育児休業給付金と傷病手当金は同時に受け取れる?仕組みと注意点をわかりやすく解説

社会保険

出産後の生活を支える制度として「育児休業給付金」と「傷病手当金」がありますが、両者を同時に受け取ることができるのかという点は、多くの方が疑問に思うところです。この記事では、それぞれの制度の仕組みや併用の可否、注意点について詳しく解説します。

育児休業給付金と傷病手当金の制度の違い

まず基本的な違いを整理しましょう。育児休業給付金は、雇用保険から支給されるもので、育児のために休業する際に受け取れる手当です。一方、傷病手当金は健康保険から支給され、病気やケガで働けない場合に受け取れる補償です。

育児休業給付金はハローワーク(公共職業安定所)が管轄し、傷病手当金は全国健康保険協会(協会けんぽ)や各健保組合が管轄となっており、それぞれの保険制度に基づいて運用されています。

原則として併用は不可、ただし例外もあり

基本的には同一期間中に「両方を受け取ることはできません」。その理由は、育児休業給付金を受け取っている間は「働けない状態」としての傷病手当金の条件と重複するためです。

しかし、以下のような特例があります。

  • 育休中でも「持病の悪化」や「重度の体調不良」で育児が困難な場合には、傷病手当金の支給が優先されることがある
  • 「育児休業給付金の支給要件」を満たしていない期間であれば、傷病手当金の支給対象になる

つまり、育休の要件を満たさない場合や、育休中であっても育児自体が困難になるほどの病状である場合には、傷病手当金が優先されることがあります。

事例:出産後に持病で再度傷病手当金の申請が必要なケース

たとえば、「産前産後休業中に傷病手当金を受給していたが、出産後も病状が継続しており、会社から再度傷病手当の申請を勧められた」というようなケースでは、育休が開始されていない、または育児ができないと診断された場合に限り、傷病手当金の支給が続くことがあります。

ただし、「育児ができないこと」を証明する医師の診断書が必要になる可能性があるため、単に病気の通院があるというだけでは傷病手当金が優先されるとは限りません。

併用を勧められた場合の注意点

勤務先から「両方もらえる」と言われた場合でも、実際には一方しか支給されないことが多いため、注意が必要です。厚生労働省のガイドラインでも「支給要件が重複する場合は、どちらか一方」と明記されています。

万が一、両方の申請をしてしまい、後から過払いが発覚すると、返還義務が生じるリスクもあります。そのため、あらかじめ保険者やハローワークに相談してから申請を行うことが重要です。

判断に迷うときの相談窓口

制度が複雑なため、自身の状況に当てはまるか不明な場合は、以下の窓口に相談することをおすすめします。

情報が不明確なまま申請するのではなく、制度の担当機関に明確な回答をもらったうえで行動することで、後のトラブルを回避できます。

まとめ:同時受給は原則不可、正確な判断は確認が必要

育児休業給付金と傷病手当金は原則として同時に受け取ることはできませんが、例外もあります。自身の健康状態や育児可能性により、受給できる制度が変わるため、正確な判断が重要です。

会社の言うとおりに進める前に、必ずハローワークや保険者に確認し、正しい手続きを取るようにしましょう。

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