遺族年金は、家族を亡くした方にとって生活の支えとなる大切な制度です。一方で、生活保護のように資産状況が影響するのではないかと疑問を持つ方も少なくありません。この記事では、遺族年金の受給要件と貯蓄額の関係についてわかりやすく解説します。
遺族年金の基本的な受給要件とは?
遺族年金には「遺族基礎年金」と「遺族厚生年金」があり、それぞれ異なる要件があります。共通するのは、亡くなった方によって生計を維持されていた遺族であることが条件という点です。
「生計を維持されていた」とは、同一世帯に属していたり、仕送りを受けていたりする場合を指し、必ずしも生活が困窮していたことを意味するものではありません。
遺族年金と貯蓄の関係:資産は審査に影響する?
生活保護と異なり、遺族年金の受給においては受給者の資産状況(預貯金や不動産など)は審査対象にはなりません。つまり、受給者が高額な預金を持っていたとしても、要件を満たしていれば遺族年金を受給できます。
例えば、配偶者が亡くなり、年収0円の専業主婦であっても、自身に多額の相続貯金があったとしても、「生計維持関係」が認められていれば遺族年金は支給されます。
生計維持関係はどのように判断されるのか
生計維持の判断基準は、次の2点が代表的です。
- 亡くなった方と同一世帯で生活していた
- 別居していたが定期的に仕送りなどの経済的援助があった
この基準を満たせば、収入や貯蓄にかかわらず受給資格があると判断されます。逆に、別居で金銭的な援助がなかった場合は、たとえ資産が少なくても受給が認められないケースもあります。
よくある誤解:生活保護との違い
生活保護は資産・収入の状況を厳密に審査する制度です。そのため、預金や車などを持っていると受給できないケースがあります。
一方、遺族年金は「保険制度」であるため、被保険者が死亡したという事実に基づく「給付」であり、資産調査の対象にはならない点が大きな違いです。
相続で得た資産は遺族年金と関係ない?
亡くなった方から預金や不動産などを相続した場合でも、それが遺族年金の受給資格に影響することはありません。
ただし、相続資産から得た利益(賃料や配当など)は確定申告が必要になる可能性がありますので、税務面での注意は必要です。
まとめ:遺族年金は資産状況に左右されない制度
遺族年金の受給においては、受給者の貯蓄額や収入は原則として関係ありません。大切なのは「亡くなった方に生計を維持されていたかどうか」という事実です。
生活保護とは審査基準がまったく異なりますので、安心して制度を活用しましょう。制度の正確な理解が、ご遺族の生活を守る第一歩です。
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