新卒で初めての賞与(ボーナス)を手にしたとき、「こんなに引かれるの?」と驚いた方も多いでしょう。特に厚生年金保険料の控除額は大きく、将来ちゃんと返ってくるのか不安になるのも無理はありません。この記事では、賞与から引かれる厚生年金の仕組みや、将来受け取れる年金との関係をわかりやすく解説します。
賞与からも引かれる厚生年金とは?
厚生年金は、毎月の給与だけでなく、年2回支給される賞与(ボーナス)からも保険料が差し引かれます。保険料率は給料と同じで、2024年度時点ではおおよそ18.3%。会社と折半のため、実際には約9.15%が自己負担として引かれます。
例えば、賞与が30万円なら、およそ2万7千円が厚生年金として差し引かれます。これは一時的に「損をしている」ように感じますが、将来の自分への投資とも言える制度です。
将来の年金にどう反映されるのか?
厚生年金は、加入期間と保険料額に応じて将来の年金額が計算される「報酬比例型」の制度です。つまり、賞与を含めた収入が多いほど、将来受け取る年金も増える仕組みです。
たとえば、新卒から40年間、安定して給与と賞与を受け取り厚生年金に加入していた場合、65歳以降に受け取れる老齢厚生年金は、月額にして10万円以上になるケースもあります(厚生労働省のモデルケースより)。
厚生年金が実は「3つの年金」に分かれている?
厚生年金には次の3つの重要な役割があります。
- 老齢年金:65歳から受け取れる生活資金
- 障害年金:病気やけがで働けなくなった時に支給
- 遺族年金:死亡時に遺族に支給される保障
つまり、「老後のお金」だけではなく、若いうちの万一にも対応する保険機能があるという点で、民間の保険にも似た側面を持ちます。
ボーナスから引かれる厚生年金を最大限活かすには?
せっかく支払う厚生年金。将来を見据えて活用する方法を知っておくことも大切です。
- ねんきんネットを活用して将来の年金見込み額をチェック
- 定期的にキャリアアップして報酬を上げる=年金額アップに直結
- 企業年金(企業型DCなど)やiDeCoと組み合わせて老後資金を厚くする
また、将来的に転職をしても、厚生年金は一元化されるため、加入記録はしっかりと年金機構に保存されます。
新卒が知っておきたい注意点と誤解
厚生年金を「払ってもどうせ返ってこない」と誤解する若手社会人は少なくありませんが、それは事実とは異なります。日本の公的年金は、原則として保険料を納めた期間と額に基づいて給付される仕組みです。
ただし、未納期間や中途退職・フリーランスなどで国民年金だけになる場合、老後の年金額に差が生まれる可能性があるため、将来的なライフプランも視野に入れて備えておくと良いでしょう。
まとめ:厚生年金は将来の安心につながる「資産」
賞与から引かれる厚生年金は、一見すると手取りを減らす存在に思えますが、実際は将来の年金額を増やすための大切な「積立金」です。また、老齢年金だけでなく障害・遺族年金としての保障も含まれているため、保険としての役割も果たしています。
若いうちから正しく理解しておくことで、不安を減らし、賢い資産形成に活かすことができます。厚生年金は「払って損」ではなく、「将来の備え」なのです。
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