傷病手当金は、病気やケガで働けない期間に生活を支えるための制度ですが、特に退職前後での申請や継続には細かな要件が存在します。退職日に有給を取得すると傷病手当金が継続されないという情報もありますが、正しく理解すれば損をせずに制度を利用することが可能です。
傷病手当金の基本的な受給条件
傷病手当金を受け取るには以下の4つの条件を満たす必要があります。
- 業務外の病気やケガによる療養中であること
- 就労不能であること
- 連続する3日間を含めて4日以上仕事を休んでいること
- 給与の支払いがないこと(有給や給与支給中は対象外)
これらは退職後に継続して支給される場合も同様に適用されます。
退職日と「出勤していないこと」の重要性
傷病手当金を退職後も継続して受け取るためには、退職日当日に「就労不能な状態であり、かつ実際に出勤していないこと」が重要です。
ここで誤解されがちなのが、有給休暇を取る=出勤していないから大丈夫、という認識です。有給を取得していても「給与が支払われる=労務に服している状態とみなされる」ため、退職日に有給を使うと、原則として退職後の傷病手当金の継続対象外になります。
「退職後の継続支給」の条件を再確認
退職後も傷病手当金が継続して支給されるには、退職日時点で傷病手当金の受給資格を満たしており、かつ支給が開始されていることが必要です。
つまり、退職日前から欠勤をしていて、既に傷病手当金の申請を行い、支給が開始されていなければ、退職後にそのまま継続支給は受けられません。さらに、有給消化中は「出勤していない」とはいえど、「給与支払いあり」として支給対象外となります。
実例:退職日に有給を取ってしまった場合
たとえば、6月30日を退職日として有給を取得し、6月1日から29日までは欠勤していた場合、29日までの期間が傷病手当金の対象になりますが、6月30日は給与支給があるため「傷病手当金の支給開始状態にない」と判断される恐れがあります。
この場合、退職日を1日前倒しして29日に設定するなどの対策が必要になるかもしれません。
どうすればよかったのか?今からできること
今からできる対応策として、以下の点を確認・相談するのが有効です。
- 6月30日の有給をキャンセルできるかどうか人事に相談
- 健康保険組合に「退職日に有給取得していた場合の継続支給可否」について明確な判断をもらう
- 退職日変更(退職届の再提出)などが可能か会社と協議
協会けんぽ公式サイトでは、退職後の継続支給に関する詳細が案内されています。
まとめ:退職日と有給の使い方が明暗を分ける
傷病手当金を退職後も継続して受給するためには、退職日に給与の支払いがない状態で、かつ傷病手当金の支給が開始していることが必須です。
退職日に有給を取得してしまうと「給与が発生している=傷病手当金対象外」とみなされる可能性が高いため、できるだけ退職日を欠勤日とし、事前に申請・受給開始を済ませておくことが重要です。
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