家族間での自動車保険の等級引き継ぎは、保険料を大きく左右するポイントの一つです。特に親が長年安全運転で築いた20等級の任意保険を子へ引き継ぐと、大きな割引が受けられることがあります。しかし、引き継いだ側と引き継がれた側、双方にどのような変化が起こるのかを理解しておくことが大切です。
等級とは?保険料に直結する割引制度
自動車保険には「ノンフリート等級」という制度があり、通常は6等級からスタートし、1年ごとに無事故なら1等級ずつ上がります。最高は20等級で、無事故期間が長いほど割引率も高くなります。
例えば。
- 6等級:割増なし or 微割引(事故歴で変動)
- 20等級:最大で約60%前後の割引が適用
つまり、20等級を持っている人は保険料が非常に安くなっている可能性があります。
親から子へ等級を譲るとどうなる?
親が自動車保険の契約を解約、または満期終了し、その等級を子ども(兄)に「名義変更」や「入れ替え」によって譲渡することができます。この場合、兄は6等級から始めるのではなく、親の20等級を引き継げるため保険料が大幅に安くなるという仕組みです。
ただし、譲渡後の親は新たに保険に入る際、また6等級からのスタートになります。
具体的な保険料の違い(軽自動車の場合)
あくまで目安ですが、等級ごとの月額保険料の一例を紹介します(車両条件・補償内容・保険会社により異なります)。
等級 | 月額保険料(目安) |
---|---|
6等級 | 約8,000〜12,000円 |
20等級 | 約3,000〜5,000円 |
つまり、親が20等級を手放して6等級に戻ると、月額3,000〜7,000円程度の保険料増加となる可能性があります。
兄が保険料をまとめて支払っていた理由
このようなケースでは、兄が親の分もまとめて支払っていた理由として。
- 兄自身が20等級の恩恵を受けていたため
- 親の名義で契約しつつ、実質的に兄が主に使用していた
- 複数台割引や家族割引などの恩恵を受けていた可能性
保険会社によっては「複数契約」や「親子間契約引き継ぎ」により保険料を抑える工夫ができることもあります。
注意点と今後の保険料対策
一度20等級を手放すと、再びそこに戻るには14年間の無事故運転が必要です。そのため、一時的な譲渡は慎重に行うべきです。また、親が新たに6等級で契約した場合でも、補償を見直すことで保険料の増加を抑えることは可能です。
たとえば。
- 車両保険を付けない
- 免責金額を設定する
- ネット型保険を活用
などが保険料を下げる手段として有効です。
まとめ:等級の引き継ぎは慎重に、家族で話し合って活用しよう
等級の引き継ぎは保険料を抑える強力な手段ですが、親が再契約する際の保険料アップリスクも考慮しなければなりません。おおよそ月3,000〜7,000円の保険料差が出る可能性があるため、保険会社とよく相談したうえで家族間で合意を取っておくことが大切です。
保険選びは定期的に見直し、最新の条件とライフスタイルに合った補償を選ぶことが、安心とコストのバランスを保つカギです。
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