65歳からの年金と扶養の選択:繰り下げ受給か、受給開始かを判断するポイント

年金

年金受給が可能になる65歳。仕事を続けながら年金を受け取るか、繰り下げて将来の受給額を増やすか。特に扶養に入っている配偶者がいる場合、その選択は税金や保険料にも大きく影響します。本記事では、扶養から外れて年金を受給するか、繰り下げて扶養内にとどまるかという悩みに対して、実際の制度や金額をもとに考え方を解説します。

年金の繰り下げ受給とは?

年金は65歳から受給可能ですが、受給開始を最大75歳まで繰り下げることで、1か月あたり0.7%増額されます。1年で約8.4%、5年で最大42%の増額が見込まれます。

たとえば65歳時点で年間85万円の年金を繰り下げて70歳から受給する場合、42%増で約120万円の年金が受け取れる計算になります。

扶養のまま働き続けるメリットと制限

配偶者の健康保険の扶養に入っている場合、一定の収入(130万円未満など)を超えると扶養から外れ、自身で国民健康保険や国民年金に加入する必要があります。多くのケースでは年間収入が130万円未満かつ週20時間未満の勤務であれば扶養にとどまれます。

扶養に入っていることで保険料や年金保険料の負担が抑えられますが、年金受給額が上限を超えると扶養を外れる可能性が出てきます。

扶養を外れて単独で年金を受け取るデメリット

扶養から外れた場合、自身で健康保険と介護保険の保険料を支払う必要が出てきます。保険料は自治体により異なりますが、年額15〜25万円前後が一般的です。また住民税や所得税も発生するため、実質的な手取りは下がる可能性があります。

一方で、年金を受給していることによって老後の安心感が得られるという精神的なメリットも無視できません。

配偶者(夫)側への影響

妻が扶養を外れることで、夫の所得控除(配偶者控除または配偶者特別控除)が適用外となり、所得税や住民税が年間で数万円増加する可能性があります。たとえば夫の課税所得が300万円程度なら、配偶者控除(最大38万円)を失うことで税額は約4〜6万円増えることがあります。

また社会保険の扶養からも外れるため、健康保険料の配偶者加算があった場合などには、それも失われます。

年金受給を選ぶべきか?迷ったときの考え方

次のような観点で判断すると良いでしょう。

  • 健康保険料や住民税などの負担増加分と、年金受給額の差額
  • 今後の就労継続の見通し(収入が大きく変動するか)
  • 繰り下げによる将来的な受給総額の増加
  • 夫の控除の有無と家計全体の収支への影響

たとえば、年金受給で年間85万円増える一方で、国保・税金・控除損失で年25万円以上の負担が増えるなら、手取りは+60万円前後。繰り下げで将来120万円に増える可能性があっても、今必要な資金があれば受給する選択も合理的です。

まとめ:今と将来のバランスで賢く選択

65歳の年金受給と扶養の選択は、単なる年金額だけでなく、社会保険や税制、家計全体に関わる大きな判断です。扶養から外れても働きながら年金を受給することでトータルの生活資金を増やせる一方、税・保険の負担にも注意が必要です。

不安な場合は、社会保険労務士や年金相談センターなどで試算してもらい、自分にとって最も有利な選択肢を検討しましょう。

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