長期での休職や傷病手当金の申請時に、月の通院回数が減ってしまうと「このままでは手当金が支給されないのでは?」と不安になる方も少なくありません。特に精神疾患などの継続通院が前提とされる傷病では、支給条件に対する理解が重要です。この記事では、実際に月2回通院から月1回に変更となったケースをもとに、傷病手当金の支給可否や対処法を解説します。
傷病手当金の基本支給要件とは
傷病手当金は、健康保険に加入している人が病気やケガのために仕事を休み、給与が支払われない期間に一定額を受け取れる制度です。主な支給要件は以下の通りです。
- 業務外の傷病による療養中であること
- 労務不能であると医師に認められていること
- 連続する3日間の待期期間のあと、4日目以降も就労できないこと
- 休業期間中に給与が支払われていないこと
これらを満たしていれば支給の対象になりますが、療養の実態(たとえば通院頻度など)も判断材料となることがあります。
月1回の通院で否認されることはあるのか?
原則として、傷病手当金の申請には継続的な療養が必要とされ、通院頻度が少ない場合には「就労可能」と判断されるリスクがあります。
しかし、月1回の通院が自動的に不支給となるわけではなく、以下のような事情があれば考慮されるケースもあります。
- 体調悪化による通院延期(高熱など)
- 医師の判断に基づく次回予約
- 休養が必要な状態が医師により明確に証明されている
したがって、主治医が「就労不能状態」と明確に記載してくれるかが大きなポイントになります。
申請前に保険者に連絡すべき理由と伝える内容
通院間隔が通常と異なる場合には、保険組合(健康保険組合や協会けんぽ)に事前に事情を伝えることが重要です。誤解を防ぎ、申請書類の審査時に配慮してもらえる可能性が高まります。
連絡の際には以下のようなポイントを伝えるとよいでしょう。
- 風邪などによる体調不良で通院ができなかった
- 医師の指示により次回診察が翌月にずれたこと
- 主治医は継続的な療養の必要性を認めている
これらの情報を記録に残すため、電話だけでなくメールや問い合わせフォームの活用もおすすめです。
実際に通院できなかった場合の実例
ある精神疾患で傷病手当金を受けていた方は、インフルエンザ感染のため予定の通院日に外出できず、1ヶ月以上通院が空いてしまいました。しかし、主治医が「患者は体調不良による通院延期であり、引き続き労務不能である」と明記したことで、支給が認められたケースがあります。
このように、通院頻度よりも「医師の意見書」と「保険者への丁寧な説明」が結果を左右する要素になります。
申請書類の書き方と注意点
通院回数が通常より少ない場合は、申請書の「療養状況」欄や「医師の意見」欄に、具体的な理由を明記してもらいましょう。たとえば。
- 「6月第2週の通院は体調悪化により延期、労務不能状態は継続」
- 「診察回数が1回であっても、療養指導のもと自宅療養を継続している」
医師によっては備考欄などに自由記載してくれるケースもありますので、診察時に状況を共有し、相談してみましょう。
まとめ:通院回数が少なくても「理由の説明」と「医師の意見」でカバーできる
傷病手当金の申請において、月1回の通院しかできなかった場合でも、適切な説明と医師の協力があれば支給される可能性は十分にあります。大切なのは、保険者に先んじて連絡し、誤解を防ぐこと。そして、主治医と連携しながら正確な情報を記載することです。
一度不支給となっても、不服申立てや再申請も可能ですので、あきらめず冷静に対処しましょう。
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