減少した世帯に対し、保険料の一部または全部を軽減する制度です。
ただし、制度の対象は「世帯単位」であり、申請時には世帯主および全員の収入・資産の申告が求められます。つまり、同居している母親が世帯主であれば、その収入証明・資産証明が必要不可欠になります。
家族が協力しないと減免申請はできない?
結論から言うと、現行の制度上、家族(世帯主)が協力しないと正式な減免申請は困難です。多くの自治体では、世帯主の収入確認書類、通帳コピー、課税証明書などを求めます。
そのため、家族関係に問題があるケースでは、減免を受けたくても申請自体が通らないという理不尽な状況に陥ってしまうのが現実です。
世帯を分けることで道が開ける可能性も
一つの方法として「住民票上の世帯を分ける」ことがあります。世帯を分離すれば、別世帯として個人での申請が可能になるケースがあるため、母親の収入や資産を提出しなくても申請できるようになる可能性があります。
ただし、自治体によっては世帯分離しても「同一住所に住む家族」としてみなされる場合があるため、事前に役所で確認が必要です。生活実態や家計の独立性を求められることもあります。
分納・猶予・減額制度の活用も視野に
減免以外にも、国民健康保険料には以下のような制度があります。
- 納付猶予:一時的に支払いを待ってもらえる制度
- 分割納付:月ごとの金額を減らして支払う方法
- 滞納整理猶予:生活困窮を理由に督促を保留してもらえる
これらは役所の保険年金課で相談できます。精神的に難しい場合は、地域の生活相談員やケースワーカー、NPOなどを通じて代理で対応してもらう方法もあります。
消費者金融は最終手段、できれば避けて
消費者金融でお金を借りて国保を払うのは避けるべき選択肢です。健康保険料は命に関わる大切な制度ですが、借金をしてまで支払うと、生活全体が破綻するリスクがあります。
もし本当に払えない状況であれば、滞納しても医療が完全に受けられなくなるわけではなく、短期被保険者証や資格証明書という形で対応する制度もあります。自治体によって対応は異なるので、厚生労働省の案内も参考にしてください。
まとめ:ひとりで抱えず、使える制度を最大限活用しよう
国民健康保険の減免は制度として存在していても、家族の協力が得られないと使えないのが現実です。しかし、世帯分離や納付猶予など、他にも使える制度はあります。借金に走る前に、一度役所の窓口か、無料の生活相談窓口で状況を説明することを強くおすすめします。
困難な状況の中で自分だけで解決しようとせず、少しでも支援につながる窓口や制度を利用することが、長期的に安定した生活への第一歩になります。
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