病気やけがで仕事を休まなければならないときに、会社の健康保険から支給される「傷病手当金」。会社を休んだ間の生活を支える大切な制度ですが、実際にどのくらいの金額を受け取れるのか、具体的な計算方法について正しく理解している人は少ないかもしれません。本記事では、基本給が20万円の場合を例に、傷病手当金の金額をわかりやすく解説します。
傷病手当金とは?支給される条件と基本概要
傷病手当金は、健康保険に加入している被保険者が病気やけがで働けなくなった場合に、所得の一部を補償する制度です。支給されるには以下のような条件を満たす必要があります。
- 業務外の病気やけがであること(労災は対象外)
- 3日間連続して仕事を休み、4日目以降も就労不能であること
- 給与が支払われていない、または一部しか支払われていないこと
これらの条件を満たした場合、最長で1年6か月の間、傷病手当金を受け取ることが可能です。
傷病手当金の計算方法
傷病手当金の支給額は、原則として以下の式で計算されます。
支給額 = 直近12か月の平均標準報酬日額 × 2/3
標準報酬日額とは、健康保険で定められた1日あたりの報酬額のことです。月給制の人であれば、月額を30日で割って日額を求めます。
基本給が20万円の場合の具体例
たとえば、基本給が月20万円の会社員の場合、標準報酬月額が20万円と仮定すると、日額は以下のようになります。
20万円 ÷ 30日 = 約6,666円
この日額に2/3を掛けることで、1日あたりの傷病手当金が算出されます。
6,666円 × 2/3 = 約4,444円
つまり、1日あたり約4,444円が支給されることになります。たとえば20日間仕事を休んだ場合は、
4,444円 × 20日 = 約88,880円
このように、休んだ日数分の手当が支給されます(※実際の支給額は健康保険組合によって多少前後する可能性があります)。
賞与や残業代は含まれる?標準報酬月額の注意点
傷病手当金の計算では「標準報酬月額」が基準となりますが、この金額には基本給以外にも含まれる可能性のある手当があります。ただし、賞与やボーナス、臨時手当などは通常含まれません。
一方で、通勤手当や役職手当、時間外手当などが毎月支給されている場合、それらも含めた合計金額が標準報酬月額となることがあります。
したがって、実際の手当金額は「基本給20万円」だけでなく、他の手当の有無によっても変わってきます。
給与との併給はできる?会社から給料が出た場合
傷病手当金は「給与が支払われない」ことが支給の条件です。ただし、会社から一部だけ給料が支払われた場合、差額分を傷病手当金として受け取ることができます。
たとえば、会社から病欠中に半額の給与(10万円)が支給された場合、残りの相当分を健康保険が補填する形になります。
このように、給与が出るかどうかによって、傷病手当金の金額も変動するため、会社からの支給状況を確認しておくことが重要です。
まとめ|傷病手当金は生活の大きな支えになる
傷病手当金は、病気やけがで働けないときの収入を一部補償してくれる重要な制度です。基本給が20万円の場合、1日あたり約4,444円が支給されるという具体例からもわかるように、計算方法はシンプルですが正確な理解が求められます。
標準報酬月額や会社からの給与の有無によって金額が変わるため、自分の状況に応じた正確な把握が大切です。万が一の時に備え、制度を正しく理解しておきましょう。
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