給与が大きく変動しても、社会保険料がそのまま高く引かれ続けて、手取りが減ってしまうと不満が大きくなります。本記事では、社会保険料(健康保険・厚生年金)がどのように計算され、給与変更後にいつ保険料が変わるのか、また過払い分は戻るのかについて、一般的な制度の流れを詳しく解説します。
社会保険料は「標準報酬月額」を基準に計算される
社会保険料は実際の給与ではなく、「標準報酬月額」という等級制の固定値に基づいて計算されます。これは、各月の・固定的賃金(基本給や手当など)を一定幅で区分したもので、50等級に分類されています
この標準報酬月額は、従業員加入時や毎年7月の定時決定(4〜6月の平均)で更新されます[参照]:content:なし
出張などで給与が下がってもすぐには保険料が下がらない理由
給与変動があっても、標準報酬月額が2等級以上変わるまでは随時改定の対象とはなりません。さらに随時改定が発生しても、報酬変動月から数えて4ヶ月後から新料金が適用されます[参照]:content:なし
そのため、出張終了後に給与が43万円へ戻っても、たとえば一昨年と同様に社会保険料は以前のまま継続され、タイムラグが生じます。
会社に申請が必要? 過払いは戻るのか?
社会保険料を下げるには、会社が「被保険者報酬月額変更届」を提出する必要があります。これにより随時改定が行われ、新しい等級に基づいた保険料が適用されます。手続きは会社側の責任となります。
仮に随時改定により過去にさかのぼって差額が発生した場合でも、その分の返金(返還)は通常ありません。過去給与の差額として年末調整で返ることもなく、過払い分は翌月以降の控除減額として調整されるのが一般的です。
よくある質問とチェックポイント
- ・社会保険料の基準は毎月の変動ではなく「標準報酬月額」が基準
- ・2等級以上の差がなければ随時改定は原則行われない
- ・随時改定があっても、実際の適用は報酬変動月から4ヶ月後
- ・企業が「被保険者報酬月額変更届」を提出しないと反映されない
実例で確認:43万戻っても保険料据え置きになるケース
たとえば、出張中の数ヶ月間に報酬が50万円超から43万円に戻った場合、変動幅が2等級未満なら随時の対象外です。2等級以上なら手続き後4ヶ月目から新料金に移行します。
前年収入が700万円、扶養家族が多いケースでも基本的な流れは変わりません。
まとめ:まずは会社に標準報酬の変更手続きを確認しよう
社会保険料の変化が給与に追いつかないのは制度上当然のことです。急激な給与下降でもすぐ下がらないのは標準報酬と社内手続きのタイムラグによります。
対策としては、会社に随時改定の届け出が出されているか確認し、必要あれば制度を熟知した社労士や総務担当へ相談するのが安心です。
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